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2002年3月
五番目の男(ロバートソン・デイヴィス) いつでもどこでも ネコ町物語ナーゴ
(モーリーあざみ野)
ネーミングのための8か国語辞典 犬の気持ち、飼い主の疑問(小暮規夫)
たまひよいちおし本舗2002年春夏号 お好み焼き「ミニミニブック」シリーズ12
蕎麦屋のしきたり(藤村和夫) セガ・アーケード・ヒストリー(ファミ通Books 編)
カイヤの英会話ハートでトーク(カイヤ) .
超私的まんが道2≪一冊入魂≫
コペルニクスの呼吸(中村明日美子) .


ラムゼイ、どう、自分の悪魔と握手してみたら? そして今の愚かしい生き方を変えてみたら? 一度でいいから、悪魔の命令に従って、面白半分に何か説明のつかぬ、非合理なことをやってみたらどう? きっと今とは違った人になれるわ。

いいことも悪いことも、全部合わせて一生を展望してみたいとは思わないのか?
五番目の男

ロバートソン・ディヴィス 行方昭夫 訳

福武書店(絶版)
ほぼ10年ぶりに読み返して、あらためておもしろいと感じました。しかし、すでに絶版です。「ウィンターズ・テイル」につづいてまたもみなさんが入手できない本を紹介することになってしまいます。そんなことでいいのか、と考えなくもないんですが、「それ、読みたい!」と感じてもらうこと自体にも意味はあるだろうと思うんです。

それと、もうひとつ。こういう例──読みたいときにはすでに絶版──がたくさんあるということは、やっぱり本は手に入るうちに手に入れておくべきだということです。もうこれはしかたがないのです。すぐに読まなくても買ってしまうこと。なにも本屋を儲けさせるのをおすすめしているのではありません。

さてさて……

これは私の好きな老人ものの作品です。私の経験からいえば、老人を主人公ないし語り手にした作品にはつまらないものが少ないですね。それには回想という要素が大きく入り込むことになります。若いときの経験が、それから数十年を経て、どんなふうに彼に受けとめられているのか。あのときはよいと思っていたが、老齢となったいまでは否定している、ということもあるでしょうし、あのときと同じかそれ以上に肯定している、ということもありますよね。若いときの行為が大きい傷となっていたとしても、彼はずっとそれを背負ったまま生きてこなくてはならなかったわけです。その重み。同じ経験を若者の視点で現在進行中の形に語る作品というのを想像すると、それはもう照明のあてかたが全然異なるはずなのです。しかし、この作品の主人公はかなり曲者です。

というわけで、語り手は引退した歴史教師ダンスタン・ラムゼイ(72歳)。カナダ人。

この私が、運命の女神と生まれつきの性格とによって、人生における「五番目の男」という、地味ではありますが重要な役割を割り当てられていることなど、パッカーにはわからないし、想像することもできっこないのです。パッカーなど、「五番目の男」がその役を演じている姿を目のあたりにしたところで、その役がいかなるものか、絶対に理解できないことでしょう。

「五番目の男」というのがどういう意味なのか、それをいま説明はしませんけれど、これは演劇用語だというふうにエピグラフでは示されています。そうして、語り手ラムゼイはなにかにつけ芝居や神話の語彙を用います。

これが人生という芝居における残酷さの一つです。つまり、人は誰しも自分が主役を演じていると思っていて、実は脇役であったり、あるいはその他大勢の一人に過ぎないのに、それを認識しないのです。

年を取るにつれて、私の強い関心──歴史上奇妙に繰り返し出てくる主題、神話の主題──が前面に現れるようになりました。


人生・歴史──芝居・神話のことはともかく、彼が≪パッカーなど、「五番目の男」がその役を演じている姿を目のあたりにしたところで、その役がいかなるものか、絶対に理解できないことでしょう≫といっているのにはにやりとしてしまいます。
(思い出したので、ちょっとヴォネガットを引用します。ある女性が大真面目にしゃべったことにヴォネガットはあきれてしまったのですが、≪父はわたしに、その婦人が政治的な問題を話すときには耳を貸すべきでないと言った。彼女は政治向きのことなんかなんにも知らない、ただチャーミングで、愚かで、無邪気な、かわいいご婦人なのだ、とも。/父の言うとおりであった。彼女にとっては、肛門だの、アウシュヴィッツだの、その他なんでも小柄でかわいいご婦人の心を乱すようなことを、筋道立てて論理的に考えることなど不可能だったのだ。≫「パームサンデー」 飛田茂雄 訳)

いや、また前置きばかりが長くなってしまいました。ええ、そうですとも、これは「五番目の男」の紹介だったのでした。
ここまでのところで「なんだか退屈そうだなあ」と思われたとしたら、それは私のせいです。どうしてどうして、この物語はあなたをいっこうに飽きさせませんよ。

書き出しは……

ミセス・デムスターと私との生涯にわたる係わりは、1908年12月27日午後5時58分に始まりました。当時私は10歳7ヵ月でした。
なぜこれほど正確に日時を覚えているかといえば、その日の午後私は、生涯の友であり敵でもあるパーシー・ボイド・ストントンと橇で滑っていて、彼がクリスマスに買ってもらった上等な新品の橇が私の古ぼけた橇ほどうまく滑らないのが原因でけんかをしたからです。


「私」はパーシーを無視して歩きだします。もう帰宅する時間だったのです。しかし、怒りのおさまらないパーシーは「私」めがけて雪つぶてを投げてきます。それが、たまたま夫と通りを歩いていたミセス・デムスターの頭に当たってしまうんです。彼女は倒れてしまいます。妊婦でした。それで身体に変調をきたし、早産という事態になります。

「赤ん坊は早産だったんだ」と私は彼を試すように言ってみました。
「そうかい」と私の目をまじまじと見ながら彼は言いました。
「で、そのわけは知っているんだろう?」
「ううん、知らないよ」
「知っているはずだ。きみが雪つぶてを投げたじゃないか」
「きみにぶつけたんだ。きみにピシャッとぶつかったんだろうね」
パーシーの口調があまりに大胆で率直なので、彼が嘘をついているのは分かりました。「きみは本気でそう思っているのかい?」
「その通りさ」と彼は言いました。「それからね、きみも自分の身の安全を考えれば、そう考えた方がいいんだぞ」
彼と私は互いに見交わしました。彼が恐れているのはすぐに分かりました。また、真相を認めるくらいなら、どんな嘘もつくし、争いをする気でいるのも分かりました。

早産したというばかりでなく、ミセス・デムスターはどうやら一種の痴呆のようになってしまいます。自分のせいでこうなったのだ、と「私」は思ったのですし、それから数十年間彼女の面倒をみることになるんです。

数年後のこと、ある日ミセス・デムスターが行方不明になるという事件が起こります。村のみんなで捜索をするんですが、浮浪者のたまり場になっている砂利採掘場で

父が茂みの中を懐中電灯で照らすと、その寒々とした平板な光の中に浮浪者と女がセックスをしている姿が浮び上がりました。浮浪者は体を仰向けにし、度肝を抜かれて、ポカンと口を開いてこちらを見ました。女はミセス・デムスターでした。

夫が彼女を助け起こして、こう訊きます。

「メアリ、どうしてこんなことをしたのだい?」
彼女はまじまじと夫の顔を見て、次のように答えましたが、この答は村でよく知られるものとなりました。「あなた、あの人はとても礼儀正しかったのよ。そして、とってもしたいって言ったの」

こうして彼女は村では白い目で見られるようになります。しかし、「私」はひそかに彼女のもとに足を運ぶんです。

それでも思い切ってこういう訪問を続けたのは、ミセス・デムスターのために役立ちたいという気持からでした。しかし少したつと、逆に、夫人が私のために役立っていてくれるのが分かりました。何と表現してよいのか分かりませんが、彼女は賢い女性で、私より十歳しか年上でなかった、つまり、当時二十六歳くらいだったのですけれど、視野の広さと明確なヴィジョンを持つという点ですばらしい人でした。私のいわんとするところを説明するような具体例を思い出せないのですが、私を驚かせ喜ばせたのは、事態がなんであれ、必ず悪い結果に至るという心配とか懸念とか予想とかをまったく欠いていた点でした。

「私」はミセス・デムスターを現代の聖人だと考えるようになります。

そして第一次世界大戦。16歳で「私」は志願兵となり、3年間をフランスで転戦。ついにある戦闘で大怪我をします。それから半年以上意識不明でいました。彼が目をさましたのはイギリスの病院でです。左の腕は不自由になりましたし、左足はなくなっていました。ある女性にすすめられて「私」は改名します。もとはダンスタブルといったのをダンスタンに変えたのです。

「十世紀にいた聖ダンスタンというのはすばらしい人物だったし、あなたによく似ているのよ。学問にすごく熱心で、ひどく真面目でこわい顔をして、それから誘惑を退ける点ではすごい達人だったのよ。ある時悪魔が魅惑的な女の姿をして聖人を誘惑しようとしたんですって。聖人は鍛冶屋のやっとこで女の鼻をつかみ、ぐっとねじったんですってさ」

「私」はカナダに帰国し、大学を出て教職に就きます。
そして、あの雪つぶてを投げたパーシー・ボイド・ストントン(いまはボーイ・ストントンといっています)とはつきあいつづけます。彼は事業で大成功をおさめていました。

他人がよさを認めたり、他人が考え出したものの申し子になるというのは、全生涯を通じて彼の特徴の一つでした。

ボーイは天才でした。つまり、普通の人が持てる能力を最大限に発揮しても達成できぬことを、ろくな努力もせずにみごとにやってのける人です。

「私」はといえば、教職のかたわら聖人研究にいそしみます。
地味な人生です。「私」は自らこんなふうに書くんです。

私が送りたいと思っている人生、と言いましたが、具体的にそれがどういうものか、全然はっきりしていませんでした。時どき未来について勘が働いたり、ヒントが頭にひらめいたりすることはありましたけれど、確実なことは分かりませんでした。

けれども私は、人生に何か注文を出すという考えになじめませんでした。むしろ、偶然に自分の人生の選択をゆだねるというギリシャ流の考えが気に入っていました。

私は運命の協力者でして、「運命」の頭にピストルを突きつけてあれこれ要求するような者ではないのです。私にできることは、現在やっていることをやり続け、自分の気まぐれを信用し、聖人と同じく私にとっても、光が見えてくることがあるにしても、それは予期せぬところからさしてくるのだと覚えておくぐらいしかありませんでした。

その「私」にこんなことをいうひとたちがいます。
たとえば、ミセス・デムスター(彼はずっと世話をしつづけているんです)については……

きみは正常、彼女は狂人だと決めるのはやめ給え。より真実の問題、彼女は誰なのか、という問題に心を向け給え。警察での身許証明とか結婚前の名前は何だとか、のことではない。わしのいうのは、きみの個人的世界の中で彼女は誰だということだ。きみ個人の神話の中でどういう人物なのか?

きみはまだ若いので、精神の苦しみはすばらしいもので、秀れた人間の印だと考えている。しかし、きみはもう青年ではない。若い方の中年というところだ。だから、精神的な苦悩が英知につながるものでないことに気づいてもいい頃だ。ラムゼイ、自分が人間であることに対して、自分を許しなさい。それが知恵の第一段階だ。

ここ三週間あなたは相当に強い感情をこめて、自分の生涯の話を聞かせてくださったわね。それを聞くと、あなたが自分のことを人間だと考えなかったように思えるのよ。

ラムゼイ、どう、自分の悪魔と握手してみたら? そして今の愚かしい生き方を変えてみたら? 一度でいいから、悪魔の命令に従って、面白半分に何か説明のつかぬ、非合理なことをやってみたらどう? きっと今とは違った人になれるわ。

「私」はどうやら握手したようです。

どこかでみなさんがこの本を見つけられますように!












いつでもどこでも
 
ネコ町物語…ナーゴ

モーリーあざみ野

NHK出版 2000円+税
とにかくモーリーあざみ野さんはネコが好きってこと。なにせかってにイタリアの隣に「ナーゴ」という国を作りあげ、そこに個性的な猫たちを102匹も住まわしてしまったのだから。

ヨーロッパの片田舎に住んでいる「猫カタログ」風のイラスト集なんですけど、その猫たちはそれぞれ、毛の色・模様・目の色・誕生日・性格から、彼らの生活ぶりや好みまでモーリーさんから与えられ、この赤い表紙のちょっと変わった縦長の本の中で暮らしています。イラストは色えんぴつ風(?)の水彩画で描かれ、まるで旅日記のよう。

架空の国なんだから、出てくる猫たちだって“うっそびーん”なんだけど(もちろんたくさんの本物の猫を観察したんでしょうけど) なんだかこんな国行きたくなっちゃいます。本自体のデザインもとても良いので、そのまま部屋の飾りにも出来そう。

ただ、巻末付録の〔登場したネコたちのデータカード(切り離して使えるよ)〕は何に使うのかわかりませんけど…。







AN 8-LANGUAGE WORDBOOK
 FOR NAME-CREATION

ネーミングのための
8か国語辞典



三省堂 4900円+税
学校を卒業して当分の間、買わなくなるものの一つに辞書がある。もちろん必要ないわけではなく、国語辞典は時折使用しているし、意外と英和辞典も月に何度かページをめくっている。しかし新たに辞書を買うこともなく、よほど必要になるか、今使っている辞書が役に立たなくなるまで財布とにらめっこすることもないだろうと思っていた。

買ってしまいました。必要もないのに。しかも\4900 !
何で買ったか?それはね、面白かったから。そう辞書のくせに生意気にも面白いんです、この辞書。

日本語を多国語に一気に引ける。その多国語とは英語・フランス語・イタリア語・スペイン語・ドイツ語・ギリシャ語・そしてラテン語!ラテン語ですよ、ラテン語!ラテン語の辞書なんて買ったらすッごく高いのに!(必要ないけど)

これだけそろって\4900。さすがに辞書としてはベーシックな単語だけですけどね。ある意味安いかも…。今度犬飼ったら名前はこれ使って考えるとしよう。











犬の気持ち、飼い主の疑問

小暮規夫

講談社 1400円+税
飼い主の言いぶんに対して犬の気持ちはどうなのか、両方の意見を聞いて獣医さんが判定とアドバイスをしてくれます。

例えばP90〜
落ちているウンチに興味津々。食べようとするなんてうちの犬は変態かもしれない。


飼い主の心配・・・トイレにあったウンチを食べてしまって以来、ときどきウンチをくわえ、食べてしまうことがあります。注意して、ウンチをしたあとはすぐに片づけるようにしていましたが、今度は散歩の途中で道端にあるウンチに興味を示しています。ちょっとでも目をはなすとくわえてしまいます。汚くて臭いっていうのに・・・・・・

犬の喜び・・・最初は、子犬の頃。飼い主がなかなかボクのウンチをとってくれなくて、ヒマだからちょっとじゃれていただけなんだ。口にくわえてみたら、おいしそう。それで食べちゃったんだ。育ち盛りだったから、いつもお腹がすいていて、いい栄養補給になったしね。いまは飼い主がすぐに片付けちゃうんで、外で調達してるのさ。けっこう落ちているから、見つけるのに苦労しないよ。くわえると、飼い主と追いかけっこもできて楽しいしね。やめられない、止まらない、だね。

そして獣医さん・・・と言う具合。

犬の日頃の問題行動にもちゃんと意味があるとのこと。飼い主にかまってもらいたい一心でやってしまったことや、ほめてもらえるはずが叱られた等の犬の言いぶんがとてもかわいらしく書かれています。現在犬を飼っている方、しつけに頭を悩まされている方、これから犬を飼おうと思っている方におすすめします。

☆☆☆ぜひ、ぜひ読んでもらいたいP204〜













たまひよいちおし本舗
2002年春夏号
ベネッセムック ひよこクラブ特別編集


ベネッセコーポレーション 500円(税込)
もうすぐパパやママになるみなさん、出産準備はすすんでいますか? お店に行ってもいろんなものがたくさんありすぎて迷ったりしていませんか?
店員さんに聞くのもひとつの手ですが、ここは先輩ママやパパの意見の載っているこの本を参考にしてみませんか?

何より4大おでかけグッズ徹底比較は必見です。
ベビーカー
チャイルドシート
マザーズバッグ
抱っこホルダー
と、どれも外出するときには必要で、それなりに高価で、簡単に買い換えもできないものです。じっくり読んで比較して購入の参考にしてみてください。

その他にも、子どもの成長にあわせて、育児の定番グッズを比較してくれていて、とてもわかりやすい。もちろん紙のおむつの比較や素朴な疑問にも答えてくれているよ。
そしてたまひよグッズなど便利でおススメの品が通販で買えるページもあります。外出はちょっとしんどいというひとでも楽々お買い物。
さあ、かわいいベビーのためにも2人でじっくり考えて相談して決めましょう!








お好み焼き
オレンジページCOOKING 「ミニミニブック」シリーズ12


オレンジページ 190円+税
お好み焼きは好きですか?
みんなでワイワイやりながら作って食べるのは最高に楽しくて美味しくないですか? 関西風や広島風にしたり、明太子など様々な具をお好みに入れて焼くだけの、いたってシンプルでいて旨い料理。なんでこんなものを入れるんだと思ったものが、意外と旨かったりと、チャレンジ精神(?)をあおる料理でもあります。だから料理の苦手なひとでも簡単にホームパーティができますよ。ただ生地だけはしっかりと作ること。小麦粉と水をまぜただけじゃだめ。だし汁と山芋は必ず使うこと。これだけでほとんど旨いお好み焼きに近づいたも同然です。さあ、鍋の次はお好み焼きでホームパーティでもいかが?











蕎麦屋のしきたり

藤村和夫


NHK出版 640円+税
私、大好物なんです。新そばの季節ともなると、あの喉ごしを味わうのが楽しみで楽しみで…(^_^)

本書の著者は元「有楽町・更科」の四代目主人、蕎麦の研究家としても著名な藤村和夫氏。江戸っ子調の口上で、蕎麦に対する愛情が講釈を交えて綴られております…。

「蕎麦屋で酒を楽しむ方法」、蕎麦に欠かせない「蕎麦湯」…鰹節から作り出す、美味い「そばつゆ」…嗚呼、書いてるだけで食べたくなってきた(笑)

勿論、厨房のお話なんかも語られていて、調理場の配置やら、楊枝と箸、暖簾分けや製粉の話に至っては、もうただの【美味いもの本】の域を超越しております!!

普段何気なく食している蕎麦にも…色々な要素がぎっしりと詰まっていたんですねぇ〜

今回のオススメ度 ★★★★☆(日本の大衆食・蕎麦。この魅力に取りつかれ、生業としてきた氏の、職人としてのこだわりすら感じられる一冊。蕎麦アレルギーの方にはお気の毒ですが…そうで無い方、ご一読してみては?)










セガ・アーケード・ヒストリー

ファミ通Books 編

エンターブレイン 1800円+税
昨年、突如として「ドリームキャスト」の生産中止を宣言し、物議を醸した大手ゲーム・メーカーSEGA。その創業は意外にも古く、50年も前の話と言うのをご存知ですか?

家庭用ゲームの雄として、我々の面前に登場したのは、今から20年程前の1983年…ファミコンと全く同時期なのですが、それ以前からゲームセンターや遊園地でお世話になった諸兄も多いはず。

現在でもゲームセンターには多くの「セガ製品」が軒を並べ、特に「バーチャファイター4」には長蛇の列が並ぶほどの盛況振り(‐‐;)

本書はそのセガが、今まで世に送り出した「名作&迷作ゲーム」の数々を年代ごとに紹介した一冊で、ゲーム・マニア必携の書でしょう(笑)

思えば「体感ゲーム」なんて言葉を流行させたのもこのセガで、ページを捲ると出てくる出てくる…「アフターバーナー」「スペースハリアー」「アウトラン」「ハングオン」「バーチャレーシング」…当時私は、一体幾ら分の100円玉を注ぎ込んだのでしょうか…(^^;ゞ

今でも根強い人気を誇る「セガ・ブランド」のゲーム、最近ではエミュレーターなるものの恩恵で、昔のゲーム機を持っていなくても、「懐ゲー」が楽しめる世の中になりました…イイ時代になったモノです…最新家庭ゲーム機「XBox」がリリースされて、益々白熱するゲーム業界ですが、たまには昔のゲームを楽しむのも新鮮で良いものですよ?

本書を片手に、一寸したノスタルジックに浸ってみるのも一興と言う事で…

今回のオススメ度 ★★★☆☆(読者傾向に偏りが出そうですが…意外に古いわが国の、大衆娯楽となったTVゲームの歴史を証言する、ある意味貴重な一冊でしょう。同時発売の「セガ・コンシューマー・ヒストリー」¥1900+税と併せてどうぞ)









カイヤの英会話ハートでトーク

カイヤ

KKベストセラーズ 1000円+税
つい先日、当店の文庫担当・村山氏から、原口にこんな質問がありました…

「なァ、中国語の本で【爆裂・中国語】って本、知ってる?」

勿論、知りませんでした(‐‐;)
何処の出版社かも知りませんし、結構前の本らしいのですが、一部の書店では結構売れているとの事…。

どうやら「夜の会話」が載っているのが売れてる原因の一つらしいのですが、この手の本は何処からか必ずクレームが出るらしく、驚くほど商品として出回る寿命が短いので、現在では数えるほど…。

氏は「ウチでも置いてみれば?」とのたまったので、一応注文は致しましたが…いきなりチャイニーズだけ陳列するのもアレなので、本書の登場となった次第です(笑)

著者はあのカイヤさん…相当ぶっ飛んだ内容かと思いきや、中身は意外な程にしっかりとした内容で、「プラトニックな男女交際」から「ピロー・トーク」迄、どちらかと言うと女性の側から見た英会話本でした。

Would you like to have dinner with me?
なんて格好よく誘ってみて…、彼女から食事の後、

This place was O.K.…But next time, let me take you to my favorite restaurant.
って…スマートに次回の約束を取りつけてみませんか?

今回のオススメ度 ★★★★☆(一応、触りの部分の本文を乗っけてみましたが、後半には、ピロー・トークもバッチリ掲載されている貴重な本、騙されたと思って一度目を通してみて下さい…結構使えると思うのですが…?)








≪一冊入魂≫


第3回 『コペルニクスの呼吸

 ようやく出ました・・・中村明日美子。

  以前のマンガ道で、単行本になっていない作家さんの特集を組んだことがあるのですが、そのときに少しだけ触れていたのがこの中村明日美子先生。当時はまだ短篇ばかりだったので、連載開始した田村マリオ先生をオススメすることにしましたが、ようやく連載デビュー作が出ましたので今回のマンガ道で取り上げました。

  実は今回もうひとつオススメしたい作品がありました。高田靖彦先生の『演歌の達』(小学館)。ですがよりHOTで新鮮なほうからオススメします。一応次回あたりに『達』のほうを書こうと思っています。全9巻一気読みしてしまった『達』を押しのけてまで勧めたかった明日美子ワールド。

皆さんもドップリと浸かって下さいませ!





コペルニクスの呼吸

中村明日美子

太田出版 1巻まで 952円+税
  まずは簡単な作品紹介から。

 時代は1970年代初頭、舞台はパリのサーカスからはじまる。主人公トリノス(鳥の巣)は悲しく美しい素顔を隠したピエロ。彼は忌まわしき過去を清算することが出来ず常に死と隣り合わせの精神世界に囚われ続けている。その一方でサーカス仲間のジャグラー・レオに密かに惹かれている。
 ある日トリノスに、ある日本人の老外交官オオナギから一夜をともにするようにとの指名がかかる。だがその老人は食事をともにするのみ。別れ際にこう呟く。『ぼくはすぐには君を抱かないよ。毎公演君を買おう。もし君がぼくを好きになったらそのときに君を抱こう。』このサーカスではこのような行為が男女問わず行われていた。飛行ブランコのプリマドンナ・ミナも同様。彼女は精神に崩壊をきたす。トリノスに喰いかかるミナ。酷い仕打ちで返すトリノス。運命の時。ブランコから落下するミナ。トリノスに再び圧し掛かる忌まわしき過去。サーカスとの決別。オオナギの元へと走る。そして・・・


 昨年ふとしたきっかけで鈴木清純監督の作品を観る機会がありました。その映画は『陽炎座』。大好きな松田優作が主演の異色作。以前秋田書店の『松田優作物語』でとりあげられていて気になっていたのですがちょうどDVDで発売されたので早速観てみました。独特の色彩センスと世界観のある作品で、その直後に劇場公開された『ピストルオペラ』も続けて鑑賞、やはり独特の世界に惹きこまれました。

 この『コペルニクスの呼吸』もまさにこの感じ。繊細な絵柄もさることながら、注目すべきはストーリー構成。短篇の頃からこの2点は印象深く、太田出版の営業の方と話す機会があり、

『是非連載作品を!』


と個人的に熱望していました。で実際に連載モノで読んでみると更にグレードアップしていたので嬉しくなりました。≪耽美そして官能の世界≫というテーマだけにどうしても重苦しい雰囲気になってしまい、読む人を選んでしまう作品に思われがちと思います。ですが萩尾望都先生の描く耽美・官能の世界のように洗練されているのでチョット苦手という方にもいけると思います。更にストーリー展開・世界観は映画でいうと『Helpless』『ユリイカ』の青山真治監督、『恋する惑星』『花様年華』『ブエノスアイレス』のウォン・カーワイ(王家衛)監督の作品に通ずると思います。とはいっても両監督の作品を観ているという方がどれだけいるのかチョット疑問なんですが・・・

超私的お気に入りシーン

弟の形見を自問自答するトリノス
P146〜148
 主人公トリノスには弟がいました。弟もサーカスの一員で彼ら2人は飛行ブランコノ乗りでした。弟ミシェルは演技中の落下事故で死んでしまいます。トリノスに憑きまとう死とは、事故時のパートナーでもあった自分への責でありその要因を作り上げた自分の感情の表れがミシェルの姿となっているもの。その多くはミシェルの残した一冊の本を読んでいるとき。その本の一節にこう書かれている。

 『コペルニクスは呼吸する。地動を唱えた勇なる愚者は華麗なる発想の展開でもってキチガイとみなされそして死んだ。コペルニクスは呼吸する。コペルニクスの呼吸のリズムが虫喰いテントを星空にする。めぐる、めぐる、星はめぐる。僕は飛ぶ。コペルニクスの呼吸にのっとって、コペルニクスの星空を縦横無尽に飛びまわる。そして僕は星座になる。いつしかブランコを断ち切って、コペルニクスの星座になる。』

 ミナの落下事故のあと見えなくなっていたミシェル。オオナギとの情事のあといつものようにミシェルの形見の本を開き上のくだりの一節に目をやる。読み終えたトリノスが思わず呟く・・・

 『・・・ミシェル、もう出てこないのか・・・?』

 聴こえてくるミシェルの声。

 『そんなの・・・兄さんののぞんだことじゃないか・・・』


 サーカスを出てオオナギの下で暮らすトリノスが望んだことはミシェルという死の象徴からの離脱、そして精神的な安らぎだったはず。だがミシェルは見えなくなっていたものの、彼には安らぎの時が訪れていなかったということでしょう。
 そんな彼が求めたものが一番離れたかったもの、というその葛藤が如実に現れるこのシーン、かなり『ゾクッ』としました。このシーンの後オオナギの妻の弟ミシェルと出会い、トリノスの口からミシェルの死の真実が語られる。そして動転する彼を助ける現実世界のミシェル。ここでこの巻は終わってしまいます。
ようやく本題に入ったのに―――!
このあたりは次巻への期待を更に膨らませてくれました。雑誌の刊行ペースから見るとたぶん2巻は半年後くらいかな・・・
う――ん待てない・・・
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