
| 2002年7月 | |
| ウォーターランド(グレアム・スウィフト) | ヨーロッパ自動車人生活(永島譲二) |
| 海外でメニューがわかる本 | ベースボール/この完璧なるもの (ヘンリー・ホーンスタイン/ビル・リトルフィールド) |
| 人気トリマーのDog’sヘアスタイル | 「あの馬は今?」ガイド |
| 空想科学読本4(柳田理科雄) | 魔界都市<新宿>暗夜行(菊地秀行) |
| 水戸光圀語録(鈴木一夫) | . |
| 超私的まんが道2≪一冊入魂≫ | |
| アツイヒビ(緑川ゆき) | . |
| ……高級な歴史、つまり歴史書が歴史と呼んでいるような歴史など屁ともしないような何かが──それにつけられた呼び名があるだろうか?──存在する。世界を揺るがす事件など屁ともしない何かが。 | |
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グレアム・スウィフト 真野 泰 訳 新潮社 2600円+税 |
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| するとメアリは、途端に彼女のスカートにも、それどころか、あれほど断固として続けてきた乳房の守りにさえも、まるで興味を失って、体を螺旋のように回し、肩をすぼめ、両脇をぐっと締め、肘から先が震える腕を体の左右に突きだし、そして息を吸いこむが、それ以外には一切声もあげず、またこの事態を打開するための動きもなんら見せず(なにしろこんな目にあったのははじめてなのだ)、口をぽかんと開けてじっと立ちすくむ。そのあいだ、彼女のズロースの中では、何かがもがき、のたくり、身もだえするが、ついには(なぜならウナギは脱出の名人で、およそ考えられないような苦境も物ともしないから)太もものゴムバンドをくぐり抜け、草地の上にぼとりと落ち、無事だったと見える本能にしたがって、蛇のように身をくねらせて疎水に向かう。 これを見たメアリは急にキャアキャア言いだし、こちらが心配になるような甲高い声でいつまでも笑いつづける。 ……というのは、なんというか「見せっこ遊び」をしていた少年少女グループのひとコマなんですけれど、ズロース1枚で胸を隠していた女の子の、そのズロースのなかに男の子がでっかいウナギを入れてしまったんですなあ。あはははは。メアリというこの女の子は、やはりその場にいた男の子のひとりと数年後には結婚するんです。その男の子が、いまや老いた歴史教師となっていて、この物語を語るんであります。 彼は語ります。これまで彼がどんなふうに生きてきたか。彼の故郷(東部イングランドの沼沢地)を語ります。川の水門番だった彼の父を語ります。そして母を。父の一族を。母の一族を。そして兄を(!)。川、海、泥、洪水、ビール、火事、幽霊、病院、子どもを……はたまたウナギを。そして、現在の彼を(彼は退職させられようとしています)。彼の妻の現在、かつてズロースのなかにウナギを突っ込まれた少女であった彼の妻の現在を。彼のことばによれば、「無削除版」で。 ラストがとても印象的です。この終わりかたはすばらしいと思いました。なにか呆然とされられる、こちらが放り出されるような、突き抜けた、めまいのするような──。まだなにも終わっていない。老人の閉じた回想なんかではないんです。 「ウォーターランド」。こういう物語のなかに私なんかはずっとずっと浸っていたいという気がします。これは「お話」なんです。私たちは、ただじっと彼の「お話」を聞いていればいいんです。ただし、「お話」とは、途中で彼もいっているように、「そもそも聞いて快く楽しいだけではない」んですけれども。 で、この作品のなかでは、老教師が誰にこの「お話」をしているかというと、学校の教室で生徒たちにむかってしているんです。歴史の授業中のことなんです。なんで、歴史教師はこんな「お話」をすることになったのか? それはある生徒の発言がきっかけになっているんですけれど、それについては読んでみてください。ともあれ、歴史教師はこんなふうに考えているわけです。 いったい歴史教師とは何だろう。歴史教師とは、犯された間違いを教える人間である。ほかの人間たちが、「ほら、こうするんだよ」と言うのに対して、歴史教師は「ほらね、こうするとまずいことになるんだ」と言う。ほかの人間たちが「こっちが正しい道だよ」、「こっちに進もうとするのが正しいんだよ」と教えてくれるのに対して、歴史教師は言う、「ほら、ここにいくつかのしくじりが、へまが、やりそこないが、大失敗が……」と。これではうまくいくはずがない──過つは人の常、なのだから(では、われわれに必要なのはなんだろう。われわれを見まもり、われわれの罪を許してくださる神様か)。歴史教師は自己矛盾した人間である(なぜなら、誰もが知っているように、歴史を学んでわかるのはつまり、どんな人間も──)。歴史教師は導くと言って挫く、手を引いてやると言って足を引っぱる。もしかすると、歴史教師とは近づきにならないほうがいいかもしれない……。 校長のルイス(彼をクビにしようとしています)との会話について、彼はこう話します。 「私は言ったんだ、『僕たちは子供たちに教えてる。君は子供の力を信じるかい? 子供というのはこういうものだ、っていろいろ言われるじゃないか。未来を相続する者たちとか、希望の器とか。それとも、子供は結構早く大人になって、その親たちみたいになって、親たちと同じ間違いを犯すのだ、つまりむかしと同じことが繰りかえされるのだ、そう信じてるほうかい?』ってね。するとルイスが『君はどっちを信じてるんだ?』って聞いてきてね。それで私は言ったんだ、『僕は後者を信じるほうだ』って。するとルイスが『そんなことを君は生徒たちに教えてるのか』って言うから、私はこう答えたんだ。」 さあ、どう答えたんでしょう? 「……私はこう答えたんだ。『そういうことを歴史が生徒たちに教えるのさ──やがて君たちは君たちの親のようになる、とね。けれども、子供が自分の親のようになるとき、親のようになるまいともがいてくれたら。そう努力してくれたら(これでわかるだろう、プライス。なぜ、生徒は教師に抵抗しなければいけないか。なぜ、若者は年寄りを疑ってかからなければいけないか)。そういう努力をすることで、状況がずるずると悪化するのを食いとめてくれたら。世界がこれ以上悪くなることを許さないでくれたら──?』ってね。」 なるほど。 そして、彼の授業には「……高級な歴史、つまり歴史書が歴史と呼んでいるような歴史など屁ともしないような何かが──それにつけられた呼び名があるだろうか?──存在する。世界を揺るがす事件など屁ともしない何かが。」 |
| 会社から皆で、ADACの安全運転トレーニングを受講しに行った時の事だ。ADACというのはドイツのJAFにあたる機関で、極めて完備したサービスを誇っているが、そこのセミナーでミッチリとドイツ式の安全運転の理論と実践を習ったわけだ。 昼食の時間、たまたま教官氏が僕の隣の席に坐ったのでこう聞いてみた。「貴方はヨーロッパの国ではどこが運転し易いと思いますか?」 しかしドイツ人だ。それどころかADACの教官だ。こんな質問はミツビシ銀行の社員に「預金はどちらの銀行にされてます?」と愚問を発するようなもの、「ドイツ以外の国はどこもまったく話にもならん」といった、例の星一徹風の演説にナルゾナルゾ、と変な期待をしていたのだが、教官氏、案に反してアッサリとこうおっしゃったのである。 「イタリアですね」 こりゃなんと意外なお答、ひょうし抜け。では一番運転しにくいのはと聞くと「ドイツです」とまたまた意外な答え。何故そう思うのか尋ねると、「イタリア人はルールは守らないし我先に突っ込むように見えるが、実はちゃんと自分の周囲の動きをよく観察して計算して走ってるんです。ドイツ人は反対に、法規を守りさえすれば後はもはや自分に責任はないとばかり、他車の動きを見ないでしょう。これは運転しにくいですよねェ」とのお答えでした。 |
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永島譲二 二玄社 1600円+税 |
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| 永島氏は主に海外で活躍する車のデザイナー。彼がデザイナーの勉強をしていた頃のアメリカ時代、プロとして活動していた「オペル」でのドイツ時代、そして拠点をルノーに移してのフランスでの出来事。それらをまとめた、車の話半分、土地柄のお話半分のエッセイ集です。もともとは自動車専門誌「Car Graphic」に連載していたコラムを抜粋したものです。 永島氏の20年以上のデザインのなかで世に出た車は [ルノー サフラン]→フランスで大統領や首相が“公務で”移動する時使用されている車。日本には多分未入荷だと思います。 [BMW5シリーズ]→3シリーズのほうが日本的なサイズですけど、よく見る車ですね。 [BMW Z3]→そうあのZ3をデザインしたのは日本人なんです。 たった3台と思うかもしれませんが、多くのデザイナーが、山ほどデザインする中で、世に出るのはほんのひと握りだそうです。 もちろん本の中にそういったデザインの話や、車の話が出てくるんですが、すべてのコラムに共通して含まれているメッセージは“国際化・国際的”ってナニ?ってこと。統一化されつつあるEUだってその中で各国が国際化ってことに試行錯誤してたり、やっぱりズレてたりしてるんであって、日本が“国際的”というラインからちょっとはみ出てる感じがするのは当たり前。だって文化や人の意識なんて物は地域的要素の影響を強く受けちゃうんだから差があってトーゼン!なんて開き直っちゃたりしてしまいました。もちろん日本の常識=世界の非常識では困るんだけど。 最初の引用どうでしょう?もちろんもう少し手前にいろいろ他の伏線もあるんで、実際読んでほしいんですけど。最後にイタリア人ドライバーの言い分も載せときましょう 一番すごいのはナポリで(中略)方向指示器なんて出す者はおらず、いきなり曲がる。止まる時も最後の一瞬まで加速を続けてから急ブレーキで止まる。右車線から左折する者がいる。聞けば聞くほど混乱の極みである。しかるに彼曰く、これを危ないと思うのは運転のヘタクソな外国人観光客だけだそうで、地元の人間はグッド・ドライバーズだからへっちゃらなんだそうだ。 フーム、その場合グッド・ドライバーズとはどんな人たちの事を言うのだろうか。それを問うとかれは胸を張って、「我々は周りのドライバーの目の動きを見逃さない。こちらの車の動きを読んでいるのかいないのか、それで判断できる。また車が方向を変える時は必ずドライバーの目と腕が動くだろう。だから表情と、どちらの手をどのようにハンドルにかけたかで、その車の次の動きもわかる。方向指示器よりも正確にわかるんだ」 イタリア人スゴイっす。 |
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集英社 1200円+税 |
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| もうすぐ夏休み。いや、このページが更新される頃には“もう”夏休みになっているかもしれないが…。そして、夏休みといえば 海(できれば海外! この際、いや海外ならば、 海でなくても可だぞ) で、その海外旅行。行くと決めたら越えなければならぬハードルが3つほど。
そう最後の「語学力」。ショッピング程度なら何とかなるんですよ、要は笑顔と気合のボディランゲージア〜ンド記憶の彼方の英語を総動員すればOK!。だけどね、どうしても困ることがあるんですよ。それは食事をする時 メニューを読んでもさっぱりわからん ということ。かといって海外でわざわざ日本料理を食べるのもなんだし、ましてやMacに並ぶなどもってのほかとおもうのです。で、レストランに行くとメニューが読めないんですな。「肉だな」とか「魚っぽいかな」まではわかるものの、それがどんな料理なのかは出てくるまでわかりません。 そこでこの本。大きさは三省堂の『デイリーコンサイス英和辞典』と同じくらい。カバーを取ると5分冊になっていて、中国編・フランス編・イタリア編・スペイン編・アメリカ編になっています。 ま、メニュー見ながら辞書引くわけにもいかんのですが(カッコワルイしの〜)あれば便利ということで。 |
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ダニエル・ワイル(写真) ピーター・リッチモンド 片岡義男 訳 ベースボール・マガジン社 3398円+税 ……………………… ベースボール・デイズ ヘンリー・ホーンスタイン(写真) ビル・リトルフィールド 武田 薫 訳 ベースボール・マガジン社 3107円+税 |
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| サッカー、サッカー、サッカーとワールドカップ一色だった6月も終わり、7月1日にメジャーリーグでは今年のオールスターのメンバーが発表され、日本のオールスターや高校野球の地区予選も始まり、7月はベースボール一色で行こうかと思っているが、早くも「また野球?」と女房に言われてしまった。 こればっかりはゆずれないところだが、娘に“ホームラン”と“三振”とでも教えて言えるようにして、乗り切ろうかと考えているところだ。 オススメの本は娘への教科書というわけではないが、写真・文章ともに、これが“ベースボール”なんだとうなずかせられる本。私の勝手な思い込みかもしれないが、これがアメリカにおける“ベースボール”なんだなと思う。 「ベースボール/この完璧なるもの」の写真は、ダニエル・ワイルという女性の写真家によるもの。これを見ていると、“ベースボール”というものが、どれほど“アメリカの日常”として存在しているのかが伝わってくる。また、これは“本当に女性が撮ったの?”と言いたくなるぐらいカッコいい写真だ。 そして「ベースボール・デイズ」は、メジャーリーグだけでなく、マイナーリーグや少年少女野球、そしてアンパイアなど、“ベースボール”をとりまく人々や日常が、ナニげない写真とともに書かれており、わかりやすく、何度も読み返したくなる。 ただし、野球やメジャーリーグに興味のない人には、まったくつまらない話だし、なんてことない写真かもしれない。イチロー、野茂はおろか、日本人メジャーリーガーについてはまったく載っていない。 ただ“ベースボール”が載っているのだ。 |
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世界文化社 1200円+税 |
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| ワールドカップでベッカムのソフトモヒカンが話題になりましたが、ワンちゃんにもベッカムヘアをさせていた飼い主さんがいたそうです。実はうちの子は女の子なんですが、ベッカムヘアにしたらすごくかわいくて笑えました。 今回のおすすめは人気トリマーによる犬のヘアスタイルを紹介したもので、人間でいう最新のヘアカタログのようなものです。人気犬種がたくさん載っていて、同じ犬種でも毛色や顔立ちでトリミングの仕方を変えて、いろいろなアレンジの方法が載っています。 今、ひそかにトイプードルが人気で、テディベアカットというものがはやっているそうです。「ドッグマン」という犬のカットサロンを一度は耳にした方も多いと思いますが、超人気トリマーの江頭重知さんが代表を勤めるサロンです。このお店からテディベアカットが広まったそうです。この他にもミニチュアシュナウザーのまゆげとヒゲを際立たせた哲学者風(おじいさんみたい?)カット、マルチーズのベリーショート、ヨークシャテリアのぬいぐるみカットをはじめ他にもたくさん載っています。どれも飼い主さんのお手入れのしやすさを考えたカットになっています。 ぜひ、みなさんのワンちゃんもカリスマトリマーのヘアスタイルを参考におしゃれしてみませんか。また、最新のカフェ情報も載っていますので、おしゃれしたワンちゃんを自慢しに連れて行ってはいかがですか。 |
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2002−2003 流星社 1600円+税 |
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| 拝啓、ダイワテキサス様。 お互い現役を引退して暫く経ちましたが、お元気ですか? 夏まだ遠い北海道で、新しい仕事を頑張っていると、時々噂で耳にします。 ボク…? ボクは今、テキサスさんの活躍した中山競馬場で「誘導馬」のお仕事をしています(^_^) 年を取ったら葦毛の馬体に白さが増して、今ではすっかり真っ白です(笑) 2年後には、テキサスさんの「娘」や「息子」たちがデビューしますけれど…何時の日か「皐月賞」みたいな大舞台でその子達を本馬場まで誘導するのがボクの夢なんです。 種牡馬のお仕事は大変だろうけど…病気などしないように気をつけて。 あなたの「子供達」に逢える日を、楽しみにしています…。 ダイワタゴールより 今回のオススメ度 ★★★★☆(年によって繋養先の変更される、かつてターフを賑わせたヒーロー達の近況を紹介した一冊で、毎年改訂が行われています。本書に収録された著名な競争馬は、エルコンドルパサー・クロフネ・グラスワンダー・スペシャルウィークなど。今夏は機会があったら、かつてのヒーロー達に会いに…北海道まで足を伸ばしてみませんか?) |
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柳田理科雄 メディアファクトリー 1200円+税 |
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| 柳田理科雄、昭和堂に出没す!! あれは、今年の春先の事…まだ本書が発売になっていなかった頃の事。 仕事中の原口の所に、アルバイトさんがやってきてひとこと。 「あのぉ〜、【空想科学研究所】の方がお見えなんですけどぉ〜?」 最初はナンの冗談かと思いましたが、取り敢えず行ってみる事に。 売り場に行くと背の高い、しかし体格は意外とがっちりした男性が、やや小柄な女性を連れて立っておられました。 「初めまして。ワタクシ、【空想科学研究所】の柳田と申します」 イヤもう、ビックリしたのなんのって(汗) 今までサイン会やらイベントで、【作家】と呼ばれる業種の方々には多々お会いして参りましたが、ノー・アポで来店されたのは、多分柳田先生が初では無いでしょうか? お話を聞くだに、「私の著作物は置いて戴いているのでしょうかぁ〜?」との事でしたが、ご心配無用、売れてます・ウケてます(笑) 本書が第4段になるわけですが、相変わらずの見事な分析。最終項の、 【ウルトラマンは飛行するより、地底を潜って進んだ方が行動半径は飛躍的に広がる】 …と言うお話には、マジ笑わせて貰いました。 柳田センセ、またのご来店をお待ちしておりまぁ〜すm(_ _)m 今回のオススメ度 ★★★☆☆(お馴染みとなった【科学読本】第4段。もはやナニも語りますまい…。読んで納得、笑って満足の一冊です。) |
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菊地秀行 青春出版社 1200円+税 |
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| 〜魔界都市<新宿>へようこそ〜 そろそろ夏本番に近づいて、今月のオススメの中には怪奇スポット案内の本も登場したみたいなので、もう一丁。 厳密にはホラーと言うより、ノンフィクション小説の副読本なのですが、出てくる登場人物が怪物&怪物じみていたり、古今東西のモンスター総登場と言う点では、ある意味【ホラー小説】とも言えるんだろうなぁ…。 もはや、菊池秀行氏の代表作と言っても過言ではない「魔界都市シリーズ」の解説本です。 読者にはおなじみの秋せつら、十六夜京也、ドクター・メフィストら、【魔界都市】を代表する面々のプロフィールや、小説の舞台となる<新宿>内の妖気溢れる各種危険地帯を安全に(っつても100パーセントとは限らないが)、<新宿>観光が出来る様にと、発行されたガイドブックが本書なのでス。 かつて原口は新宿区民でありましたが(マジ)、自分の住んでいた近所に【吸血鬼】が集団生活している地区・戸山集合住宅があるとは夢にも思いませんでした(笑) 実際の新宿区も、ある意味【魔界都市】と言って過言ではない程の危険ぶりですが、コッチの<新宿>は、それに輪を掛けてデンジャラス。 秋田書店さんからコミックス版も発売された事ですし、今年の夏は「最も近くて遠い」ミステリアスな<新宿>ワールドを訪ねてみませんか? 勿論、本書は必携ですぞ!? 今回のオススメ度 ★★★☆☆(菊地ファンのみならず、【魔界都市】ワールドをより楽しみたい方にはオススメ。実際にその場所を訪ねてみるのも楽しみ方のひとつか?) |
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生きつづける合理的精神 鈴木一夫 中公新書 680円+税 |
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| じ〜んせい楽ありゃ、苦ぅもあるさ〜 …と言う歌でお馴染みの、「水戸の御老公」こと水戸光圀。 TVでは越後のちりめん問屋と身分を詐称して諸国を巡り、性悪な代官や悪徳商人らを懲らしめる「水戸黄門」として描かれておりますが、実際にはそんな事実は無かったそうで…5代将軍・徳川綱吉とは犬猿の仲だった事をご存知の方は少ないでしょう。 そんな「黄門様」が水戸藩の主であった頃、家臣に対して述べた言葉を集め、現代語に訳して紹介したのが本書。 …まぁ、若い頃には織田信長や前田慶次も顔負けの「かぶき者」だったらしく、賭場通いや辻斬りまがいの行為などもし、晩年に名高い「大日本史」の編纂にあたっては、湯水のように資金を使った為、当時の水戸において光圀の評判はすこぶる悪かったそうな(笑) ただ、本書を読む限りでは、現代社会にも通ずるもっともな言葉も残していて、ご老公が「タダのバカ殿」ではなかったとも感じるのですが…。 今回のオススメ度 ★★★★☆(TVとはまた別の、「為政者としての水戸黄門」を、その発言から追った一冊。現代社会にも通ずるようなお言葉の数々には重みがあります。是非ご一読を。) |

≪一冊入魂≫
第7回 『アツイヒビ』
| 熱いのは夏だからか・・・? 高校時代あなたは何をしていましたか? 私にとって高校時代とは10数年経ってしまい、もう遠い昔のことのようです。私の高校生活は部活動に明け暮れた毎日でした。 今回選んだ作品『アツイヒビ』はそんな高校生活の忘れられない生活の1ページを描いた良作です。いちおう恋愛もあったりして少女マンガの趣がありますが、男性の方でも十分に楽しめるものになっています。 さあ、心を高校時代へ・・・ |
| アツイヒビ 緑川ゆき 白泉社 1巻まで 390円+税 |
| まずは簡単な作品紹介から。 舞台はとある高校。主人公の一人である国吉は学校帰りに川に入り探し物をしている同じ高校の生徒を目撃する。その生徒は優等生の池田。その探し物とは生徒手帳。そこにひとりの女生徒が手帳を手にあらわれる。彼女の名は室園。彼女は池田に言う。 『ここに書いてあることを実行するつもりならかえすわけにはいかないわ。他の人にはだまっててあげるから。何のつもりか知らないけどバカなまねはやらないことね』 激昂する池田。その手帳に書かれていたのは殺人計画だった・・・ こんな感じでこの物語はスタートしていきます。他にも数人の主人公がいて、その主人公が入れ替わっての3つのエピソードでこの本は構成されています。 1話目は冒頭の話の国吉レポート『アツイヒビ』。2話目が国吉の女友達の菊池レポート『花の跡』、3話目が池田に思い焦がれる遠山レポート『寒い日も。』それぞれ同じ学校の話なので色々なところで別のエピソードのキャラたちが登場しています。人物相関図を頭に描きながら読むと更に面白くなっていくことでしょう。 個人的に好きなエピソードは次にあげる2話目の『花の跡』。私も高校時代は部活で絵を一所懸命描いていたので、そのころの記憶とオーバーラップしてしまうからかもしれません。 あなたならどのエピソードに興味がわきますか? |
| 超私的お気に入りシーン 花の跡 P77〜99 |
| 3つのなかで個人的に好きなエピソードがこの『花の跡』。 主人公菊池は1話目の主人公国吉の女友達。ある日自分の机の上に落書きを見つける。描かれているのは『花』の絵。彼女は単純だがお気に入りのその絵を消してしまえずにいた。 少しずつ増えていく『花』。その落書きをしている人の見当がつく。その人とは夜間定時制の生徒で自分の机を使っている人ではないかと。思いをめぐらせる菊池。その間にも増え続けていく『花』。 ある日彼女はその絵を真似て自分で1つ描きこむ。が、その翌日自分の描いたものを残して『花』はすべて消されていた。落ち込む菊池。 委員会の活動で遅くなり教室に戻るとそこにはひとりの男子生徒。その人こそ絵を描いていた倉田だった。彼は言う。『おれのは「絵」とはいえない』と。このあとシーンは進み、特に個人的にお気に入りのシーンへと。 菊池は友達から倉田の過去のことを聞いてしまいショックを受ける。数日後彼女は仕事の休憩中の倉田の姿を見かける。隣に座る菊池。倉田の持つ袋の中に絵の具が入っているのに気づき絵を描くのかと問う。答える倉田。 『いや「絵」を描くわけじゃないんだ。絵の具をぐっと絞って・・・捨てるんだ。』 戸惑う菊池。続ける倉田。 『悪いことだとは思っているけど、そうするとほんの少しだけど、自分の内から色が消化されような錯覚を起こして楽になれるんだ。』 更に戸惑う菊池。倉田の洋服の袖をつかみ呟く。 『どうすれば倉田君はとりもどせるの?』 『・・・・・何を?』 『絵を、希望を、暗闇をぬけるための光を』といいかけ言葉に詰まる菊池。 答える倉田。 『――わからないんだ自分でも。どうすればいいか、どうしたいのか。いっそやめてしまえば楽になれるかと思ったけど・・・何がこんなに苦しいのか・・・自分の可能性を信じてくれた人が失望してしまうことがこんなに恐いなんて知らなかった。』 戸惑いながらも答える菊池。 『・・・うまくいえないけれど・・・私のこと花の絵の人って言ってくれたじゃない。私のと倉田くんのとどう違うの?あれは花よ。花だった。とってもきれいな「花の絵」だったわ。』 『・・・ありがとう・・・さよなら・・・』笑顔で別れる倉田。 降り始めた雨のなか走って帰宅する菊池。 ≪あなたの苦しみを理解しない女だと思われただろうか・・それでも何かとても伝えたいことがある。≫と思いながら・・・ 翌日国吉からも倉田のことを聞く。 『倉田はね、空や風や街を見ると何かがグングン入ってきて、そういうのが色に変換されて体の内側にどんどん溜まっていってしまうんだって・・・・指や髪や耳や肩からそういうのが時々こぼれ落ちてくるんだけど、それにどうしても追いつけなくて何も消化できないものしか描けなくなったって・・・・とにかくな、それでもたぶんそういう人間は苦しくても描かないと生きていけないだろう?』 ひとり机にうつ伏せて国吉の言葉を思い出す菊池。 『だから落書きしてしまうのかな。そうして心をこぼしていかないときっと破裂していしまうから・・・でも、逢いたいわ。少ししか話してないのに、まだ何も見えていないのに・・・きっと私あの人に飲みこまれてしまったんだ。あの人を好きになったんだ。』 その夕方。いつものように机につく倉田。落書きに気付く。そこに描かれていたのは『花』と『好きです』という言葉。そこから流れ込んでくる感情。 『あつい・・・』 その感情に飲みこまれる倉田・・・ 翌日、『花』と言葉はなくなっていた。菊池の前にあらわれた倉田。問いかける菊池。 『「花」を・・・告白を消したのは倉田くん?』 答える倉田。 『ああ・・・残しては行けないからおれがもらって行くよ。「花」も「言葉」も灼きつけた。』突然の別れを告げる倉田。 『どこへ流されても構わないと思った。どこへ行っても変わらないと。この街に心残りなんてひとつもなかったのに・・・逢いに来るよ。いつかきっと。』 答える菊池。 『・・・よく顔が見えないわ・・・触っていい?』 そっと彼女を引き寄せ囁く倉田。 『ありがとう。』 このシーンを見たとき、良質の映画を観ている感覚に陥りました。間というか言葉というか本当に『ウマイ!』の一言でした。 先日利重剛監督の『クロエ』という映画を観たんですが、この映画でともさかりえ扮するクロエが死の間際に永瀬正敏扮する夫の高太郎へと語りかけるシーンの時にこの『花の跡』をオーバーラップしながら観ていました。『アツイヒビ』が面白いと感じた方は是非『クロエ』も観てください! 倉田が去った後、彼がいつも使っていた教室の屋根裏部屋で菊池はあるものを見つける。それは・・・ 屋根一面の『花』の絵でした・・・ |