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2002年8月
ブック・オブ・ザ・ダンカウ(ウォルター・ワンゲリン) 亡国のイージス(福井晴敏)
チワワ大好き いつもキャッチボールが教えてくれた(佐藤倫朗)
甲子園へ行こう 社名の由来(本間之英)
奇天烈PC自作列伝 5万円で組み立てるインターネット対応パソコン
(内田勝利)
超私的まんが道2≪一冊入魂≫
海猿(佐藤秀峰) .

だが、不思議なことに、夢の中では、憎しみの言葉を吐き出すことがとても心地よく感じられ、すすり泣くことも舌に甘い薬のようだった。知らぬふりをされ、島に一人とり残されたションティクリアは自分が哀れに思えてならなかった。が、その自己への憐れみでさえ心地よく思える。魂の底から出た混じり気のない憎しみを叫びに変えることは、慰めであり、安堵であり、一種、破滅的な勝利ですらあった。
ブック・オブ・ザ・ダンカウ

ウォルター・ワンゲリン 原田 勝 訳

フォレストブックス 1900円+税
いまのところ2002年最大のおすすめ本です。

驚きました。これは、いまはなきサンリオ文庫「ダン・カウの書」(85年)の新訳です。サンリオ文庫に収められていた作品には、フィリップ・K・ディックの何点か、あるいはジョン・アーヴィング「ガープの世界」のように他の出版社に引き取られたものもあるんですが、なんということか、「ダン・カウの書」に里親は見つからなかったのでした。数年前に徳間書店から出た「小説 聖書」が大ヒットしましたが、うちの店が最初からかなりの数を注文しておいたのは、その作者が「ダン・カウの書」のひとだったからでした。あのころ、同じ徳間書店からこちらの本が復刊されないかと期待したものでしたが、そういうことにはなりませんでした。そこへこの「ブック・オブ・ザ・ダンカウ」の登場です。しかも、訳者も変わっています。すぐに読みましたが、訳はこちらの方がよいようです。こんなふうに一度は見捨てられた本が蘇生するというのは、ほんとにうれしい。他にも数多くあるはずのこうした本が、いずれはまた誰かに抱き起こされることになればよいのですが。

それでは、お待たせしました。「ブック・オブ・ザ・ダンカウ」です。
この物語に人間は登場しません。主人公はオンドリで、名前をションティクリアというんです。しかし、まず物語のはじめになさけない犬が登場します。彼の名前はムンドー・カニ。真夜中、みんなが眠っているところに彼がやってきて、泣くんです。

……夜が刻々と深まるにつれて、はっきりとしたむせび泣きに変わり、あげくにどう聞いても遠吠えとしか言いようがないものとなったのだ。遠吠え──、それも小屋のすぐ外で、しかも真夜中のこととなれば、とても放っておくわけにはいかない。

「……さあ、見て、悲しまれよ。この姿を見て胸を痛めるがよい。いや! だめだ、どうか見ないでください! だれもこんな姿を見て心を塞がせることはありません。私は罪そのものなのですから。お休みください。眠って、そして私が決して手に入れることのない安らぎにひたってください。だれかの心が平安であることを知れば、私の魂も少しは救われるというものです。さあ、お休みください」そう言うと、まるで吹きすさぶ北風のように声を張り上げた。「私は見捨てられたんだーーーっ!」

こうして彼は鶏小屋のみんなを起こしてしまうんです。

と、こんなふうに動物たちの世界が語りだされるわけなんですけれど、

動物たちが言葉を話し、理解することができたその当時、世界は今と同じように丸かった。……神の造り給うた無数の者たちが、このじっと動かぬ大地の上で暮らしていた。ションティクリアを含む動物たちであり、神は雲の上からその様子にお気づきになっていらっしゃった。そして、誇りに思うべきは、彼らはある目的のために存在していたということである。

そして、

その目的とはなにか? 一言で言えば、動物たちは番人だった。見張りであり、監視人だったのだ。彼らは強大な悪を食い止める最後の守りであり、しかも、その悪は、万一解き放たれてしまえば、大宇宙に一気に飛散し、それまで秩序と善を守ってきたものすべてを混沌と悲しみの中に叩きこむはずであった。

それは、

その頃、地の底で暮らしていた生き物はただ一つ、神の断罪を受けて閉じこめられていたのだ。このものこそ、動物たちが見張るべき悪であった。その名をウィルムと言う。

ということなんです。ウィルムというのは、地殻の下に閉じ込められ、出口も見出せないまま、悪臭を放ってぐるんぐるんと身をうねらせている巨大な蛇なんですね。

ずいぶん重々しい感じがしなくもないですが、大丈夫、動物たちは自分たちのそれほど重要な存在理由のことなんてまったく知りません。みな平和で、のどかな生活を送っています。ある時点までは……。

まあ、しかし、とりあえずは物語の中心になる土地の領主、ションティクリアの鳴き声について引用しておきましょう。

一日に七度、怠ることなく、その大切さを深く心に刻みつつ、遠い昔に神が下された命令に従って、ションティクリアは時を告げる。

……六番目の鳴き声は、日が沈もうとする時に響き渡る。メンドリたちはこれを聞いて喜んだものだが、それにはいくつかの理由があった。まず第一に、ほめ言葉に聞こえるからだ。夕暮れの空気を伝わってきた声に背中をぽんと叩かれると、まるでそよ風に吹かれたように額の汗が引く。「よくやった」声はそう言っていた。「昨日よりもがんばったじゃあないか。さあ、もう今日は終わりだ。夕食を食べて、ゆっくり休むがいい」そう、これがメンドリたちが喜ぶもう一つの理由だった。仕事は終わり、さあ、夕飯だ。

どうでしょう? なんだかとてもよい雰囲気ですよね。ションティクリアがどんな領主であるかということがよく伝わってきます。

で、それから、こんなことが語られます。

さて、ここでションティクリアの三つ目の鳴き声についても触れておかねばならない。彼自身はまだ知らぬことではあったが、また別種の叫びが、ムンドー・カニが鶏小屋を訪れて一年もたたないうちに、ションティクリアののどから恐ろしい力とともに放たれることになる。というのも、ある敵がオンドリと彼の領土を脅かそうとしていたからだ。その年のうちに、ションティクリアの領土は攻撃にさらされ、すんでのところまで追いつめられるのだが、その戦いの中で、第三の鳴き声が欠かせない武器となった。情け容赦ないその声は、鋭く、爆発的で、殺意にみなぎり、敵の気勢をそいだ。この鳴き声は「力ある声」と呼ばれることになる。しかしまだションティクリアはこれについてはなにも知らない。敵のことも、来るべき戦いのことも、そして身内に秘め、やがて放たれることになる必殺の叫び「力ある声」のことも。

こうして物語の最初から、この先なにが起こることになるのかが告げられます。物語というのはこうしたもので、語り手は結末を知っていて、それをみなさんに語り伝えるわけですよね。これからどんな悲惨な出来事が動物たちを見舞うことになろうとも、結局のところ、彼らは切り抜けることができる……。最初からそう明かしているんです。ということは、です。あとは語り手がどのように語るか……物語のおもしろさはそこに懸かってくるわけです。語り手はあざやかにみなさんの期待に応えることになるでしょう。

美しい婚礼で終わる第1章はこんなふうに結ばれています。

これで第一章、ウィルムの番人たるオンドリのションティクリアと彼の鶏小屋に集う者たちの物語を終える。

さてさて、

「ブック・オブ・ザ・ダンカウ」──これは心の弱さについての物語でもあります。
次の引用は、ションティクリアの見る夢なんですが、領主である彼に忘恩で報いるメンドリや犬たちにむかって叫んでいるんです。この夢は彼を誘惑しているんです。

「おまえたちが憎い!」ションティクリアは小さくなってゆく舟影にむかって絶叫した。「憎い! 憎い! おまえたちみんなが憎い!」
ションティクリアはのどが痛くなるほど叫んだ。そして再び一人きりになると、怒りに満ちたすすり泣きに胸を震わせた。だが、不思議なことに、夢の中では、憎しみの言葉を吐き出すことがとても心地よく感じられ、すすり泣くことも舌に甘い薬のようだった。知らぬふりをされ、島に一人とり残されたションティクリアは自分が哀れに思えてならなかった。が、その自己への憐れみでさえ心地よく思える。魂の底から出た混じり気のない憎しみを叫びに変えることは、慰めであり、安堵であり、一種、破滅的な勝利ですらあった。なんといっても、自分には憎む権利がある、ションティクリアはそう思った。自分をこんな目に遭わせたのは彼らだ。だから、これは正当な怒りであり、当然の自己憐憫なのだ。


どうです?≪不思議なことに、夢の中では、憎しみの言葉を吐き出すことがとても心地よく感じられ、すすり泣くことも舌に甘い薬のようだった。≫これがこの本の秘密です。こういうことに感度のあるひとにはまちがいなく魅力的な1冊なんです。そして、以前このHPのどこかで書いたことがありますけれど(おぼえていますか?)、「謙遜な勇気」が問われることになるんです。














「戦争が上手にやれたって、ひとつもいいことはねえんだから……」
亡国のイージス

福井晴敏

講談社文庫 上・下巻 各695円+税
〔織り成す〕という言葉があります。「幾人もの人物が織り成す」、「運命が織り成す」、「いくつもの事件が織り成す」…。
この小説もまた、幾人もの人物や組織・国家、そしてそれらの思惑が織り成す「亡国の危機」を描いたストーリーです。
福井晴敏氏といえば以前紹介した『トゥエルヴYO』の著者。『亡国のイージス』はその続編。

前作で登場した“封印されていた化学兵器”を〔北〕の組織に強奪され、都内のビルに篭城されてしまう。その後彼らは7つに分かれ全国に散開する。各自が化学兵器と思われるカプセルを所持(内6つはダミーですけど)しているため、監視者も手を出せずにいる中、そのテロリストの一人が搭乗した旅客機が海上で空中爆破してしまう。(他のテロリストも次々と自決)
旅客機の墜落した海域の近くで訓練航海していた日本の誇るイージス艦《いそかぜ》は要請をうけ現場へと急行。ところがさかのぼる事数ヶ月前、政府のある特務機関の監視下にあった海上自衛隊の海幕人事課長が自殺してしまう。その課長が担当した人事が《いそかぜ》のものであり、ごく一部の事情を知る者にとっては危機感を抱かせる内容だった。

うーん中途半端な説明ですけどこれ以上書けないです。とにかく緻密。だいたい小説の序章なんて10ページ前後。20ページもあれば「ディテールにこだわってるのかな?」と思ったりすることもありますが、この本80ページも使ってます。『トゥエルヴY.O』のときも思いましたが、ディテールに対するこだわりは凄いです。どうしても物語の前半はそういった部分にページが割かれやすく、人物の感情表現などが乏しくなりがちだったり、そういった細かさが苦手な方も多いかもしれませんが、下巻に入ってからは“一気”です。相変わらず通勤電車のなかと風呂(!)の中だけで読んでいるんで、ペースが遅いんですが、下巻に入ってからは……。おかげでせっかくの二連休が読書で終ってしまいました(めちゃめちゃ良い天気だったのに…)

また、実際に起きた事件―北朝鮮のミサイル実験:日本の上空を通過し太平洋に着水。北朝鮮はミサイルではなく、ロケットだと言い続け、一方偵察衛星で事前に知っていたと思われるアメリカ (というか知ってたろ!)は何にもしなかった―もプロットのひとつに組み入れらていて、小説の世界観は現実のそれに則したものです。

こういった本だと、学研や中央公論新社などの新書にある戦術シュミレーション小説や仮想軍事小説と一まとめに同じ物と思われるかもしれません。もちろん、そういった側面もあるかもしれませんが、それはこの小説にとっては重要な要素であってもあくまでも部分です。まんがでいえば、かわぐちかいじ氏の『沈黙の艦隊』に近いかも。でも、もっと人間の弱さや脆さ、あいまいなところが描かれていました(解説にも同じようなことが書いてありました)。どうしても“右より”になりやすいジャンルの本ではありましたが、右だとか左だとか、保守とか革新とかの前にもっと考えなきゃいけない“大事なこと”が書いてあります。

そうそう、『トゥエルヴY.O』の平曹長も登場します。ほんのちょっとですが「おぉ、こんなところで奇遇な!」って。

読むんだったら『トゥエルヴY.O』読んでから!。














チワワ大好き



成美堂出版 1200円+税
このタイトルそのまんま! すみからすみまでまるごとチワワの本です。チワワ大好きには見逃せない一冊です。総勢328頭ものかわいいチワワが紹介されていて、その毛色のバリエーションの多さや、大きさ、独自の表情に驚かされます。これからチワワを飼う人には大変参考になると思います。チワワならではの事故や病気に対する予防策、解決策もくわしく載っています。例えばP110の、ケガや事故からチワワを防ぐ8つの工夫などとても参考になります。また、P96〜P99までは年齢に応じた食餌に関するアドバイスがあり、現在飼っている人達も見直すいい機会になりそうです。この他に洋服やキャリーバックから色々な小物も紹介されていますので、おしゃれ好きの飼い主さんは要チェックです。チワワを飼っている人もこれから飼う人もぜひ読んでください。
実はウチにもチワワが3頭おり、チワワと一緒に暮らす生活を楽しんでいます。そんな私にもこの本はとても勉強になりました。今回保存版を含む2冊購入しちゃいました。ほんとうにおすすめです。














いつもキャッチボールが教えてくれた
55の言葉で読むその不思議な力

佐藤倫朗

東洋経済新報社 1200円+税
父親とのキャッチボールの思い出≠チて男ならたいていありますよね。自分も結構父親とやったと思うけれど、一番記憶に残っているのは、小6の夏休みの最終日、朝からたまった宿題をさせられていたのが、途中で嫌になって、泣いて頼んでやってもらったキャッチボールが一番記憶に残っています。
たぶん宿題のことを一瞬でも忘れて遊べたことと、それに、おそらくそれ以降父親とはキャッチボールをやっていないからなんでしょう。皆さんにはどんな思い出≠ェありますか?
この本では55の言葉≠ナキャッチボールについて書かれています。イチローやA.ロドリゲスといったスーパースターの話や、「神様、仏様、稲尾様」によるキャッチボールの楽しみ方についてのインタビューなどがのっていて、読み終えた後になんだかキャッチボールをやりたい気持ちにさせられます。














Jガイドマガジン
一度は詣でたい野球のメッカ

甲子園へ行こう



山と渓谷社 648円+税
今年も夏の甲子園の季節がやって来た!! 全国49代表校が日本一を目指し、熱戦を繰り広げる毎日!!
TVで応援するのもいけれど、甲子園に行って、生で応援してみるのはいかがでしょうか?
千葉代表の拓大紅陵を応援するもよし、みなさんの故郷の代表を応援するもよし、高校野球、そして甲子園の雰囲気を感じるのもまたよし。TVでは味わえない何かを感じに行ってみませんか?
この本では甲子園球場だけでなく、周辺の案内や、過去の大会のデータなど、そしてもちろんタイガース特集も載っていて、東京から新幹線に乗って、これを読みながらの約3時間であなたはもう甲子園通≠セ。
関西はUSJだけじゃない。
夏限定(春も)の甲子園に行こう!!














誰かに教えたくなる
社名の由来

本間之英

講談社 1600円+税
      社名も色々あるけれど…

今を遡ること18年前、原口が中学生だった頃、社会科の教師・恩師S(仮名)が、授業中のお話でこんな事を語っておいででした。

お前ら、キティちゃんを売り出した【サンリオ】と言う会社を知っているか?
あそこの会社はなぁ、【サンリ】と言う土地の【王】になるようにと、時の社長が願いを込めて付けた会社名なんだぞ!

それ以来、この年になって本書の【サンリオ】の項を読むまで、私はこの話をマユツバ物として本気にしていませんでした…(‐‐;)

恩師S、疑って申し訳ありませんでしたぁ〜m(_ _)m

  今回のオススメ度 ★★★★☆(会社の名とは、創業者の願い・広まりやすさなどを込めてつけられております。アナタの勤務先の社名の由来はナンですか?)














奇天烈PC自作列伝

 

 MICRO MAGAZINE 933円+税
  敢えて言おう、カスであると!!

ちょっと言いすぎな感もありますが…(汗)

かつてウィンドウズ95・98が世界を席巻し、現在に至るPC市場。その初期の段階で登場したCPU【Pentium】(俗に言うクラシックペンタ)は、高速な演算処理能力を持つ画期的な物として、メーカー製パソコンの大部分のシェアを占め、サードパーティがコレに目を付けて参入、大いに市場を潤したものですが…。

先日、秋葉原にパソコンの修理部品を探しに行った際、中古店のショーケースの片隅に、ひっそりと陳列されている【クラシックペンタ】を見付けてしまいました。

 その販売価格、ナンと¥600(税別)!

かつて売り場を賑わせていた往年の名パーツも、7年経てばもはやガラクタ同然…。

本書はかつて、そのPentiumの全盛時代に作られた自作PCの記事を集めた復刻版なのですが…ソフトやそれを記憶するメディアが大容量化してしまった今、どの程度の水準で利用できるのか、ハッキリ言って謎です。

ただ、ワード&エクセルと言ったビジネスユースなら、何の支障も無く使用は可能な上、記事中書かれている価格は当時の値段…今は二束三文で購入できる水準まで落ち込んでいる事を考慮すれば、まだまだ活躍の場は残されているのかも。

しかし、7年前の自作PCって、こんなに費用が掛かったのですね…ビックリしました(苦笑)

  今回のオススメ度 ★★☆☆☆(インテル社隆盛の礎となった、Pentiumマシーンを自作に取り上げた、7〜5年前の記事を復刻して纏めたもの。当時のスペックの低さと価格の高さにただ驚くばかり…PC業界のサイクルの早さに改めて驚かされました…)














5万円で組み立てる
インターネット対応パソコン

内田勝利

IDG 933円+税
  決起(たて)せよ、自作派!!

2002年もはや、夏。変化と進化の激しいコンピューター業界では、また新製品ラッシュが訪れ、この秋には現行ウィンドウズの改良版OSが発売されるとか。

お陰様でちょっと前の最新鋭機種も、ちらほらと中古店に並び始め、それ以前の機種など、なだれ現象で値下がりが始まっております…勿論、部品単位でも。

 そんな時こそ、自作には絶好のタイミングです!

CPUもメモリーも、ハードディスクすらバンバン値下がり傾向にあり、きっちり下調べを行って、根気良く秋葉原を巡って探せば、1〜2世代前のスペック程度のマシンなら、総額5万円を切って製作する事も不可能ではナイでしょう!

最近のトレンドとしては、セカンドマシンとしてキューブ型のケースを用いた小型な物が人気だとか?

安価かつ、オリジナリティを求めるパソコン購入希望者・必読です(笑)

  今回のオススメ度 ★★★★☆(遥か以前、このコーナーにて紹介した物の第6段目。現行最新のスペックマシーンと1世代前の物では、CPUを始めとする一部のパーツに互換性が無い為、部品価格の暴落はある意味チャンス。この機会に一台作ってみません?)






≪一冊入魂≫

第8回 『海猿』

『ブラックジャックによろしく』って知ってます?

 話によると発売2日間で50万部達成した最近チョット話題の作品です。かくいう私も買い求めたひとりなんですが・・・。現代医療の抱える問題点を医療現場での新人である研修医という立場から描いています。その問題に振りまわされる主人公。ただ彼が常に最も優先させようと願うもの、それは本当の医療。すなわち『医は仁術』というような、患者の命、気持ちを優先させるんですね。これによって色々自分が不利になっていくんですがそれも省みない、主人公の熱さに胸打たれました。

 で今回のマンガ道、こいつで行こうと思っていたんです。が、この作品の著者、佐藤秀峰先生がかつてヤングサンデーで描いていた作品『海猿』が気になって読んでみたところ、先にとりあげるほうがベストと思いこちらから行くことにしました。というわけでわずか3日間で一気に全12巻読んでしまった『海猿』、

佐藤先生の熱さ、感じてくださいませ!


海猿

佐藤秀峰

小学館 全12巻 各505円+税
 まずは簡単な作品紹介から。

 物語は博多港からはじまる。海上保安庁創設50周年の節目に第7管区(九州)海上保安本部に「はかた」が配属され、その記念式典にひとりの女性記者の姿。毎朝新聞の浦部美晴。「はかた」の姿を写真に収めようと勝手に乗り込んだ「ながれ」という名の船。九州支局への配属を不満に思いながらタバコに火をつけてひとり佇む彼女。こぼれ落ちるタバコの灰。そのとき聴こえるはずのない海からの

『あぢ!!』

という声。見下ろす彼女。船の舳先にしがみつくひとりの男。驚き問いただす美晴。

『仙崎大輔・・・航海士補・・・』

 彼こそ本作の主人公である仙崎大輔。巡視船「ながれ」に配属されて間もない航海士補。

 記念式典が続くなか突然の入電。SOS信号の要請を受けて出向する「ながれ」。明るかった船内に緊張感が充満する。現場海域に到着した「ながれ」。炎上する難破船。救助活動も順調に進み撤収を告げる声が船内の大輔の耳にも届く。が!大輔はおかしな光景を目の当たりにする。壊れた扉から流れ出す無数のペットボトル。なかには吐しゃ物が・・・実はこの船にはとんでもない秘密が・・・


 といった感じで本作ははじまっていきます。この後も数々のエピソードが続き、そのたびに挫折や成長を繰り返していく大輔。

 連載第1回目だけ当時読んだことあったんですが、そのあと掲載誌のヤングサンデーを買わなくなってしまったのと、曽田正人先生の『め組の大吾』のパクリと勝手に思い込んでいたりと読むきっかけを失っていたんですが、前書きにもあるとおり『ブラックジャックに〜』を読んで興味が湧き読んでみました。

しまった・・・もっと早く読んでおくべきだった・・・

 確かに『め組』とオーバーラップすることはあるんですが本作のもつ独特の緊張感は『め組』とはまた違った面白さでした。佐藤先生の描く主人公も曽田先生同様新人故の熱さと危うさが同居し、読んでいる我々に共感を覚えさせます。

 『海猿』は全12巻で終わってしまいましたが『ブラックジャックに〜』はまだまだこれから。もっともっと熱く描いていって欲しいですね!そうそう、大輔は船の舳先にしがみついて何をしていたのか?正解はウ○コ・・・(笑)
超私的お気に入りキャラ
工藤 始(第1管区所属)

第28話〜40話まで
 仙崎大輔は様々な事件を通じて様々な人たちと出逢っていきます。その中でも個人的にお気に入りだったのが第1管区(北海道)所属の工藤始。

 彼は大輔が潜水士になるための訓練をするために広島の海上保安大学校に行ったときに知り合う仲間のひとり。出会いからして変な男で、呉駅から大学校へ向かう途中に大輔を走って追い抜いていくんですが、それを見た大輔の負けず嫌いが騒ぎ出す。突然はじまるダッシュ競争!といった感じで全14名で行われる潜水士訓練編が始まります。この訓練編はこの後の大輔の意識を大きく変える内容で、特に工藤はそのキーパーソンになる人物。

 常に2人1組で行われる訓練。大輔のバディは工藤。いつも『ムフームフー』と鼻息荒く訓練でも精神面の弱さからおちこぼれてしまい、夜中に突然抜け出し脱走するのかと思いきやひとりで訓練していたりと頑張り屋。そんな彼を他の13名が一緒に卒業することを目指し助け合い、そして訓練はいよいよ佳境へと・・・

 訓練終了も目前となり全14名ひとりの脱落者もなく順調に進んでいく。夜中にプールではしゃぐ訓練生たち。それぞれの志望動機を仲間に伝えはじめる。

『オレ・・・漁師になりたかったから・・・』

 呟く工藤。

『でも・・・漁師は兄貴がついじゃったから。オ・・・オレ・・・オヤジの船がひっくり返ったら・・・オレが助ける・・・!!』

 そしてとうとう海洋実習がスタートする。順調に見えた14名に思わぬ脱落者が。それは彼らのリーダー的存在でプール訓練では最も優れた才能を発揮していた三島だった。彼は海洋訓練で最も重要な耳抜き(水中での鼓膜の圧力調整)が出来なかった。その一方、海に入った途端に潜在能力を発揮したのが工藤。どうしようもない絶望感に襲われる三島。とうとうリタイヤを皆に告げるが、そのとき工藤が口を開く。

『水っぽいじゃね―――か!!オレ達がいるだろ・・・一緒に特訓しよ・・・仲間だろ・・・!!』

 戸惑いながら三島が呟く。

『アホ・・・・・そんなふうに言われたらやめられなくなるだろ・・・お願いするよ。』

 その後も特訓の成果が現れずリタイヤを口にする三島。見かねた大輔達が休日に海での自主錬を行う申し出をする。その熱意に頑張りを見せ始める三島。

『そうだ・・・オレ達は仲間なんだ・・・1人じゃない・・・14人で一つ・・・!!』

 とうとう目標としていた水深40Mに到達する三島。がそのとき、急激な潮の流れが彼らを襲う。流される工藤と三島。遭難した2人。壊れる三島のボンベ。三島自体も負傷してしまった。自力で浮上するには足らない酸素量。意識を取り戻す三島。絶望的な状態を知った三島は工藤に告げる。

『行け・・・お前は生きろ!!』

 工藤の脳裏によぎる教官の言葉。

『問われているのはバディとの信頼関係』

 捜索を続ける大輔たち。減り続ける酸素。そんなとき工藤が決意を堅め三島に語りかける。

『もう一度、空を見よう・・・!!』

 そして工藤は・・・


 この後事態は解決へと向かいます。しかし訓練を無事卒業したのは13人でした。どうして13人なのかは皆さんがそれぞれ読んでみてください。

きっとその熱さに負けてしまいますから!

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