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2002年9月
スローターハウス5(カート・ヴォネガット・ジュニア) 川の深さは(福井晴敏)
「超」一流の自己再生術(二宮清純) 早わざおかずとラクラク献立
NHK趣味悠々 犬は大事なパートナー(藤井聡) Mental Gallery
論理パズル「出しっこ問題」傑作選(小野田博一) 聖闘士星矢(車田正美・浜崎達也)
超私的まんが道2≪一冊入魂≫
時の添乗員(岡崎二郎) .

「すると──」ビリーは途方にくれていった。「地球上の戦争をくいとめる考えも、バカだということになる」
「もちろん」
スローターハウス5

カート・ヴォネガット・ジュニア 伊藤典夫 訳

ハヤカワ文庫 560円+税
もう一度カート・ヴォネガットの作品をご紹介します。でも、そのまえにちょっぴり。このひとの名前なんですが、カート・ヴォネガット・ジュニアというふうに初期の作品では表記されています。これはお父さんと彼が同じカートという名前だったという事情があります。お父さんが亡くなってから彼は自分のジュニアを削りました。そこで彼の作品にはふた通りの著者名があるというわけです。

さて、ヴォネガットは第二次世界大戦でヨーロッパに渡り、ドイツ軍の捕虜になりました。そして、ドレスデンの捕虜収容所に送られます。収容所は屠殺場(スローターハウス)を改造したもので、彼のいた棟の番号が5番でありました。「スローターハウス5」です。これをドイツ語でいうと、「シュラハトホーフ・フュンフ」。

古都ドレスデン(非武装都市でもありました)はこの後、連合軍の大空襲を受けます。この都市は一夜にして灰になりました。ヴォネガットからすれば味方からの攻撃を受けたことになります。彼ら捕虜たちは地下に避難していて生きながらえることができました。

当時アメリカでは、それは有名な空襲ではなかった。それが、たとえば広島をうわまわる規模のものであったことを知っているアメリカ人は多くはなかった。わたし自身知らなかった。この空襲については、何もおおやけにされていないも同然であった。

そして終戦です。

わたしたちは飛行機でフランスの休養キャンプに運ばれ、チョコレート入り麦芽ミルクセーキやその他、栄養たっぷりの食物にありついてぷりぷりした脂肪をつけた。そして母国に帰り、わたしはこれまたぷりぷりした脂肪のついたかわいい娘と結婚した。

戦後の20数年間を彼は生きてきました。作家にもなりました。彼はあのドレスデンの空襲についての本を書きたいとずっと思っていました。ある戦友を訪ね、そのことを話します。しかし、戦友の奥さんが彼を批判します。

「戦争中、あなたたちは赤んぼうだったじゃないの──二階にいるあの子らとおんなじような!」
わたしはうなずいた。そのとおりだ。戦争中のわたしたちは、子供時代の終りにさしかかったばかりの愚かな青二才だった。
「でも、そんなふうには書かないんでしょう」それは問いかけではなかった。非難だった。
「い、いや、それはどうかな」
「わたしにはわかるわ。二人が赤んぼうじゃなくて、まるで一人前の男だったみたいに書くのよ。映画化されたとき、あなたたちの役を、フランク・シナトラやジョン・ウェインやそんな男臭い、戦争好きな、海千山千のじいさんにやってもらえるように。そして、戦争はすばらしい、だからもっとやろう、ということになるんだわ」

わたしは、右手をあげて彼女に約束した。「メアリ、この本がほんとうに完成するのかどうか、いまのところぼくにはわからない。もう五千ページやそこら書いているのに、みんな気にいらなくて捨ててしまった。しかしもし万一、これが完成するものなら、ぼくは誓うよ。フランク・シナトラやジョン・ウェインが出てくる小説にはしない。
そうだ、『子供十字軍』という題にしよう」


そんなわけで、これはけっしてマッチョな男たちの物語にはなりません。主人公ビリーは冴えない検眼医(≪ビリーは、1922年、ニューヨーク州イリアムに、理髪師のひとり息子として生まれた。ぶかっこうな子供だったが、成長してぶかっこうな若者になった──背が高く、ひよわで、コカコーラのびんのような体格をしていた≫)ですし、宇宙人(トラルファマドール星人)の空飛ぶ円盤に連れ去られたりもします。ヴォネガット作品の常連キルゴア・トラウトや、その他にもエリオット・ローズウォーター(「ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを」)が登場しますし、「母なる夜」のハワード・キャンベル・ジュニアについての言及もあります。ですから、どうかみなさん、読む前から戦争小説と決めつけないようにしてくださいね。というか、戦争についてはたしかに戦争なんですけれど、いわゆる戦争小説ではないってことです。それに、いわゆるSFっていうふうのものでもないと思うんです。

で、これは特定の読者にしか通じないいいかたかもしれませんが、ある意味、村上春樹作品を読むつもりでいてくれてもいいのじゃないでしょうか。初期の村上さんの作品にはしきりに「そういうものだ」ということばが出てきました。十八番のフレーズといってもいいかもしれません。おそらくそのフレーズの元祖はヴォネガットです。

そういうものだso it goes

たくさんの人びとが傷つき、あるいは死んだ。そういうものだ。

ビリーがヴァーモントの病院でしだいに快方にむかっているころ、彼の妻は一酸化炭素中毒で事故死した。そういうものだ。

演習が終りに近づいたころ、ビリーは臨時休暇をいいわたされた。ニューヨーク州イリアムの理髪師であったビリーの父親が、鹿狩りの最中、友人の撃った弾にあたって急死したのである。そういうものだ。

彼らがしとめそこなったのは、タイガー戦車である。それは空気をくんくん嗅ぐようにして88ミリの鼻づらをまわし、大地にしるされた矢印を発見した。砲弾が発射された。ウェアリーを残して砲射班の全員が死んだ。そういうものだ。

いちばん残酷な死刑は何だと思う、と彼はビリーにきいた。ビリーには想像もつかなかった。正しい答えは、つぎのようなものである。「砂漠の蟻塚の上に人間をあおむけにして縛りつけるんだ──いいか? やつのキンタマとチンポコには蜂蜜をぬる。それから目蓋をきりとって太陽しか見られなくして放ったらかしておくのさ、死ぬまで」そういうものだ。

彼は六ヵ月の懲役をいいわたされた。そして服役中、肺炎で亡くなった。そういうものだ。

むかしスポットという名の犬がいたが、死んでしまった。そういうものだ。ビリーはスポットを愛し、スポットもまた彼になついた。


作品のいたるところにこの「そういうものだ」があり、作品全体が「そういうものだ」を支えるような語りになっているわけです。この文体が成功しているとき、「そういうものだ」の効果は絶大です。「そういうものだ」の直前にはどんなに酷いことを描いてもかまいません。いや、それが酷ければ酷いほど「そういうものだ」が威力を発揮するんです。そして、いま語られたことを読者がどのように受けとめればいいのか、それを先取りするわけです。それは、わたしたちの個人的な怒りや、悲しみ、あるいは真面目さを、一種の喜劇に変えてしまいます。これについて話しだすと、またどんどん長くなってしまうので、このへんでやめておきますけれど、おそらくヴォネガットは私がこれまで何度もいってきた「世界を優先する語り」のできるひとなんです。

さて、「ぶかっこうな子供だったが、成長してぶかっこうな若者になった──背が高く、ひよわで、コカコーラのびんのような体格をしていた」「生きることに不熱心な」ビリー・ピルグリムの物語はこんなふうにはじまります。

聞きたまえ──
ビリー・ピルグリムは時間のなかに解き放たれた。
ビリーは老いぼれた男やもめになって眠りにおち、自分の結婚式当日に目覚めた。あるドアから1955年にはいり、1941年、べつのドアから歩みでた。そのドアをふたたび通りぬけると、そこは1963年だった。自分の誕生と死を何回見たかわからない、と彼はいう。そのあいだにあるあらゆるできごとを行きあたりばったりに訪問している。
そう彼はいう。
ビリーは、けいれん的時間旅行者である。つぎの行先をみずからコントロールする力はない。したがって旅は必ずしも楽しいものではない。人生のどの場面をつぎに演じることになるかわからないので、いつも場おくれ(ステージフライト)の状態におかれている、と彼はいう。


この設定というか、仕掛けは彼の最高傑作(と私は思っていますが)「タイタンの妖女」以来、ヴォネガットが世界を表現するのに欠かせないものになっています。この仕掛けと「そういうものだ」は密接な関係があります。

もうちょっといいますと、

一瞬一瞬は数珠のように画一的につながったもので、いったん過ぎ去った瞬間はもう二度ともどってこないという、われわれ地球人の現実認識は錯覚にすぎない。

わたしがトラルファマドール星人から学んだもっとも重要なことは、人が死ぬとき、その人は死んだように見えるにすぎない、ということである。過去では、その人はまだ生きているのだから、葬儀の場で泣くのは愚かしいことだ。あらゆる瞬間は、過去、現在、未来を問わず、常に存在してきたのだし、常に存在しつづけるのである。

トラルファマドール星人は死体を見て、こう考えるだけである。死んだものは、この特定の瞬間には好ましからぬ状態にあるが、ほかの多くの瞬間には、良好な状態にあるのだ。いまでは、わたし自身、だれかが死んだという話を聞くと、ただ肩をすくめ、トラルファマドール星人が死人についていう言葉をつぶやくだけである。彼らはこういう、そういうものだ=B

ヴォネガットのやったのは、トラルファマドール星人流に「人間」や「戦争」を見る、ということです。

ま、こんなへたくそな紹介のしかたでは、みなさんわかりづらいでしょうから、実際に本を読みはじめてくれませんか。(なんだか、私、このままだと全文引用してしまいそうなんですよ)

そして、最後に。ビリーとエリオット・ローズウォーターとのやりとりから。

ローズウォーターは頭の回転の速さではビリーより数等まさっていたが、二人が直面している精神的危機やその対処の方法は似たようなものだった。二人とも人生の意味を見失っており、その原因の一端はどちらも戦争にあった。たとえばローズウォーターは、ドイツ兵と見誤って14歳の消防夫を射殺していた。そういうものだ。

あるときローズウォーターがビリーにおもしろいことをいった。SFではないが、これも本の話である。人生について知るべきことは、すべてフョードル・ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』の中にある、と彼はいうのだった。そしてこうつけ加えた、「だけどもう、それだけじゃ足りないんだ」

おそらく村上春樹さんもローズウォーターさんと同じことを考えていると思いますね。

そういうわけで、みなさん、「カラマーゾフの兄弟」は読んどいた方がいいです。














「あんたの前に、川が流れてんだよ。その深さはどれぐらいか。1、足首まで。2、膝まで。3……えーと腰まで。4、肩まで」
「なんです、それ」
「いいから答えなよ」
 頬杖をつき、ニヤと笑った桃山の顔に、以前流行った心理テストの類かと思いついた。少し考えてから、涼子は「さあ。……肩までかしら」と思った通りを口にした。
 呆けたような桃山の顔は、すぐに低い笑い声に包まれ、やがて膝を叩いての大笑いに変わっていった。いったいなんだと呆れ、少し腹を立ててから、その開け広げな態度に涼子もつられて笑ってしまった。
川の深さは

福井晴敏

講談社 1600円+税
昨年オススメした『TwelveY.O.』、そして先月オススメした『亡国のイージス』と今回の『川の深さは』は三部作になります。前二作品が先に文庫化されていますが、スト−リー的にはこの『川の深さは』が一番初めの話になります。

今回の主人公は警察(刑事)を辞めて、ビルに出張勤務している警備員の桃山。判で押したような、まったく変化の無い毎日をおくる彼の管理しているビルに怪我をした少年と少女を、彼らを捜すヤクザから、かくまうところから始まります。
また、ヤクザの他にも彼らを追う組織が桃山の前に現れ、少しずつ桃山は少年と少女が何者なのか、そして彼らの置かれた立場を知ることで、それまでの停滞していた日常からはずれ、情熱にも似た感情を取り戻してゆきます。

この話の次に『TwelveY.O.』が来るのですが、どちらかというと『川の流れに』をベースに、さらに練り直したのが『TwelveY.O.』という印象を受けました。ですので、ストーリーはやはりどうしても『TwelveY.O.』に似ていますが、『川の深さは』の方が現実味はあるかなという感じです。ただ、『TwelveY.O.』はだんだんと展開が大きくなっていくのに対して、『川の深さは』は急にドーンと大きくなるところがあったりで、そのあたりは、さすがに練り直された(?)『TwelveY.O.』の方がうまいかな。

もちろん、三部作全体のストーリーの展開に従って、『川の深さは』→『TwelveY.O.』→『亡国のイージス』と読み進むのも良いのですが、私としては、『TwelveY.O.』→『亡国のイージス』そして振り返るように『川の深さは』と読むほうがオススメ。

考えてみると、三部作すべて主人公がオヤジと少年(少年って言っても、ただの少年ではないんですけど)です。オヤジ側は皆、背中に哀愁が漂い始めているし、少年は心に硬い殻をかぶっているシチュエーションです。これにはきっと、これまでの歴史とこれからの未来という暗喩が込められているのかもしれません。














「超」一流の自己再生術

二宮清純

PHP新書 660円+税
ストが回避され、無事に9月もMLBを観ることができてホッとしている。今年は日本人のいるマリナーズ、ドジャース、ジャイアンツと、プレーオフに向け連日熱戦を繰り広げているが、よほどのミラクルでもない限り、ワイルドカードでの出場になってしまうだろう。希望としてはマリナーズとドジャースにワイルドカードの切符を手にしてもらいたいところだ。そんな中で、野茂はやっぱりスゴイ! 投球フォームは少し変わったが、ピッチングのスタイルは新人の時から今までほとんど変わらず、野茂のスタイルを貫き通してマウンドを守りつづけている姿は、スゴイの一言に尽きる。この本の第1章にある「野茂英雄論──再生しつづける男」では、だから野茂は超一流なのだ、とあらためて認識させられる。壁にぶつかった時に、問題点を見きわめ、直しつつ自分のスタイルを変えることなく貫く。まさに「再生」を繰り返して「野茂英雄」を貫く。男としてカッコいいの一言だ。
他にも、投手再生の天才古田敦也のことや、ジャフ市原を弱小チームから上位に躍進させたズデンコ・ベルデニック監督のことなど、思わずナルホドとうなずいてしまう。二宮流の分析が冴え、スポーツ好きの人にはぜひオススメです。














別冊エッセ
早わざおかずとラクラク献立
スピードレシピ133とヘルシー献立34



扶桑社 838円+税
わが家の娘も1才8ヶ月になり、家中を走り回ってニコニコとちらかしたり、グズって泣いたり……。そんな育児に追われ、料理になかなか時間をかけていられなくなってきた最近のわが家で、大活躍をしているレシピ本がこれです。
調理時間も10分かからないものから20分弱ぐらいまでと、短時間で出来るものばかり。しかも、残り物を他のごちそうに変身させるレシピも載っていて、まさにお買得の1冊です。なんといってもスピードレシピが133とヘルシー献立が34も載っているんですから!!

なかでもわが家で一番重宝しているレシピは!

鮭の簡単混ぜずし
──ちらしずしといえば、時間がかかって面倒だという人も、これなら簡単!! 鮭も卵もレンジでチンしてほぐし、キュウリを塩もみしてしんなりさせ、酢飯をまぜれば出来上がり。娘も大好物らしく、おひつから直接スプーンで食べてニコニコです。見栄えもよく、急な来客にも使える一品です。

時間がないと困っている人にはオススメの1冊です。














NHK趣味悠々
犬は大事なパートナー


NHK出版 1000円+税
現在教育テレビで毎週水曜日に放送されている講座のテキスト本です。これまで4回放送されていますが、内容は基本的に犬の飼い方、しつけ方を一般の飼い主さんと犬を例にとり、講師の藤井先生がわかりやすく親切にアドバイスしていきます。犬の行動を見ながら今何を考えているのか、どうしたいのか、飼い主の言うことをどのように理解しているかを説明し、飼い主のしつけ方法を正していきます。吼える・リードを噛む・引っ張る・すわれ・ふせ等、言うことを聞かないやんちゃな犬たちが見事なまでにいい子になっていきます。思わずやらせか?と思ってしまうぐらい凄いです。放送をご覧になるのが一番わかりやすいとは思いますが、テキストの中身も各犬種の特性や飼いやすさ、写真を用いてのしつけの方法がとてもわかりやすく載っていますので、現在犬を飼っている方もこれから飼う方もぜひ読んでもらいたい一冊です。それにしても講師の藤井先生はほんとうに凄いなあ!














Mental Gallery
「じぶん」の「こころ」を探す本


祥伝社 952円+税
  幸福とは100%主観的な物です…

あなたは今、自分の幸福を受け止める事が出来ていますか?

人生は「山あり谷あり」、ふと皆にどう思われているかと考えて不安になったりした事はありませんか?

ただ答えの出ない夜を悶々と過ごすよりも、ある程度自分を突き放し、客観的に自己分析してみてはいかがでしょうか…。

あなたが昨日みた夢は、次のうちのどれに当てはまりますか?

a・現在に関する怖い夢

b・過去に関する怖い夢

c・現在に関する楽しい夢

d・過去に関する楽しい夢

質問の内容と、診断結果は本書をご覧下さい…きっと本当のあなたが見えてきます。

  今回のオススメ度 ★★★★☆(通常、心理テスト本と言うと、その手の質問事項と診断解説の羅列ばかりですが、本書はちょっとした写真集としても楽しめ、プレゼントにもぴったりです。)














論理パズル
「出しっこ問題」傑作選


 小野田博一

 講談社ブルーバックス 750円+税
    の〜みそウニウニ・・・

私はこのテの問題が「大嫌い」です…ただ単に「論理的思考の不得手な単細胞生物」と言う噂もありますが…。

先日大の親友であるLさん(仮名)から、同様の問題を出され、見事に玉砕したのが事の発端(‐‐;)

ちょっと悔しかったので、より柔軟な頭脳を目指し、本書の登場と相成った訳ですが…諸兄はこの問題、解けるかなぁ?

高校生の女の子3人が(A・B・C)が、それぞれボールを1個以上持っていて、3人合計7個です。

2個以上持っている子の発言は真実ですが、1個だけ持っている者がいるなら、その子の発言は偽です。


A・「BはCより多くボールを持っています」

B・「CはAよりボールを多く持っています」

C・「私は新体操が大好きです」


果たして、1個だけの子がいるのでしょうか?いるならそれは誰?


私の様に、解けなくて悔しい思いをなさった方…正解は本書をご覧下さい(苦笑)

  今回のオススメ度 ★★★★☆(たまには「の〜みそウニウニ」、頭の体操致しましょう…論理思考を養う事も、大切ですよ?)














聖闘士星矢
盟の章

車田正美 浜崎達也

集英社ジャンプジェイブックス 762円+税
  女神の聖闘士、ここに復活!!

1980年代半ば、週刊少年ジャンプの全盛期に彗星の如く登場し、車田漫画を世界に広めたあの作品が、小説として16年ぶりに復活!

当時小中学生だった諸氏なら、一度は見た事があるであろう、あの【聖闘士星矢】が帰って参りました…【リンかけ2】をご覧になりながら、歯がゆい思いをしていた聖闘士ファンの皆様には朗報です。

今回の敵は古の時代、アテナによってシチリア島の地底深く封印されていた巨人・ギガスの戦士たち!

クリスタルの如く輝きを宿す【金剛衣(アマダース)】に身を包み、脅威的な破壊力と防御力を備えた【新たな邪悪】が胎動を始め、暗躍を開始した…仲間をさらわれ、救出に向かう星矢たちの行く手を遮ったのは!?

…と言う物語で、作品中の時間が、どの辺りであるかはハッキリと出ておりませんが、第一部・聖域編、【双子座のサガの乱】以後のストーリーと言う事だけは語られており、一部の黄金聖闘士ファンはガッカリなさったかも知れませんが、そこはそれ車田マンガのお約束、ナニが起きても不思議ではありません。

今回が第一巻に当り、続刊出ますので、あきらめずに待って見ましょう。一部未確認情報ですが、【ハーデス編】アニメ化との噂もあることですし…(喜)

  今回のオススメ度 ★★★☆☆(連載当時、アニメに玩具に夢中になった諸兄も多いはず。【リンかけ】に続いて車田マンガの金字塔、小説版で堂々の復活です!)






≪一冊入魂≫

第9回 『時の添乗員』

岡崎二郎先生って知ってます?

 最近私がハマっている作家さんに岡崎二郎先生がいます。ハマったきっかけは今回紹介する『時の添乗員』を読んだことなんですが、以前から興味はあったんですね。ですがなかなか今まで手を出せなかったんです、何となく。

 ですが以前書いたかもしれないんですがタイムトラベルもの好きな私、『時の添乗員』というタイトルに惹かれて読んでしまいました。で、どうだったかというと冒頭の通りハマってしまいました。

 それから全作品読むべく集めてまわっているんですが(いちばん揃わなそうだった『アフター0』が現在完全復刻が開始していてラッキー!)読む作品読む作品すべて面白い!しかもリアリズムをもたせるべく書かれているウンチクがためになるんです。雑学大好きな私の興味は増すばかり。ていう訳でまだ揃わぬ作品を求めている毎日です。ちなみに現在『時の添乗員』『アフター0(4巻まで)』『NEKO2』全2巻、『国立博物館物語』全3巻はゲットしましたが、まだ『大平面の小さな罪』『トワイライト・ミュージアム』が揃っていません。これ以外にも出ているんだろうか・・・?御存知の方教えてくださいませ!それと・・・

小学館さん、『大平面』『トワイライト』重版して!


時の添乗員

岡崎二郎

小学館 1巻まで 505円+税
 まずは簡単な作品紹介から。

 とある地下鉄の駅の改札口付近。そこには一軒の旅行会社のブースが。ジャパン・ライフ旅行社。その受付にひとりの男。悩みを持つ登場人物たちは不思議なことにその男に引かれるようにしてブースに近寄っていく。

 いろいろ物色する彼らにその男はそっと呟く。

『私どもには、特別なツアーが用意してありまして・・・失礼ですが・・・それは今、あなたがお悩みになっていることを、解決してくれるかもしれませんよ。』

 更に男はこう付け加える。

『あなたが行ってみたい、戻ってみたい・・・と思う過去の一点に、お連れするツアーです』と・・・


 ツアー料金は300万円、ひとり1回限りという条件ではありますが、行ってみたいと思いません?私は行ってみたいですね。登場人物も本当に様々な思い・悩みを抱えて過去に旅立っていきます。辿り着いたその場所で彼らは多くの真実と巡りあいます。

 私もそうですが人間の記憶というのは都合の悪いことも都合良くされていたりしますよね。ただその曖昧さ故に時に救われ、時に苦しんだりすることもあります。ただ、ここに登場する旅人たちはどうだったのか?本巻の最後のエピソードで添乗員がこう呟いています。

『この仕事を私に与えてくれる≪雇い人≫の正体は、何も分からないと。私自身が、実験室のネズミではないのかと。でも、私は思うのです。過去に戻った人たちは、いつも心から満足して、現在に帰ってきます。あの人たちの幸せな表情・・・私はそれを忘れることが出来ません。』

 これが答えなんでしょうね。

皆さんでしたらどんな顔で戻ってこれますか?
超私的お気に入りエピソード
第6話『恩人』

P.127〜152
 このエピソードの主人公は戸田公平という大学医学部心臓外科助教授。彼の父親は町医者で整形外科医で専らお年寄りのリハビリ専門。公平はこの父親を風采のあがらない医者と見下している。だがそんな父親もかつては日本有数の心臓外科チームの一員であった。もちろん公平は信じられない気持ちでいっぱい。しかし彼が父親をこう思うのにはもう一つ理由があり、それは父親は収賄容疑で大学を追放された身であったこと。医師免許も剥奪されかかったが、それは同じ大学で心臓外科チームの上司であった山岸教授によって救われた。

 さらに教授は先天的に心臓疾患のあった公平の手術も手掛け、親子共有の恩人という人だった。公平は現在大学でロボットを使用した最先端の心臓外科手術の研究開発を行っている。が事はうまく運ばず、更にメーカーからの不正融資の申し出を受けている。思い悩む彼がふと目にする旅行会社のブース。ジャパン・ライフ旅行社。微笑む受付の男。そしていつもの一言が・・・

 夜も更けてきたとある理容室。『理容室時尾』。その一番奥の座席がタイムトラベルの出発点。受付にいたあの男が静かに席につくように促す。公平が希望した時はかつての恩人である山岸教授が生きていた時代。彼はどうしても恩人であり天才的な心臓外科医である教授のアドバイスが聞きたかったのだ。

 腰掛ける公平の前に突然広がった光景は教授が隠居生活を送っていた家の庭だった。2人の姿に気付いた教授に語りかける公平。

『は・・・初めまして。実は、私・・・』

 言葉をさえぎるように驚きながら教授が言う。『戸田くんか!?』

 驚く公平に添乗員は父親と勘違いしているんだと囁く。教授が続ける。

『君が会いにきてくれるとはな・・・わしゃあもう誰とも会わんつもりだったが・・・君だけには、もう一度会いたかった。会ってあやまりたかったんだ。

 このあと教授の告白は更に続いていきます。いったい過去に何があったのか?それに公平はどう答え、どういう決断をしたのか?それは各自読んで確認してみてくださいませ。最後のコマで添乗員がこういっています。

『誰にでも恩人がいます。両親、兄弟、学校の先生、会社の上司。その人がいなければ、今のあなたもなかったであろう恩人です。または、何度もあなたの心を癒してくれたアーチストも恩人といえるでしょう。あなたを救ってくれた人生の恩人たち・・・しかしながら、誰かを恩人と思える心こそ、実はあなたを救ってくれているのです。そんな人生の恩人たちのもとにあなたをお連れするのが私ども≪時の添乗員≫の仕事なのです。』・・・

うーん・・・沁みるね・・・

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