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2002年5月
忿翁(古井由吉) 空想の大きさ(ジョン・クラモト/ジョン・J・ミュース)
原色日本鳥類図鑑(小林桂助) マイ・フィールド・オブ・ドリームス(W.P.キンセラ)
いないいないばあ あそび(きむらゆういち) DOG LOVE LIFE
犬に関する100問100答(野村潤一郎) バカモン! 波平、ニッポンを叱る(永井一郎)
都道府県別 全国方言小辞典(佐藤亮一) ラブひな英語塾(ジャイルズ・マリー/渡邊由美子)
超私的まんが道2≪一冊入魂≫
ガンダルヴァ(正木秀尚) .

枯木の林が冬の日を浴びて照りわたる。寂びたままに、見ようによっては、芽吹にも劣らず盛んである。殊に春の日に似た暮れ方、落日に枝の先々まで染まる時、風は刺々しくても、遠くからは花の林に見える。夕映えのいま一度射し返す境では、花よりも華やかに光る。
忿翁

古井由吉

新潮社 1800円+税


その男性は庭の陰から現われて、家の内にいた夫人を驚かせた。

その男性というのは彼女の夫なんですけど、おそらく年は50代なかばでしょうか。まだ明るいうちに仕事から帰ってきたんです。妻もほんとうは戻るのがもっと遅くなる予定でした。お互いに早い帰宅を知りませんでした。

……ひと足先に家に帰って着替えを済ませたばかりの夫人は硝子戸を開けて留守中の空気を入れ換えるついでに庭の桜へ目をやり、芽がもうずいぶんふくらんだこと、と眺めるうちに、樹に寄り添って人影のあるのに気づいた時には血の気が引く思いがしたが、亭主こそ蒼ざめたような顔で枝の下をふらっと離れ、いたのか、と縁側へ寄ってきた。どうしたの、こんな早くに、庭のほうから、と聞くと……

せっかく早く帰ったのだから、たまにはゆっくりお風呂にでも入りなさいよ、と妻がすすめると、夫はちょっと迷うようにしてから、そうするか、たまには、と言ってそれらしく上着を脱いでネクタイもほどきかけたが、妻が湯沸器に火を入れに立つと、いや、夕飯の前にする、ちょっと書類の整理が残っているので、と脱いだ上着を肩に担いで二階へあがった。


やがて妻がのぞきに上がると、

部屋には物が散らかって、その真ん中に夫がゆるめたネクタイを首に巻きつけたまま、収拾しかねた顔で坐りこんでいた。破った書類が屑籠に押しこみきれなくて床に溢れている。手紙の類いも処分されたようで、人に読まれないように裂いたのがざっと掻き寄せてある。

夕飯の仕度に戻った妻はどうも次第に夫の様子が気になって、やがて自分も二階に上がり、手伝うことになります。こうして全然予期してもいなかったふたりの作業がいきなりはじまって、夫婦はなんだか活気づきます。

二階の騒々しさにくらべて、半分暗くしたままの階下はひと気もなく静まって、仕度をやめた調理台の上でタイムスイッチの入った炊飯器がひとりで音を立てて米の炊きあがる匂いをひろげていた。

整理もはかどってくるうち、妻は古い衣類を指して、

あれも捨てていいかしらとたずねると、かまわん、この際、徹底的にやれ、と夫は自分から箱をひっぱり出した。

ふたりはせっせと働きつづけます。

縁側の廊下は物が積まれて引越しの前夜の雰囲気になった。どうしよう、と妻は悲鳴をあげて、今夜はそのつど先のことが考えられずにいるのがおかしくなった。

なんだか不意のお祭りのような具合です。夫は縁側のごみ袋をどんどん物置に運んでいきます。妻はおかしくて笑ってしまいます。

たちまち片づいてしまった。最後の台車に衣類を積むと廊下には書類や手紙を破った屑の袋が三つ残り、夫はそれに手をかけて思案する顔で月の庭を眺め、その目がいま一度赤く光るように見えた。焚火だけはやめてちょうだい、こんな時刻に、と妻は思わず懇願して、夕飯も摂らずに夜の更けかけた昂奮にそれこそ火がついたように、声を立てて笑いこけた。これもみんな月の光に照らされているのだと思うと、涙のこぼれるまで笑った。

そうして、この夜のことは次のように締めくくられるんですが、読者にとっては意外でもあり、また当然のようにも思われるでしょう。しかし、これはおそらく語りかたがとてもよいからなんですね。作者はべつに読者を驚かせようなんて考えてはいません。出来事はすっとつなげられます。ごく自然にです。

物置きに袋をすべて仮に運んで台車もしまった夫が、物陰から出たところで帽子を取って軍手も脱ぎながら、月を仰いでいるのかと思ったら、桜の樹を眺めていた。縁側から上がってもそちらを振り返って首をかしげるので、どうしたの、と妻がたずねると、花が咲いているように見えた、ちらほらだけど、はっきり咲いていた、と言った。妻も一緒になって眺め、樹の肌が艶々と枝々まで光って、小枝の先々から月明かりの中へもっと白い光をふくらませているのを、ほんとうに花だわ、とひそかに感嘆しながら、まだ枯木だわ、と間の抜けた答え方をした。
彼岸にはまだ間のある頃のことだった。今年は鶯がしきりに来て鳴くと不思議がっていると、その花も散る頃に夫は家に帰らなくなり、三日後に遠い土地で遺体となって見つけられた。


話はこれだけでは終わりになりません。ふたりの娘(一緒に住んでいるんですが、先の夜にはまだ帰宅していなかったんですね)と赤ワインのエピソードにつながるんですけれど、とても不思議な感じがします。これはぜひ読んでみてほしいと思います。

というわけで、これが「枯れし林に」という章なのでした。この本は長編小説ということになっているようですが、実際は短編の連作という感じです。どこかのギャラリーに古井由吉個展を見に行き、壁に掛けられた一連の絵をゆっくりとたどっていくという趣きですね。一枚一枚は独立していますが、全体にはなにか共通したものが流れている。連作短編とはそのようなものだといわれれば、それはそうなんですが、なにか特別にそんな感じがするんです。「枯れし林に」だけを紹介しましたけれど、「巫女さん」というのもすばらしいですね。「槌の音」「白湯」なんかもとてもいい。




もうずいぶん昔の話、昭和堂に入る前の職場で、「日本にはまともな作家は大江健三郎しかいない」なんてことをぶっていたら──当時はまだ村上春樹も保坂和志も読んでいませんでした(あ、保坂さんはデビューもしていなかった)──「古井由吉がいるじゃないですか」と返されたことがありました。「ふるいよしきち」です。私はものすごくびっくりして「あっ、古井由吉を読んでいるのか!」。なにしろ、さらにその前の職場では、アベコーボーって誰ですか? なんていわれていたくらいで、そのときまさによりにもよって古井由吉の名前が出るとは思わなかったんですね。で、お互いに彼の長編小説「槿」(「あさがお」です)を読んでいることがわかって、なんというか意気投合したんでした。ああ懐かしい。

で、その「槿」ですけど、いまはなき福武文庫に収められていたんですが、そのまんま絶版状態です(2003年5月に講談社文芸文庫で出直します!2003.4.19追記)「聖」(「ひじり」です)という小説もとてもよいのですが、これは新潮文庫で絶版です。また、古井由吉はローベルト・ムージルの翻訳(「愛の完成」とか)も手がけていまして、これがとてもよいのです。でも、いまは品切れです(岩波文庫)。……嘆きすぎて、こんな口調になっている私です。

そんな古井由吉の新作「忿翁」(「ふんのう」です)がこちらです。これは若いひとにもおすすめします。装丁や帯からしてもう自分が除け者のように思われるかもしれませんが、若いひとたち、これは読んでほしいです。せめていくつかの章だけでも。こういう不思議の感覚は他の作家では読めないと思うんです。

ひとは自分のなかに生じたものをすぐになにか自分の知っているものにあてはめてしまうんです。自分に起きているいまの感情をたとえば「愛」とか「憎悪」とかいう、自分がよく知っているつもりの観念に落とし込んでしまいます。そうするとわかりやすいし、安心できるんです。いかにもそれらしいなにかへの単純化ということですね。でも、ここでその単純化の誘惑を斥けて、自分に生じているものを既知の観念によってできるだけ損なわせずに、どこまでもつきつめていく人間がいたらどうでしょうか? いまだ名前のつけられていないなにかとして、そのままどこまでも大切に抱えていくんです。その人間だけがそれの意味をずっと支えていかなくてはならないなにかとしてです。ふつうのひとが用いている観念にはけっして当てはまらないなにかとして。そういうことをするのが作家だと私は思うんですけれど、どうでしょうか? もちろん古井由吉は私のいう「作家」であるわけです。














空想の大きさ

ジョン・クラモト 作  ジョン・J・ミュース 絵
河野万里子 訳

講談社 2330円+税(現在品切れ)
一応、コミックとして出版されているんですが、内容はコミック風のコマ割りを使った〔大人の絵本〕です。出版されたのは1996年ですので、まだ“癒し系”なんて言葉が無かった頃のものですが、読むと、とっても心地よいです。

親子−お父さんと男の子が登場人物で、お父さんが子供にいくつもの“お話”をしてあげるんですが、これが結構面白くって、しかもちょっとメルヘンしてます。メルヘンといってもお父さんが語るだけあって、男性にも受け入れられます。
いや、むしろ男性にこそ読んでもらいたいかな。

それに、絵がイイんです!!
アメリカの片田舎風のイラストで、それがお父さんのお話とぴったりでとても気に入っています。(中味をお見せしたい。ほんといいから)

プレゼントにも最適!なんですが…。だーっ!今 調べたら絶版になってるし…。これって、コミックとして売ろうとしたから社会的に認知されず消えてった、ってかんじですね。これは本当にもったいないことです。

講談社さん!! 今すぐ復刊するべきです!! (マジで)。もちろんコミックなんぞではなく、絵本として。絶対売れるから。ホラ、癒し系ブームだしさ。














(旧版の表紙です)
原色日本鳥類図鑑

小林桂助

保育社 5600+税
例えば“ウグイス”と言われて、その姿がすぐに思い浮かびますか? 思い浮んだ方、それほんとにウグイス? 日本人のほとんどがウグイスとメジロを間違えているそうです。ウグイスは「声はすれども、姿は見えず」そのものの鳥で、あの特徴のある良く響く[鳴き声]は良く知っていても、警戒心が強い鳥なので、その姿を見ることは、私たちが思っているほど多くは無いのだそうです。

原色図鑑シリーズ(あまりにも多く出版されているので、いったい何巻あるのか…)は、高額の図鑑にしては珍しく、写真ではなくイラストで様々な生物などを詳しく紹介した良本。(イラストだから「原色」ってことかな? 実は良くは知らない)

もともと、動物が大好きなんですが(虫は嫌い)、鳥ってなかなか名前が分からず、金額にショックを受けつつ十数年前に購入しました。とはいえ、街で生活しているだけだと、それほど多くの種類の鳥を見ることは出来ません。中国では、美しい鳥の鳴き声を楽しむ習慣が残っている地もあり、まるで「鳥かご通り」とでも呼べそうな通りがあって、いろいろな鳥を眺める事もできるのですが、(そういった通りはたいがいすぐそばに茶館があって髭の長いじいちゃんばっかりだったりする) 日本ではそういった場所はなかなかありません。バードウォッチングに出かけるほどの気力もなく、またそこまでのめり込むほどでもなくって感じなんですが、身近にも好きな鳥がいます。それは“ハクセキレイ”。あのヒタヒタヒタって歩き方や、スイ〜スイッて飛び方(→擬音じゃ全然わからないっすね。つたわらないっすね)意外と人のすぐそばにいたりするところ、とかが何かすきですね。あなたの好きな鳥はなんですか?














マイ・フィールド・オブ・ドリームス
イチローとアメリカの物語

W.P.キンセラ 井口優子 訳・構成

講談社 1500円+税
映画「フィールド・オブ・ドリームス」の原作者(ちなみに原作は「シューレス・ジョー」。文春文庫です)がイチローについて描いた本なので、あの映画のファンの人はぜひ読んでみてください。
著者がこの本を書くにあたって、アメリカでの報道はもちろん、日本での過去のインタビューや記事までよく調べており、彼のイチローへの愛≠ェものすごく感じられます。

春季キャンプが始まる前に
「夢を求めてここにきたことに後悔はありません」と語り、
時にはセーフコ・フィールドのことを
「MY FIELD OF DREAMS」と語り、
地元オールスターゲームでは、
「THANK YOU」「IT IS AMAZING」と語り、
そしてMVP受賞の感想をきかれて、
「MY OH MY」と語って
アメリカじゅうの野球ファンの心をつかみ、たった1年でヒーローになったイチロー。もちろん著者にとってもそうであり、この本の最後には、アイオワの球場に野茂と一緒にやって来て、野球をするという夢を描いており、アメリカ人にとっての野球とは何かということがあらためてわかる本でもあります。
あなたもこれを読んで、そしてイチローのプレーを見て、あなたにとっての夢の球場≠見てみませんか?
“SODO MOJO! SODO MOJO!”














あかちゃんのあそびえほん2
いないいないばあ あそび

きむらゆういち

偕成社 680円+税
うちの1歳4か月のわんぱく娘の大のお気に入りの本がこれです。最初の頃は、ただボーっと見ているだけでしたが、毎日やっていると、だんだんにこにこしながら見るようになり、それから自分でページをめくるようになり、そして、「いないいない」と言うと「ばあ」といってページをめくるようになり、今では自分でおもちゃ箱のなかから本を持ってきてひとりで遊んだり、一緒に読んでとせがんだりもします。もちろん本がなくても、柱やドアなどいろいろなところで「ばあ」と言いながら顔だけ出してにこにこしたりします。今のところ、娘にとっていちばん大好きなものにまずまちがいないでしょう。
この本は親子で遊べる本でもあるし、きむらさんの絵もかわいらしく、またページをめくるのに指先のつかむ練習にもなる(?)ので、ぜひちいさい赤ちゃんのいるパパやママは一緒に遊んであげてください。
たったひとつ我が家での失敗は「パパ」や「ママ」と言えるようになる前に「バァバ」と言えるようになってしまったことで、「バァバ」は大喜び、「ママ」はがっくりとなってしまいました。皆さんも気をつけてね。














犬を感じるライフスタイル・マガジン
DOG LOVE LIFE Vol.2



アポロ株式会社 980円(税込)
ドッグ・ファッションとグッズの最新版です。超かわいいブランドの新作コレクションからリードやバッグなどの必須アイテムと素敵なドッグ・モノがたくさん載っています。どれもカラフルでこれからの季節に最適だと思います。そして、一番のおすすめはワンちゃんとのペアルックの特集です。ワンちゃんのファショッンは雑誌等でたくさん紹介されていますが、飼い主さんとお揃いで載っているのは少なく、あまり見かけません。Tシャツ・ポロ・パーカー・帽子・アロハシャツからワンピースまで載っています。「お揃いで着るのはちょっとはずかしい」という方にも大丈夫です。どれもおしゃれで普段カジュアルにカッコ良く着こなせるものばかりです。特にボーン柄プリントのTシャツはシンプルで絶対おすすめです。














Dr.野村の
犬に関する100問100答

野村潤一郎

メディアファクトリー 1300円+税
テレビ・雑誌等で有名なカリスマ獣医野村先生が100の質問に率直に答える第2弾です。犬の飼育や知識に関する本は星の数ほどありますが、どれも似たような内容が多いと思います。決してそれが悪いとは思いませんが、この本は今までの飼育の常識を根っこからくつがえす勢いの一冊です。質問自体が非常に面白く、対して野村先生の答えが的確でわかりやすく、「えー」「うそー」「そーなの」の連続です。もちろん笑いやほのぼのとする答えもたくさん載っています。テレビ等では少し怖いイメージの野村先生ですが、動物たちのことを本当に心から愛していることがよくわかります。犬を飼っている方はもちろん、他の動物を飼っている方にもおすすめです。

あとがきより・・・
「飼育動物の一生を左右する立場にある人間は、点の知識を集めるのではなく、まずは、面の知識で考える基礎を確立していただきたい」そのためには無関係と思われる知識も仕入れていただきたいわけです。わけのわからない茶番のような点の知識ばかり集めて実践し、飼い主としての役割を果たしたと思い込んでしまったり、ベテランになったつもりになったりしないでほしいわけです。そもそも皆さんの犬は人間社会のル―ルを守りながら生きる家畜であり、とても知能が高いのです。つまり犬は、動物の姿をした人間の子供です。














バカモン!
波平、ニッポンを叱る

永井一郎

新潮社 1500円+税
 最近の時代の流れなのか、昔気質の【親父さん】的人物は余り見掛けず、何かと常識を逸脱した行為を何とも思わない人々が増殖する、せちがらい世の中…。

そんな21世紀の初頭、一人の【オヤジ】がニッポンの行く末を憂いて立ち上がった!

          その名は【磯野 波平】
      この国に残された、正統派の【ニッポンの父親】である…

…と言う訳で、今回紹介する本書は、故・長谷川 町子センセの生み出した人気マンガ【サザエさん】に登場する【ニッポンのお父さん】の代表選手、波平さんのエッセイでございます(笑)

著者は、TV番組中でも波平の声を演じてらっしゃる、声優の永井 一郎氏。子供の頃にアニメをご覧になっていた方なら誰でも一度は耳にした事のある役どころを演じておられる【声優界の重鎮】ですが、元々は電通にお勤めだったと言う経歴の持ち主。

本書中では、お酒の飲み方から、最近の世相、果ては人の生と死についてまで、近年すっかり威厳を失った世の父親に成り代わり、若い世代の我々に(つっても、私ももう30路ですが…)説いて下さっております。

私なんかは、「叱られる=頭ごなしに怒鳴られる&殴られる」的感覚があるものですから、永井氏の諭すような物の語り口を読み進めるウチに、本当に磯野家の茶の間で正座しながら説教を聴いている感覚に囚われて来ました(かなりマジ)

今回一つ得た事は、「年寄りの辣言にも、真摯に耳を傾けるべきである」と言う一言に尽きましょうか…波平さんにだったら、カツオみたいに毎日お説教されてもイイかな…って言うのは言いすぎでしょうか?

  今回のオススメ度 ★★★★★(あの名物オヤジが、ニッポンの現代社会にモノ申す!!今を生きる若者よ、襟を正し、正座して読むべし!)














都道府県別
全国方言小辞典

佐藤亮一

三省堂 1600円+税
  さて問題、以下の言葉は標準語で何を表す言葉でしょうか?

@ 
むがさり(山形弁・6月のコレに憧れる女性は結構いる筈!)
A 
なむなむ(京都弁・いや、別に拝んじゃいませんが…)
B 
水菓子(東京弁・昔、水羊羹と間違えて買ってきて怒られました…)
C 
ちゃんぎりみゃー(佐賀弁・夜の昭和堂はこんなカンジっす)
D 
あがちゅん(沖縄弁・世のエライ人がこうなら、日本もマトモに…)

             わかんないでしょう?
  実は私も分かりませんでした(自爆)

  今回のオススメ度 ★★★☆☆(以前紹介したネーミング辞典に対抗してみました(笑)、実用性は低いかもしれませんが、話のタネとしては面白いかも。目指せ、ローカル・マルチリンガル!)














ラブひな英語塾

ジャイルズ・マリー  渡邊由美子

講談社インターナショナル 820円+税
 最近の語学書売上増大に、結構貢献しているバイリンガル・コミックス。
先日東京ビッグサイトで行われた国際ブックフェアにも、現地でライセンス発行された外国語版のジャパニーズ・コミックスが多数展示されておりましたが、この人気の秘密は一体、何なのでしょう…?

本書は講談社の人気コミックス、【ラブひな】の英語版コミックスにて取り上げられた英語表現の数々を紹介した一冊で、コミックスそのものでない所がミソ!

売上げ部数的には、小学館さんの【ドラえもん】の方が圧倒的に上回っているのですが、今回は実用面を重視した上で、こちらをチョイス致しました。

原書がラブコメもので、人間関係の描写が多い為か、人物間の会話が充実しており、本書に掲載されているフレーズをそのまま流用できたりして、結構便利だと思うのですが…。

  今回のオススメ度 ★★★★☆(ちょっとした部分変更で、用途範囲も広がってきそうな英会話本、コレでもって東大も合格!…だけはムリかな?)








≪一冊入魂≫


第5回 『ガンダルヴァ』

 天才登場!

  みなさんは本を読んでいるときや読み終わった後に『ゾクッ』とすることってありませんか? わたしは結構あるんですが、最近あまりなかったんです。が!出ました、そんな作品が!その作品は正木秀尚先生の『ガンダルヴァ』! 前作『雨太』(白泉社刊)もスゴかったんですがこの作品はそれ以上でした。

  前振りはこんなところで早速本題に入りましょう。


ガンダルヴァ

正木秀尚

講談社 1巻まで 524円+税
  まずは簡単な作品紹介から。

 ガンダルヴァ。匂いを食べて生きるインド神話の精霊。天上の楽士。ガンダには香という意味があり、食香、香神、香音神などの漢訳がある。

 西洋レストランアピキウス。そこにひとりの男がいる。その名は香田尋。彼は人並み外れた嗅覚『ガンダルヴァの鼻』の持ち主。加えてサンダルウッド(白檀)のような体臭の持ち主でもある。奔放に嗅ぐことを楽しんでいるそんな彼と出会う者は匂いで悩む者ばかり。彼との出会いはその悩みから開放していく。そして今日もまたひとり・・・


 正木先生の作品を最初に読んだのはビッグコミックスピリッツに載っていた『プレイヤーは眠らない』という作品でした。そのときも面白い作品という印象はあったんですが『ゾクッ』というまでではありませんでした。ですが昨年白泉社から出た『雨太』も面白く、いろんな人にオススメしていました。そして先月出たこの『ガンダルヴァ』。

やばいです。

 久し振りに『ゾクッ』してしまいました。物語の構成力、発想、画力とも秀逸!こういう良質の作品がもっと多くなれば更にコミック界も盛り上がると思ってしまうほど。『雨太』の帯で『I’LL』の浅田弘幸先生がコメントしていましたが、本人よりも単行本化されるのを待ち望んでいた作品です。早く2巻目が読みたくて読みたくて・・・
超私的お気に入りシーン
路上フラメンコ

第1巻 P185〜236
 正木先生の構成力のすごさがいちばん際立ったのがこの場面。

 場所はとあるビルの吹き抜けのエントランス。突然掻き鳴らされる城ノ内のギターの音。響き渡る香田尋の声。舞い始めるミカ。集まりだす通行人たち。

 とこれだけですとごく普通のシーンなんですが、このシーンの登場人物は尋との面識はあるものの城ノ内とミカは初対面。しかも紹介されることなくフラメンコを演じ始める。そして城ノ内、ミカともこのシーン以前に尋に開放されたキャラクターなんです。シーンは続く。

 ミカの巧みな足さばきに感心する城ノ内。それに呼応するかのようにサビカスの右手を持つ彼の演奏も冴えてくる。更に魅了される観客たち。そのとき尋が囁く。

『出た!!』

 出たのはミカの左足の匂い。ミカは以前左足の匂いに悩み続けていた。その匂いのもとはアンドロステノールという物質でムスクに似た匂い。更に尋によってローズオイルでのマッサージが施されており、2つの匂いが混ざり合いムスクローズのような匂いを作りだした。

 そして尋のサンダルウッドの匂いが彼女を包む。彼の匂いは彼女に喜びを与え、足の匂いは一層妖艶で奥深いものになっていく。

 そのとき!城ノ内のギターが激しさを増す。踊りは最高潮を迎える。そして・・・

 踊りつかれた2人を見ながら尋は彼女のハイヒールを片手に立ち去ろうとする。城ノ内が呟く。

『できたのかよ?最高のコシードってやつは?』

 更に歩を進める尋。言葉を続ける。

『何だ・・・・おい!欲しいモンが手に入ったらハイさよならか?だいたいな・・・おまえホントにそれだけが目当てだったのかよ!』

 呟く尋。

『‘だけ’じゃなかったさ。でもこれしか手に入んないみたいだぜ。』

 不思議に思う城ノ内がふと気付く。ミカの熱く見つめる眼差しとそしてすがり寄る彼女の左足に・・・・

 この一連のシーンを読み終えたとき思わず『ゾクッ』としてしまいました。言葉ではイマイチ伝わらないですがコミックというより質のいい映画のワンシーンといっても過言じゃないと思います。これだけでも十分なんですがシーンは更にエピローグに続きます。

 翌朝早朝1匹の犬が街を徘徊している。その犬の名はチョムスキー。彼は飼い犬なのだが朝家を抜け出して散歩するのが日課になっている。そして街の匂いを嗅いでまわるのを楽しみにしている。

 彼はいつもとチョット雰囲気が違うことに気付く。そして花束を抱えて立ち去った男の残り香に気付く。その匂いと共に以前嗅いだことのある匂いがあるのに気付く。それを探す。そしてあのエントランスに到達する。事情を理解したチョムスキーは呟く。

『あの女だ。相手はあの男じゃない。なるほどね。何があったかは知らないけど・・・要するにフラれたんだなこいつは』

 残り香から表情を見てとり呟き続ける。

『そんな情けない面すんなって。おまえには俺と違って次を求める自由があるはずだろ?』

 そしてチョット考えて続ける。

『いや・・・俺だってもっと・・・飼い犬の生活はもうヤメだ!さて・・・どこへ行こうか?』走り去るチョムスキー・・・


う―――――ん、パーフェクト!

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