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2004年5月
タイタンの妖女(カート・ヴォネガット・ジュニア) ELESE&LOTUS
つくりたい! お店で人気のスパゲティ チワワ カフェ
いなかもんの踏絵(永浜敬子) 永遠のポール・ポジション(キース・サットン 写真)
ビンボーダンス(徳植勉)
超私的まんが道2≪一冊入魂≫
まっすぐ天へ(的場健) .

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「きみは疲れた、ひどく疲れたね、宇宙のさすらいびと、マラカイ、アンク、遠い遠い星を見つめるのだ、地球人よ、そしてきみの手足がどれほど重くなったかを考えてごらん」
タイタンの妖女

カート・ヴォネガット・ジュニア 浅倉久志 訳

ハヤカワ文庫 640円+税



以前に『母なる夜』と『スローターハウス5』を紹介したうえにまたしてもカート・ヴォネガットをとりあげます。もう何度となく書いていますように今回の『タイタンの妖女』を私は彼の最高作だと思っているんですが、それだけに紹介がむずかしいのじゃないかと、なまじっかなとりあげかたをするとかえって作品を損なってしまうのじゃないかと、ずっと避けてきたんです(『カラマーゾフの兄弟』をここでとりあげないのも同じ理由です。それに、あるひとがこの作品について書いてくれるのを待ちもしていました。よけいにプレッシャーを感じもします)。

それにもかかわらず、なぜ今回この作品で書くことにしたかというと──話はどんどん隘路にはまりますが──、それはこの2月からずっと私がある映画のDVDを毎日のように(全編通してではないですけれど)観るようになってしまったことに結んでいます。さらに話は細い道に入り込みますが、その映画を観ることになったのは、去年その映画の監督のべつの作品をやはりDVDで観てとてもすばらしいと思ったからなんです。こちらの作品は『フィアレス』、監督はピーター・ウィアーです。『フィアレス』には原作があり、翻訳も出ていました(扶桑社文庫 絶版)。私はすぐ古書店でこれを探し出して読み、がっかりしました。たいていの映画では原作の方が優れている──映画は原作をだめにしてしまう──と私は思っていますが、これは例外でした。それならば、これは監督が相当にすごいひとなのにちがいない。そこで、彼の他の作品を観ていくことにしたわけです(もちろん最新作『マスター・アンド・コマンダー』も観ました。監督としてはきっといい仕事をしたにはちがいありませんが、これはわざわざ彼が映画化するほどのことがあったんだろうか、と思いました)。その手始めが問題の映画というわけで、ところが、あまりに夢中になってしまったのでまだいくつもある他の作品(『いまを生きる』『誓い』『グリーンカード』『目撃者──刑事ジョン・ブック』などなど)に全然移れない有様です。というわけで、やっとこの作品の名前を書くことができます。ジム・キャリー主演の『トゥルーマン・ショー』。

もしこれまでヴォネガットの作品を読んだことがなくて、しかし『トゥルーマン・ショー』を観てはいて、あの嵐を切り抜けたトゥルーマンが突き当たるもの・彼のてのひらの、そしてこぶしの感覚に激しく心を動かされたおぼえのあるひとがいるとしたら、私はこういいたいんです。あの残酷さ・無情さ・滑稽さ・ばかばかしさ──あれがヴォネガット作品の手触りなんだと。

こんなにばかばかしい、笑ってしまうようなものが! という認識。だからこそいっそうの悲惨が、不気味さが生じてきます。




タイトルは『タイタンの妖女』ですが、魔女の小説じゃありません。
タイタンは土星の衛星ですね。この作品の主人公は地球から火星に行き、水星にも行き、地球に戻り、それからタイタンに行き……ということになるんですが、だからといってSFとして読もうとしなくても結構です。というか、もしSFなら読まないよというひとがいるなら、私はこの作品がSFではないといいましょう。ええ、これはSFではありません。

火星には地球から移ってきた人間たちの軍隊がありました。そこにアンクと呼ばれている兵士(仲間には「分隊一のドジ」といわれてもいる)がいます。彼の記憶は完全にではないにせよ、ほとんどこそげとられていますし、「彼の頭蓋の中には無電アンテナがとりつけられており、善良な兵士のしてはならないことを彼がしたときにはそれが彼に痛い思いをさせる」ようになっていまして、その──

苦痛はおそるべきものだった。
これで、いつも義務を果たさないような兵士がいたら、そいつは気ちがいだ、とアンクは認めざるを得なかった。


このアンテナは兵士のほとんど全員にとりつけられています。
アンテナからの苦痛を恐れ、記憶もなく、自分のおかれている状況もわからずにいるアンクはあるとき自分にあてられた手紙を読むことになるんですが、

親愛なるアンク──と手紙は始まっていた。
──
おれがたしかに知っていることを、そんなにたくさんじゃないが、ここに書いておく。この手紙のおしまいには、おまえがなんとしてでもその答を見つけなきゃならない質問を、ずらっと並べてある。この質問はたいせつだ。おれは、もうおれがこれまでに知っているいくつかの答よりも、その質問のほうをいっしょうけんめいに考えた。そうして、最初にわかったたしかなことが、これだ。──(一)もし質問がいいかげんだと、答もやはりそうなる。

この文章には番号がふられているんですが、その(七一)と(七二)は

(七一)なつかしいアンクよ──おれがたしかに知っていることは、たいてい、おれがアンテナからの痛みと戦って見つけたものだ、とアンクへの手紙には書かれていた。おれが首をまわしてなにかを見つけようとするたびに痛みがやってきたが、いつもおれはがんばって、とにかく首をまわしつづけた。そうすれば、おれの見てはならないはずのものが見えることを知っていたからだ。おれが質問をしたときに痛みがやってきたら、それはおれがほんとうによい質問をしたからだ、ということもわかった。そこでおれはその質問を小さないくつかのかけらに分け、そのかけらをひとつずつ質問した。そうやって、おれは小さなかけらの答を手に入れ、その答をぜんぶひとまとめにして、大きな質問への答を手に入れた。
(七二)痛みをがまんできるように、自分をきたえていくにつれて、おれはたくさんのことを知った。アンク、おまえはいま痛みをこわがっているが、痛みを自分で求めなければ、なにも知ることはできない。そして、おまえがたくさんのことを知るほど、痛みをがまんするのがたのしくなっていくのだ。


そして、

からっぽの兵舎のボイラー室の中で、アンクは手紙をしばらく下に置いた。彼は泣きたかった。この英雄的な筆者が、アンクにまちがった信頼を寄せていたからだ。アンクは、彼がこの筆者の耐えた十分の一の苦痛にも耐えられないことを知っていた──それほどまでに知識を愛することは、とてもできない。

彼の目はうるんできた。
もし、いま声を出そうとしたら、彼は泣きだしたかもしれない。


手紙にはこんなことも書かれています。

神学──(一五)だれかが、なにかの理由で、すべてのものを作った。

さらに手紙の筆者はストーニイという男がアンクの親友であることを伝えています。

アンク、なつかしい仲間よ、とアンクへの手紙には書かれていた。おまえとストーニイがこれから新しいことを見つけるたびに、それをこの手紙に書きたしていけ。この手紙はうまく隠しておくんだ。そして、隠し場所を変えたときには、おまえがどこへそれを隠したかをストーニイに教えろ。そうしておけば、いくらおまえが病院に入れられて記憶をこそげとられても、どこへいけばその記憶をまたいっぱいにできるかを、ストーニイから教えてもらえるわけだ。

そして、こんなことも

アンク──おまえはなぜおまえがこんなことをつづけているか知ってるか? おまえがそれをつづけているのは、おまえに女房と子供がいるからだ。この火星には、女房と子供のどっちかでもあるやつなんて、めったにいないんだぞ。

アンク、このキじるしのばかやろう、おれはおまえが大好きだ。おまえはほんとにたいしたやつさ。もし、おまえの小さな家族といっしょになれたら、宇宙船を一隻かっぱらって、どこか平和で美しい土地へ飛んでいくんだぜ。

小説の舞台がこの火星に移るのが4章「テント貸します」で、それまでにほぼ100ページくらいを読んでいなくてはなりません。大金持ちの傲慢な兄ちゃん、マラカイ・コンスタントにつきあっておかなくてはならないんです。コンスタントの話ももちろんずいぶんおもしろいんですが、もしかすると途中で放り出してしまうひとも出るのじゃないかと心配します。しかし、どうかそんなことはしないで! とにかくアンクの物語のはじまりまでは行きましょう。ここまで行き着ければ、あとはアンクがあなたをずっと連れて行ってくれることになります。




また、アンクの過去も未来(ある時点までの)をも知りつくしている(それはなぜか?)人物ウィンストン・ラムファード(『トゥルーマン・ショー』でも彼にあたるような人物がいました。)がアンクにある中佐の話をするんですが、

中佐はそこではじめて、たいていの人間が自覚せずに終わってしまうことを自覚した──彼が残酷な運命の犠牲者であるだけでなく、その残酷な運命のいちばん残酷な手先のひとりであることを。

ここでべつの作家の作品から引用してみますが、

でも僕が本当に怖いと思うのは、青木のような人間の言いぶんを無批判に受け入れて、そのまま信じてしまう連中です。自分では何も生み出さず、何も理解していないくせに、口当たりの良い、受け入れやすい他人の意見に踊らされて集団で行動する連中です。彼らは自分が何か間違ったことをしているんじゃないかなんて、これっぽっちも、ちらっとでも考えたりはしないんです。自分が誰かを無意味に、決定的に傷つけているかもしれないなんていうことに思い当たりもしないような連中です。
(村上春樹『沈黙』)


やれやれ、こうしてずっといろんな小説を読みつづけていると、ある作品のあることばとべつの作品のあることばとが私のなかで補完しあう(あるいは、それぞれの本来の意味を離れて私のなかでべつの独立した意味をもちはじめるということなのかもしれませんけれど)ということがよくあります。というかそればかりなのじゃないかというくらい。こうしてヴォネガットのことばが村上春樹を読むことによって強化されたり、べつの例ではドストエフスキーの「大審問官」(『カラマーゾフの兄弟』に出てくる作中作)が『トゥルーマン・ショー』と結んだりもするんです。ということは、私のなかではドストエフスキーとヴォネガットもつながっています。もしかすると、ドストエフスキーやヴォネガットを読んでいるひとといないひととでは『トゥルーマン・ショー』の観かたが全然ちがうものになるかもしれません。

『トゥルーマン・ショー』──「大審問官」──『タイタンの妖女』を結ぶカギのひとつはこれです。

だれかが、なにかの理由で、すべてのものを作った。




ヴォネガットは『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを』(もちろんハヤカワ文庫)のなかでこう書いています。登場人物の作家キルゴア・トラウトの──

小説の中で、ある人物が死のホステスにむかって、自分は天国へ行けるだろうか、とたずねるシーンがある。ホステスは、もちろん行けるわ、と答える。それじゃ神さまにも会えるだろうか、と彼がきくと、ホステスは答える。
「ええ、会えるわよ」
「だったら、いいんだがね。おれは神様に一度きいてみたいと思ってるんだ。この下界じゃとうとうわからずじまいだったことを」
「というと、どんなこと?」
そうたずねながら、ホステスは彼の体をベルトで固定する。
「いったいぜんたい、人間はなんのためにいるんだろう?」

(浅倉久志 訳)





アンクが登場してからはまったく忘れがたい場面の連続で、「ハーモニウム」「宇宙のさすらいびと」なんて名まえをあとで思い出すたびになにか大事なものが自分のなかに湧き出てくる感じに襲われることになるかもしれません。

それにしても、これほど非情な世界をこれほどまでに優しい筆致で書けるというのはどういうことなんだろう、と思います。

おそらくはじめに読んだときにはアンクの登場以降の展開に目を奪われて終わり、再読してみると、小説の冒頭から実はとてもいきいきしたものだったことを了解することになるでしょうし、ひとつひとつのエピソードの意味がかなり深く感じられるようになるでしょう。3度め、4度めと読めば読むほど味わい深くなります。次になにが起こることになるか十分承知しながら、「ああ、やっぱり彼はそうしてしまうんだな」とか「やっぱり彼はそういうことをいうんだな」とつぶやく感じに読んでいけます。感動は──感動ということばを使っていいと思うんですが──何度読んでも全然あせたりしません。しないどころかどんどん濃くなっていくと思います。自分が24歳で初めて読んで以来、41歳の今日までのその感覚に私は驚いています。この作品は一生ものですね。




最後に──

「きみたちが出発してから、なにが起こった?」
「なにかのまちがいが起きた」と宇宙のさすらいびとはいった。まるで、打ちつづいた不運が彼自身の責任であるような、すまなそうな口ぶりだった。「いろいろなことで、まちがいが起きた」
「きみはこういう可能性を考えてみなかったのかね?」とラムファード。「なにもかもが、絶対的にまちがいなく運んだのだ、と」







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ELISE&LOTUS
NEKO MOOK



ネコ・パブリッシング 980円(税込)

もー何が欲しいって「お金」です。お金大好き、本音です。で、ビンボー人の常として、大金ないのに「大金あったら何買う?」とか、当たりもしないのに「この宝クジ当たったらどうしよ?」なんて事を考える私は夢見がちなサルなんですが、そうは自覚しててもやっぱり欲しいものリストのTOPにあがるのがクルマなわけでして……。あのクルマ、このクルマってタヌキの皮が何枚あっても足りやしません。
その中でも気になってるのがロータス・エリーゼ。今現在製造販売されているアンダー1000万円クラスの中で最もスポーツカーとしての条件、あるいは資質をそなえている1台といっていいでしょう。軽量・低重心・重量配分・Z軸回りの慣性モーメントの低さ・トレッド/ホイールバランス値、どれも高水準です。(ジネッタもアンダー1000万だけど手元にスペック表がないのでよくわからないんです。先日千葉で白地にブルーのストライプのジネッタ見ました。カッコ良かったー!)近日トヨタエンジン(192ps/7800rpm)を搭載した111Rも良いけど(パワーの面としてより、故障の少なさ、あるいはメンテナンスの方で)、ウズウズさせるのはKエンジンのスタンダードエリーゼの方。そんな訳で、私の大好きな出版社…(何てったってクルマ雑誌をいっぱい出してる)…ネコパブリッシングが出したこのムックはビンボー人ながらクルマ好きである私の欲望と妄想をかきたててやまないのです。






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つくりたい!
お店で人気のスパゲッティ



NHK出版 850円+税

先日我が家でなぜか自分が夕食を作ることになって、娘にスパゲッキ(スパゲティ)≠ェ食べたいとせがまれたので、女房に作り方を聞いてナポリタンを作ったところ予想以上の出来栄えだった。もちろん娘はおいしい≠ニ言って全部食べ、女房にも好評だった。前回娘に自信をもって作ったお好み焼きをすぐにいらない=i実はキャベツが苦手)と言われ、あんまり料理をする気がなくなっていたのだが、たまには料理をしてみるか≠ニ思いなおし、そんな時に見つけたのがこの本です。

つくりたい! お店で人気のスパゲティ

ズバリなタイトル、そして表紙のウマそうなボンゴレの写真。これだけで決めました。
今月はこの本がおススメです。おススメといっていいものやら……というか、これでたまにはスパゲッキ≠作るぞ!






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チワワ カフェ
(ワン・カフェ シリーズ1)


小学館スクェア 999円(税込)

またまたチワワの専門の本が発売されました。くどいようですが、最初から最後までぜーんぶチワワ・チワワ・チワワ・・・・ロングコートからスムースとチワワだらけです。もうたまりません!まずおすすめはファッションの大特集です。最新のウェアや話題のウェブ・ショップ製品、オリジナル服を手作りするノウハウまで、チワワファションがこれでもかと紹介されています。チワワが服嫌いにならない着せ方や年間のワードローブ・バリエーションもの載っています。その他ドッグカフェや公園等、お散歩・ショッピングスポット・ガイド、厳選の今年行きたい宿ガイドと目白押しです。また、チワワのしつけについてもくわしくわかりやすく載っています。チワワを愛する皆さんおすすめですよ!

☆特集1 チワワ・ファッション通信2004年
○「お宅訪問」ファッショナブル・ドッグス ○チワワの4シーズン・ワードローブファッションブランド注目の新作 ○ドッグウェア・メーカーのファッションショー(六本木ヒルズ) ○注目度bP!チワワのパンツファッション ○個性派ウェブショップのデザイナー ○愛犬のための習いごと(手作りウェアに挑戦)○チワワちゃんをお洋服好きにするコツ教えます。 ○ハイ!ポーズなりきりチワワがコスプレに挑戦!
 

☆特集2 「いい子」になってね。ちわわのしつけ教室
○初めてでも安心!「カフェ・デビュー・マニュアル」 ○しちゃってない?させちゃってない?愛犬のあんなこと、こんなこと ○気持ちを正しくわかってあげたい!犬の基本サイン10 ○チワワとの新生活、8つの心がけ

☆お散歩ショッピングスポット・ガイド 街へ一緒に出かけよう
○横浜みなとみらい沿線 ○元町 ○駒沢公園 ○葉山

☆チワワも大満足の楽しいグッズがいっぱい

☆『チワワ・カフェ』が厳選した今年行きたい宿ガイド

☆チワワ読者の「おしゃべりカフェ」



PS 4月30日ついに4頭目のスムース・チワワの男の子が家族の一員になりました。ちなみに色は黒です(真っ黒)体重なんと480g極小です。






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いなかもんの踏絵

永浜敬子

ぺんぎん書房 800円+税

以下の項目に心当たりのある方は注意!

給食に【味噌ピー】が出た

津田沼駅前の待ち合わせは【ちん像】前

同様に船橋駅前は【さざんかさっちゃん像】が定番

終電を乗り過ごして、相乗りタクシーを利用したことがある

【大慶園】でカートレースの経験あり

子供の頃、じゃんけんの掛け声は「チッケッタ」・「チッケッピ」


これらの項目が全部当てはまった方、千葉県民度【重症】の可能性があります。
本書を購入して、早急に精密検査を受けて下さい(笑)

  今回のオススメ度 ★★★☆☆(ご当地ネタばっかりを集めた雑学系。話の席で盛り上げるには最適かも)






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アイルトン・セナ写真集
永遠のポール・ポジション

キース・サットン(写真)

ソニー・マガジンズ文庫 絶版

   拝啓、【音速の貴公子】様

あの日、貴方がタンブレロ・コーナーから天に昇って、もう10年が経ちました…
貴方が愛したF1も、随分と様変わりしたでしょう?

貴方と共に同じ時代を駆け抜けたライバルたちも、今やミハエル・シューマッハーとオリビエ・パニス、ルーベンス・バリチェロの3人だけ…寂しくなってしまいましたね。

かつて貴方の駆ったホンダ・エンジンがここでポールを決め、表彰台に上がったのを見ていましたか?

貴方に憧れ、貴方を目指した若者たちは今、立派に世界最高峰のモータースポーツを背負って歩みを進めています…どうか、天上から見守っていて下さい…。

貴方の勇姿をTV越しに見続けていた私も、来年には貴方と同い年になります。

生前のあなたは

もし自分が生きるんだったら、思う存分、密度の濃い生き方をしたい
僕は密度の濃い人間だから…
そうじゃないと、人生が台無しになってしまう。
だから僕は酷い怪我をしたりするのが怖いんだ。
車椅子に乗るのも、怪我をしてから病院で唸っているのも好きじゃない。
もし、事故で命を失うような事になるんだったら、一瞬にして終わってほしいね。


…とインタビューに答えていましたね?

私にはそんな真似、とうてい出来ませんけれど、貴方の愛したF1を、これからも見守りつづけて行きます

  今回のオススメ度 ★★★☆☆(没後10年の節目を迎え、現在新宿高島屋にてイベント開催中。どこかで本書を見つける機会に恵まれたら、是非手に取ってみて下さい)






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ビンボーダンス

徳植勉

新風舎文庫 550円+税

     愛してツナ缶

白い世界に戯れる
油ぎった者たちよ
異臭を放ちながら ほほえむ少女は
甘くとろける はじける肌に
白く熱い雪片をまぶして
飢えた男を歓喜させる
ああ うるわしのツナ缶よ
ビンボー人の恋人よ
魅せられて 胸熱く
今宵の宴に 花が咲く


いやもう、この詩を見た瞬間に即買いでした(笑)
はるばる仙台に行って、毎度の事ながらLさんとご一緒した際、なにげなく駅前のジュンク堂で立ち読みしたのですが、2人して大ウケ、揃って購入してしまいましたよ…他にも【ビンボー】と言う単語に思い当たる方なら思わず同感の歌(詩?)が満載。

 
 今回のオススメ度 ★★★☆☆(いやマジで面白かったですよ、【試食道の心得】とか…普通ここまでは誰もやらないだろうけど。)





≪一冊入魂≫

第29回 『まっすぐ天へ』




逆転の発想。
 
 人生いろいろな問題にぶち当たることが多いと思います。そんなとき上手く良いアイデアが浮かんでスンナリと解決できることもあれば、なかなか策が浮かばずに悩み続けることも多々あると思います。

 そんなとき、ふと全く逆の発想から策が見つかり、あれよあれよと上手くいってしまうことがあると思います。

 今回紹介する作品もまさにこの『逆転の発想』によって全世界を揺るがすことになります。どんな発想なのかはこのあと詳しく説明しようと思います…



まっすぐ天へ

的場健

講談社 1巻まで 514円+税
 まずは簡単な作品紹介から。

 宇宙開発後進国日本。その遅れを取り戻すべくJASDA(日本宇宙開発局)の挑戦は続いていた。そんな中打ち上げられた1基のロケット。しかし打ち上げ直後、その機体は脆くも爆発してしまうのだった…

 JASDA職員飛騨翔一は宇宙飛行士に憧れてJASDAに入ったものの、飛行士にはなれず、開発側に回った男。日々ロケットの打ち上げの問題点を解決すべく頭を悩まし続けていた。そんな彼にはひとりの弟がいる。飛騨建二。大手建築会社に勤めている。

 一緒に酒を飲みながらも頭を抱えている翔一に建二はロケットについての質問を投げかける。翔一の口から語られたのはロケットの有害性、それに相反した人工衛星の重要性だった。その話を聞いた建二はそれらの解決策としてでっかい電波塔を作ればいいというが、人工衛星と同じくらいの効果をえるためには3万6千kmの高さが必要だと反論する。現代の建築技術ではせいぜい500mの高さが限界。二人で頭を抱えながら酒を飲み続けるのだった…

 あくる日、翔一の携帯電話が鳴り響く。建二からだった。彼はこう告げた。

『3万6千kmの高さの建物だったら今の技術でも造れそうだぞ!』

『はァ?3万6千km?キロメートルだろ?ナニ言ってんの!?そんなもの建つわけねぇじゃねーか!』

『建てるんじゃないんだ。その逆なんだよ!』

 その答えは建てるのではなく上から吊るすというもの。衛星軌道上にある静止衛星からまっすぐに建築物を吊るす、軌道エレベータというものでした。実際にSF作品の中でも登場しているので御存知の方もいるとは思いますが、そのSFの世界でしかなかったものが近い現実のものになりうるということ。しかもこのあと読み続けていくと、その現実味を帯びている状況はSF好きな私はもうドキドキしてたまらなくなってしまいました!

 このあと彼ら二人を取り巻く環境はある大事故をきっかけに劇的に変化していきます。それについては次で。

 これもイントロで書きましたが、本作は2巻目がもの凄く面白い!特にお気に入りのエピソードは次のコーナーで紹介します。いやぁ…涙止まりませんでした…
超私的お気に入りエピソード

天を見上げて

P.231〜250
 大気圏突入直前にあるスペースシャトル『フロンティア』。その機体を一筋の光が貫いていく。そのとき地上では幸せいっぱいの結婚式が行われていた。参列した少女の目に突然飛び込んできた火の玉。それは爆発炎上して墜落してきたフロンティアの機体だった…

 墜落の原因となったのはデブリといわれるものでした。これは最近他のSFマンガでも採りあげられるようになった『宇宙のゴミ』のこと。打ち上げられたロケットや人工衛星の残骸や破片などが宇宙には溢れかえっていて、それが宇宙空間で大きな問題となっているのです。そのひとつがフロンティアに直撃してしまい墜落してしまいます。

 そのデブリ対策の国際会議に参加すべく、仲間たちと共に案を出す翔一。網みたいなものを吊り下げてゴミを根こそぎ獲ってしまえば良いと冗談交じりに話す。そのときそのひとりがふと思いついたのが宇宙まで延びる『壁』を作ることだった。それこそまさに軌道エレベータだったのです。

 国際デブリ会議直前、建二の会社で衝撃の開発が完成していた。それは新素材『フラロン』。究極の軽さと究極の強度を持った素材だった。会議参加前だというのにいまだ頭を抱えている翔一を見かねて、建二はこのフラロンのことを話してしまう。このことによって軌道エレベータが現実のものになり理論を会議で発表する。そのことが全世界を揺るがすことになり、彼らの環境は一変してしまう…

 会社から非難される翔一と新開発プロジェクトのリーダーとして抜擢される建二。謹慎中の翔一の元にある人物から1通の手紙が届きます。会議に参加していたDr.バーナムからでした。そこには飛行機のチケットが同封されていました。そこで待っていたのはアーサー・マインヘッド。彼はSF作家であり、国連宇宙開発委員会の特別顧問でもあります。彼と出会ったことによって翔一の心の迷いは晴れることになり、世界中にビデオメッセージを配信することになりました…

『みなさんこんにちは。私の名前はヒダ・ショーイチ。日本のJASDAで宇宙開発計画のシステム管理に携わっています。

 今宇宙がゴミで覆いつくされている事はご存知ですか。このままでは危なくて宇宙に出てゆけません。そこで私は「軌道エレベータ」というものでその宇宙のゴミを除去しようと考えました。

 私はずっと宇宙へ行きたいと思っていました。しかし宇宙に行けるのはほんの一握りの宇宙飛行士だけ。そして今やその道も閉ざされようとしています。しかし軌道エレベータが出来れば状況は一変するのです。宇宙ゴミはなくなり誰でも自由に宇宙に行けるようになります。地球と宇宙をつなぐかけ橋ができるんです。

 そればかりか軌道エレベータは私達に無限の宇宙資源と居住空間をもたらしてくれます。それはつまり今地上にある様々な国家や文明規模の対立を意味のないものにしてしまうんです。素晴らしいことだとは思いませんか?

 このビデオをご覧の皆さん、今夜空を見上げてみて下さい。あなたの国ではきれいな星空が見えますか。私は今その星々の世界に一すじの橋をかけようとしています。様々な困難はありますがわたしは決してあきらめません。

 想像して下さい。地上から天へとまっすぐに続く一すじの糸を。遠い未来の話ではありません。新しい世界はすぐそこまで来ているんです。』


 翔一の帰国後彼と建二を待っていたのは『現実』でした。

 会社からの軋轢がやまない翔一。そしてアメリカからの圧力を受け開発中止となった建二。そんななか翔一は会社に辞表を突きつけ世界へと飛び出していく。ビデオメッセージで自分が告げた信念のままに。

 旅立ちの日、空港で搭乗を待つ翔一の元に1人の少年がやってくる。彼は自分も宇宙にいけるか、いつ軌道エレベータができるのかと尋ねてきた。ビデオを観ていたのだ。それを聞いた翔一はこう笑顔で答えた。

『もうちっと待ってな。今ちょうどそれ造りに行くトコだ。』

 着いた先で待っていたのはマインヘッド。彼ら二人がいるのは軌道エレベータ建設予定地。その見上げた空の上にあるのは、彼らが目指す静止衛星だった…


 このあと一体どうなってしまうんでしょうか?あ〜〜〜早く続きが読みたい!
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