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2001年11月
(チャールズ・ダンブロジオ) ポプラの秋(湯本香樹実)
饗宴 ソクラテス最後の事件(柳広司) おもしろ自動車空力学
危機からの脱出方法(伊藤慎一) どっちの料理ショー 特選素材取り寄せカタログ2002
イチロー・ルール 「イチロー」が掟だ!(梅田香子)
イチロー・ザ・スーパースター
(シアトルタイムズ記者グループ)
新たなる挑戦 カル・リプケン物語
(H.ローゼンフェルト)
OBたちの挑戦X(大沢啓二)
GENTLE SOUND 愛犬音楽館
悪魔の飽食(森村誠一) ポンペイの滅んだ日(金子史朗)
風船爆弾 純国産兵器「ふ号」の記録(吉田興一) サポセン黙示録2(FOX兄貴)
超私的まんが道
仮面ライダーSPIRITS(村枝賢一) ARMS(皆川亮二)
フルーツバスケット(高屋奈月) .


今夜、ふたりで皿を洗っているときに、サラが身震いをしはじめたかと思うと、全身を激しく震わせて、コーヒーカップを床に落として粉々にしてしまった。夕食のあいだ、ぼくらはほとんど言葉をかわさなかった。今夜はぼくが食器を拭きとる日だった。ぼくはタオルを用意してサラの後ろに立っていた。最初に彼女の肩がかすかに震えたのを目にした。その小刻みな震えが大きな波となって広がった。きっかけはなんでもよかったのだ──汚れた泡が気にさわったのかもしれないし、ぼくのタオルの持ち方のせいかもしれない。もしコーヒーカップが割れなかったら、そのまま放っておいただろう。
「動くんじゃない、サラ」とぼくは言った。
「ああ、神さま」サラは悲鳴をあげた。「ああ、なんてこと!」
彼女は顔を覆って叫んだ。
「カップが割れただけさ。落ち着くんだ」
ぼくが箒を持ってくると、サラがお腹を抱えるようにかがみこんでいた。
「サラ?」
返事はなかった。彼女がかがみこんでいるリノリウムの床に、えび茶色の血が一滴落ちていた。サラは泣きながら頭を前後に揺すっていたので、ばらばらになった髪が口元にへばりついた。手の施しようがなかった。ぼくはかがみこんで彼女の顔を両手で挟み、力づくでぼくの目を見させた。「どうしたんだ?」とぼくは言った。「何があったんだ?」彼女は自分の手を噛んだ。「おい、サラ、赤ん坊はだいじょうぶかい?」


チャールズ・ダンブロジオ 古屋美登里 訳

早川書房 2300円+税
チャールズ・ダンブロジオの短編集「岬」は、以前にもご紹介しました。
それをもう一度あらためてとりあげてみたいんです。
前回にはちょうど表題作だけに触れたのでしたが、今回はべつの2編「発車します」「リリシズム」について。

ダンブロジオというこの若い作家、翻訳はこれきりなんですけれど、他のものもぜひ読んでみたいです。この短編集はほんとに粒ぞろいで、感嘆します。どれもとても静かな作品なんですね。そうして、こんなことをいえば、みなさん興ざめかもしれませんが、実によく考え抜かれていますよ。非常に巧みな書き手です。

さて、「発車します」
なんでこんなタイトルなのかは、まあ、読んでいただければわかります。

若い夫婦がいて、ふたりに共通の友人フラジョールの訃報が届くところから小説ははじまります。この夫婦の、夫が語り手の「ぼく」です。妻は妊娠しています。死んだフラジョールは「ぼく」の親友でしたが、妻の「はじめての人」でもありました。


まずは電話から。

「やあ、マイク?」
「ニール──フラジョールが亡くなった」

「うそだろう。冗談はよせよ」とぼくは言った。
「冗談であってほしいよ」とマイクは言った。「冗談であったなら」

マイクは何が起きたのかを話してくれていた。最近フラジョールは、ビールを半ダース買いに出かけては最後のひと缶になるまで飲みながらドライヴするのを習慣にしていたそうだ。……マイクによれば、その夜、フラジョールは山へと車を走らせていた。スノカルミー峠で方向転換しようとしたときに、ガードレールを突っきってしまい、彼のビートルは土手から転落した。車は百フィートほど転げ落ち、くるくる回転したあと車体を起こして火に包まれた。フラジョールは焼死した。……

「ぼく」と妻のサラは葬儀に参列します。
会場のセント・ヨセフ教会は、

ぼくたちが洗礼を受け、初めてミサを執り行ない、罪を懺悔し、聖体を拝領し、堅信礼を受け、そして五年前には小さな儀式、サラとぼくの結婚式を挙げたところだ。そして今度はフラジョールの葬儀。

ちゃんとしたカトリックの儀式では、亡骸は足から先に墓に入れられる。ぼくはそういうことには詳しかった。なんせ八年間も待者をやっていたのだ。土曜の葬儀には幾度となく参列してきた。死者の足を先にするのは、人の誕生時の姿と区別をつけるためだった。安産というのは、赤ん坊が頭から先に生まれてくることだ。サラが医者から教えてもらってきたばかりだから、これはぼくも知っている。ところが、ぼくの赤ん坊はその逆、つまり逆子だった。

同じ場所(セント・ヨセフ教会)でのいくつかの出来事、死と誕生の重ね合わせ、なんていうと、こむずかしいですが、ひとつの要素をそれだけで終わらせずに、いろんなものと重ねる、しかも、それぞれ必然性をもたせて重ねる、幾重にも、です。しかも、自然にきこえるように。作者は並のひとじゃないですね。

「ぼく」たち夫婦の関係はいま微妙に危ういです。ある夜、「ぼく」はひとりでドライブに出ます。途中、以前に夫婦で立ち寄り、よい思い出となっている場所を通過しもする。しかし、「ぼく」が車を停めた場所は、

気圧の変化で耳がツンとなったと思ったら、まもなく山道が平らになった峠に出た。ぼくはUターンをして反対車線の路肩に車を停め、ハザードランプをつけた。
……僕の後ろを、トラックがスピードを落として通過していった。ガードレールについている黄色い小さな反射板が猫の目のように光った。駐車した場所から百ヤードほど離れたところで、ガードレールがねじ切れていて、金属が反対側に鋭角に折れ曲がってポキリと折れたような、ぎざぎざの穴があいていた。路肩の先はいきなり急斜面になっていて、岩だらけの坂がつづき、ようやく平らになったところには木の茂みがあった。ぼくは懐中電灯をポケットに入れて、土手を這い下りていった。あと十フィートというところで尻のあたりが震えた。

フラジョールの焼けた車はまだそこにあります。「ぼく」はなかの座席にすわります。死んだ友人と最後に会ったときのことを思い出しています。

すばらしい。




それから、「リリシズム」。これは短いながら、2部構成になっています。それぞれ、「十月」と「一月」という章題がついています。これがまたとても美しい、静謐な作品なんです。もしかしたら、初めて読むひとはこの短編からはじめるのもいいんじゃないかなあ。
後の方、「一月」で、主人公ポッターは雪の町を歩いていきます。


真夜中を過ぎたころから降りだしてきた雪に、ポッターはそのとき気づかなかった。風でブラインドの薄板が気になるほど揺れなければ、いまも気づかないままでいたことだろう。彼は書き始めたばかりの便箋から顔をあげた。

便箋は母親からのクリスマス・プレゼント。彼女はそれに近況を書いて送ってくれというのでした。この作品には、数日前に終わったクリスマスというイメージが繰り返しあらわれます。家々の門の前に出され、処分を待っているクリスマス・ツリーとか……。

彼は自分のことを作家だと夢想することが好きだったし、ときには原稿と格闘したり、記事を書いたりしたが、いまはごく短い手紙を書くのにも四苦八苦していた。うわべをとりつくろった途切れがちな書き出しを何度も書き直している最中に、彼はベイクド・ポテトが無性に食べたくなった。それでいま、ジャガイモがふたつオーブンのなかに入っている。ジャガイモは焼く≠ノ限ると彼は考えた。そして雪が降っていることに気づいたいまは、ジャガイモの焼ける音はいっそううまそうに聞こえた。

どうでしょう?
ほんとにうまそうに感じられませんか?
そうして、彼は外へ出かけることにします。

ートを着てマフラーを巻き、黒い毛糸の帽子をかぶった。手袋は見あたらなかったが、それはどうでもよかった。温かいジャガイモをふたつのポケットに別々に入れた。出かける間際になって気がつき、小さな食卓から塩と胡椒のシェイカーをつかむと、明かりを消して階段を降り、散歩に出かけた。

街は人がひとりも住んでいないかのように空っぽだった。

彼は公園へ向かいます。

彼は足跡のついていない雪をブーツで蹴飛ばし、粉のように弾ける雪を見ながら歩いた。街灯の下で照らし出される雪は青く、ダイヤモンドのようだったが、種類の違う公園の街灯に照らしだされる雪は、黄金の海のように輝いた。

公園の中央には半円形の野外音楽堂があった。クリスマス用の白い電球を集めて作られた大きな星が、音楽堂の屋根の上で明るく輝いていた。

「すいませんが、旦那?」
と声をかけてくる男がいます。浮浪者です。

「腹は減ってないか?」とポッターは訊いた。
「さあ、どうですかな」と彼は言った。「そのことは考えなかったんでね」
「それで?」
「そのようで。どうやら減っているようでさあ。腹と相談すればね」
「ベイクド・ポテトは好きかな?」
「なんですって?」
「ジャガイモだよ」
「そう言ったんだと思いましたよ。でも、歩いてどこかに行こうって気分じゃねえんですよ」
「ここにひとつ持っているんだ」とポッターは言った。
ポッターはポケットからベイクド・ポテトをひとつ取りだした。彼が作製したプレゼントででもあるかのように、銀色のホイルのボールを、手品のように、どこからともなく手にしていた。男はびっくりしてきらめく包みを見つめた。作りものの星の光に照らされて、それはきらきらと輝いている。熱いホイルの上に舞い落ちた雪が溶けた。

……どうでしょう?
このあともポッターはしばらく夜の散歩をつづけるんですが、それが実にあたたかく、静かで、美しいんです。

さあ、これでみなさんもついに「岬」を読んでくれますね?

おぼえておきましょう。チャールズ・ダンブロジオという作家の名前を。














けれど、ふと顔をあげると、ポプラの木は今も紛れもなくそこに立っていた。午後の陽射しを浴びながら、金色の葉をかすかに鳴らして。それは過去でも未来でも夢でもまやかしでもなく、あまりにもくっきりと現実そのものだったので、私は瞬間、頭のなかが真っ白になってしまう。ポプラの木は、行き場がないなんてことは考えない。今いるところにいるだけだ。そして私も、今、ここにいる。
ポプラの秋

湯本香樹実

新潮文庫 400円+税
自分は手紙を届けるのだ、とおばあさんが言った時、私の頭のなかを赤いスクーターに乗ったおばあさんが横切った。
「郵便屋さん?」
おばあさんは座椅子の上で背をまるめて、ふふふ、と笑った。
「あの世のさ」
「え」
「あの世の郵便屋。あたしがあっちへ行く時に、こっちから手紙を運ぼうってんだよ」


幼い少女だった「私」はせっせと父親あてに手紙を書き始めます。父親はすこし前に交通事故で亡くなっていました。残された「私」と母がふたりで移り住んだのが、おばあさんが大家をしているアパートでした。母が、この家の庭に立つ大きなポプラの木を気に入ったからでした。
父が死んでからの母の様子は辛そうでしたし、「私」は母に余計な心配をかけまいとして神経の張りつめる毎日を送っていたのでした。「けれど私ががんばろうとすればするほど、からだは言うことをきかなくなっていくようだった。」「私」は病気になってしまいます。身体というよりは、むしろ心に問題があったのだと思いますが、「私」は母が仕事で出ている間、おばあさんの世話になり、徐々に回復していくことになります。おばあさんがあの世の父親に配達してくれるという手紙を書きつづけることが「私」を楽にしてくれたのでした。

物語は、すでに成人し、ひとりで暮らしている「私」のもとへ母から電話のかかってくるところから始まります。おばあさんが亡くなったという報せでした。「私」はすぐに、懐かしいポプラ荘へ行くことを決めて、飛行機に乗るのです。

おとうさん、おげんきですか。きょう、わたしは7さいになりました。おかあさんがケーキをかってきてくれました。ケーキをきって、おおやのおばあさんのところに、もっていきました。おおやのおばあさんは、ケーキのことを「ようがし」と、いいます。…………

その日は母に「もう寝なさい」と言われてそのまま手紙に封をしたが、翌日から私は、自分のまわりに起こった出来事を、七歳なりのやり方で書き込んでいくようになった。手紙というよりは、日記をつけるようなものだ。私はその作業に、日を追うごとに打ち込むようになった。誰かに自分の毎日を、「心配をかけるのではないか」とか「叱られるのではないか」などと一切考えないで吐き出してしまえるのは、驚くほど気分のいいことだった。


そうしてポプラ荘の日々は、

佐々木さんは、仕事が休みの日だと必ず、焚き火の匂いを嗅ぎつけた。そして、
「お芋買ってくる!」
と、自転車に乗って飛び出していく。お芋をまず濡れた新聞紙にくるみ、さらにぎんがみで包んでゆっくりと蒸し焼きにするのがいいのだ、と言うおばあさんに従って、私たちはお芋を焼いた。薄暗くなりかけた冬の夕方、焚き火の側で、顔ばかり火照ってはいてもからだの芯は冷えてこわばっているところに熱いお芋を食べるのは、何よりのご馳走だった。
佐々木さんは外の道路をたまたま誰かが通りかかると、知らない人でもおかまいなしに呼びかける。
「お芋、食べていきませんか?」
焚き火が燃え盛っていればいるほど、声をかけられた人たちがすうっと誘いに応じたのは、不思議なほどだ。犬の散歩の途中のおじさんとか、保険のセールスの女の人とか、顔中を泥と涙だらけにして、壊れた自転車を押していた男の子とか。皆、あまり口をきかなかったような気がする。実際、お芋が熱かったから口がきけなかったのかも知れないけれど、そうやって見ず知らずの者どうしが、おばあさんの庭でひとつの火を囲んで、ものを食べている──その記憶が、とても静かな絵のように、私のなかに焼きついているのだ。



いま、おばあさんの訃報をきいて、ポプラ荘に戻っていく「私」のボストンバッグのなかには多量の睡眠薬が入れてあるのでした。「私」はひと月ほど前に看護婦の仕事を辞めていました。

一日二日のことなのに、睡眠薬を全部持って出かけるなんて馬鹿げてるじゃないかと呟きながら、ほんとうは馬鹿げてるなんて思ってないんでしょ、だってあなたはそのことばかり考えてるんじゃないの、という別の声をきいている。


カラスウリは、つるつるしていました。トマトみたいにやわらかいとおもっていたのに、ちがいました。「たべれる?」ときいたら、おばあさんは「さあ、たべてみれば」といいました。わたしがたべようとしたら、オサムくんが「やめたほうがいいよ、ちあきちゃん」といったので、やめました。おばあさんが、「ほんとにたべるつもりだったのかね、この子は」といったので、あたまにきました。



「私」の乗っている飛行機に急病人が出ます。15歳ほどの少女。
「私」は看護婦だといって、少女の容態を見ます。

市販の胃腸薬か鎮痛剤ならありますが、と遠慮がちに声をかけてきたスチュワーデスに、私は首を振った。
「虫垂炎かも知れません。救急車を空港に呼んでおくこと、できますか?」
スチュワーデスのきれいに化粧した目が、ぱっと私を捉える。私はあなたを信用している、あなたも私を信用してよろしい、と言っているように。


「あと少しで着くからね」
肉の薄い彼女の腹部に、もう一度手を当てる。痛みがじかに伝わってきたような気がして、一瞬ぎくりとしてしまう。
この子はたしかに我慢強い。それも、私が思っていたより、ずっと。
「手、あてておいて」
目を閉じたまま、女の子はかすかな声で言った。
そうだ、私は人一倍熱心に働きはしたものの、あまりいい看護婦とは言えなかった。盲腸を切る程度の手術を前にして、大の大人がこわがって泣いたりすると、口では励ますようなことを言いながら、心の底では苦々しく思ってしまうことさえあったのだ……。でも、今、どうして私には、この子の感じている痛みがこんなに伝わってくるのだろう。二度と病院には戻らないと決めた、今になって。


こうして、「私」は懐かしいポプラ荘に戻って行ったのです。

けれど、ふと顔をあげると、ポプラの木は今も紛れもなくそこに立っていた。午後の陽射しを浴びながら、金色の葉をかすかに鳴らして。

そして、……。

う〜ん、すじの紹介のしすぎかな? でも、大丈夫、みなさんの読書を損なったりしませんよ。
ていねいな、心のこもった作品です。












饗宴─シュンポシオン─
ソクラテス最後の事件
柳 広司

原書房 1800円+税
1891年にエジプトで大量のパピルス文書が発見されたことから物語ははじまります。アテナイ人の民主制を明らかにするものや、失われた歴史を蘇らせるもの……。もちろん、一部を消失したもの、文章が欠落しているもの、判読できないものもあり、玉石混交だったのですが、そのなかで、ひと通りまとまった文書が出てきました。調べてみると、その時代にはないはずの表現やおかしな文体で書かれている箇所があり、調査した学芸員たちは、これをなんらかの事情で紛れ込んだ後世の偽書と判断しました。

ある時、ひとりの学芸員がその≪偽書≫を翻訳し、注釈をつけ、各章に小見出しをつけて、仲間内での回覧に供した、という設定がこの小説です。

主役は2人。なんとあの賢者ソクラテスとクリトン(ふたりはまるでシャーロック・ホームズとワトソンのような関係)。アテナイで起きた連続(?)殺人と、この都市を覆う謎を解明。友人クリトンがそれを記録する、というミステリー……。

それはバラバラに引き裂かれた若い男、狂ってゆく女たち、斧で惨殺されたアテナイ一の粋人、その隣で首を吊った女、衆人環視のなかで死んだ男……。そして謎のピュタゴラス教団の影がちらつく世界。

殺人事件の犯人捜しや、謎解きは面白いのですが、ピュタゴラス教団の暗号はちょっと単純でした。(でもギリシア語が理解できないので、暗号を解くことはできても、その意味はソクラテスが語るまで理解できませんでしたが)。

また、本の帯にあるように、「ロゴスで解けない謎はない」とソクラテスは語りますが(ロゴスとは、この本では言葉≠指します。大学では真理≠ニ習った覚えが……)、そのソクラテスがロゴスによって謎を解く∴象はないんです。はっきりいって、肉体派です。(シャーロック・ホームズも精力的(意外にも)に動くタイプでしたが、ソクラテスはもっと野生的)。

この小説はミステリーをたのしむというより、古代ギリシアの社会や雰囲気をミステリーという小説の形式で体験していくところが面白いのです。柳広司氏は『贋作「坊っちゃん」殺人事件』で朝日新人文学賞を受賞した作家。「饗宴」を読んだ限りではまだ発展途上≠フ感がありますが(また偉そ〜に)、これからどんな本を書いてくれるのか楽しみな作家さん……と感じる本でした。











Car Styling 別冊
おもしろ自動車空力学


三栄書房 2800円+税
映画「ワイルド・スピード」を観に行った。ストーリーは昔キアヌ・リーブスが主演していた刑事アクションの「ハートブルー」まんまだが、車好きにはそんなことはどうでもよくて、ポップコーンを頬ばりながら、スクリーンを眺めること、約2時間。なんで日本車ばっかり出てくるのか……? セヴン、80スープラ、ちょびっと映る70のそれ、S14シルビア、R33、S2000、……etc.
いかにも≠ネ車たちが、わんさと出てきて、さながら10年前の幕張のストレートか数年前の大黒P.A.。そんなチューンドのパーティ状態のなかでいちばん目立っていたのが、なぜかベイルサイドのステッカー……(世界デビューじゃん!とかいって)。

で、そのベイルサイドのお話にもつながってくるのがこの本。タイトル通り、「空力」の教科書。おもしろ≠ネんて書いてあるからって、ナメてはイケない。たしかにイラストは豊富だが、あくまでも理解しやすくするための方便である。

もちろん、読んだからといって、すぐに自分の車に活用するのはむずかしいが(エアロパーツなんて所詮はメーカー次第なので)、けっして安くはないそのエアロ、はたしてどれほどの効果があるのか? とか、現行スープラの、あの大根おろしのようなリアスポイラー(アレは嫌だなあ)に意味はあるのか? とか、車種の違いによるエアダムの効果の差、なんてゆう身近な疑問の解決から、CFD:計算流体力学なんて頭の痛くなる数式やグラフまで載っていて、入門書としてとてもオススメ。出版社では4000冊程度しか刷っていないそうなので、注文するなら早い者勝ち。
















危機からの脱出方法

伊藤慎一

ベストセラーズ 952円+税
日本では一昔前まで「水と安全はタダ」と思っていましたが、最近毎日のように新聞やTVニュース等で犯罪や事件が報道されています。どれも信じられないものばかりで犯罪の形態は凶悪化しています。今や安全は自分自身が注意を払い、自分である程度守るしかない時代になってきていると思います。この本は我々の身に起こる可能性が考えられる事態と、その危機回避方法を解説しています。ただし、危機回避の技術は適切な指導と十分な訓練が必要なものが多くあり、素人がむやみに使うとさらに危険に陥ってしまうものもあるので、危機回避の情報のひとつとしてあくまでも参考にして役立ててほしいと著者は考えています。いずれにしてもどんな事が起こるかわからない世の中、最悪の事態から自分や家族、大切な人を守るために一読してはいかがでしょうか。

旅行やレジャー先での非常事態
 ・砂漠に置いてきぼりされても生き残る方法
 ・富士の樹海から抜け出す方法
 ・飛行機事故に遭遇したら           
 ・ハイジャックに遭ったときの心得
 ・海外旅行中に一文無しになったら
 ・船が沈没したらどうするか
 ・山で遭難してしまったら
 ・壊れた釣り橋を渡る方法
 ・宇宙遊泳中の危険への対処法
 ・宇宙生活での注意点


思いがけない災難
 ・目の前に手榴弾が転がってきたら
 ・ふいに水の中に落ちてしまったら
 ・服毒自殺しようとして気が変わった場合
 ・階段から転げ落ちるときの対処
 ・ホテル火災からの脱出方法
 ・トンネルで火災に遭ったら


乗り物におこる最悪の事態
 ・車が火を噴いたときの対処法
 ・車ごと水に落ちたら
 ・走る車から飛び降りる方法
 ・ダメージの少ない車のぶつかり方
 ・線路に落ちてしまったら


犯罪や暴力に直面する危機
 ・車のトランクに監禁された場合の脱出方法
 ・道路を封鎖されてしまったら
 ・強盗、引ったくりを追いかけるコツ
 ・脅迫されたときの対処法
 ・小包爆弾、手紙爆弾の見つけ方
 ・襲いかかられたときの対策
 ・やむをえず応戦するときの戦い方
 ・夜道で絡まれたら
 ・ナイフを持った相手に襲われたら
 ・金属バットで殴られそうになったら
 ・ピストルを突きつけられたら
 ・静かに人を排除するには


人命救助・被災後サバイバル
 ・倒れている人を見かけたら
 ・大量出血している人の助け方
 ・刺されて内臓が飛び出してしまったら
 ・おぼれている人を助ける方法
 ・ロープで人を救助する方法
 ・食べる物がなくなったら
 ・飲み水がなくなったら
 ・マッチなしで火を起こすには


動物からの脅威
 ・毒蛇にかまれたら
 ・海水浴中にサメが向かってきたら
 ・山でクマにでくわしたら
 ・いきなり馬が暴れ出したら
 ・スズメバチに襲われたら
 ・イノシシが突進してきたら
 ・スッポンに食いつかれたら
 ・タランチュラが首筋を這っていたら
 ・ピラニアのいる川に落っこちたら
 ・野犬が襲いかかってきたら
 ・サルが跳びかかってきたら
 ・カラスの襲撃に遭ったら


自然災害
 ・雷を避ける方法
 ・雪崩から生還する方法
 ・竜巻が向かってきたら
 ・山火事に遭遇したら










どっちの料理ショー
特選素材
取り寄せカタログ2002



日本テレビ 1200円+税
「さあ 今の気持ちはどっち」でおなじみの番組本が発売されました。

ご存知と思いますが、関口宏と三宅裕二の「どっちの料理ショー」(毎週木曜日夜9時 日本テレビ)──毎回お互いの料理のなかで勝ち負けを左右する特選素材として通常一般のルートでは手に入らない食材をアピールするコーナーがあります。どれも度肝をぬく食材で番組のメインといえるコーナーです。ここで扱った特選素材を一般のご家庭にお届けする本です。魚貝・肉・卵・野菜・麺・パン・米・乾き物・異国の香味・特選調味料等に分かれていて、各素材のおすすめコメントから番組登場回数・対決メニュー、素材の成り立ちまで事細かに紹介されています。もちろん、取り寄せ先・問い合わせ・支払方法も明確に載っています。また、特選素材を使った特選レシピも載っているので参考になると思います。






イチロー・ルール 梅田香子
イチロー・ザ☆スーパースター
 シアトルタイムズ記者グループ
新たなる鉄人 H.ローゼンフェルト
OBたちの挑戦X 大沢啓二
『イチロー・ルール 「イチロー」が掟だ!』
梅田香子

扶桑社 1333円+税

『イチロー・ザ☆スーパースター 地元紙が迫る天才の素顔』

シアトルタイムズ記者グループ

牧野武文 夏目大 高橋秀和 村上香織 訳
イースト・プレス 1300円+税

『新たなる鉄人 カル・リプケン物語』

ハービー・ローゼンフェルト
 武田薫 訳
ベースボール・マガジン社 1700円+税

『OBたちの挑戦X』

大沢啓二

マガジンハウス 1200円+税


今年はイチローの開幕戦戦出場からダイヤモンドバックスの優勝まで、MLBをテレビで観たひとは去年までと較べて本当に増えたことでしょう。実際、私の周りでも、巨人の話しかしなかったひとたちが、イチローだのササキだのボンズだの言いだした時は我が耳を疑ったもんでした。それだけ今年のイチロー・フィーバーは日本ですごかったということでしょう。アメリカでも同じことが起こっていたんでしょうか? もちろんマリナーズの好調さもあるのでしょうが、シアトルを中心にまちがいなく起こっていたでしょう。そんなイチローについて書かれた本が、やはりというか、いろいろ出版されています。そのなかで2冊おすすめします。

1冊は「イチロー・ルール」で、梅田香子というアメリカ在住のスポーツジャーナリストが「ザ・ジョーダンズ・ルール」という本を真似て(?)イチローの周辺に起こった出来事を細かく書いています。
もう1冊は「イチロー・ザ☆スーパースター」──シアトルの霜と地元紙「シアトルタイムズ」の記事より抜粋したものです。両方に共通していえることは、日本ではあまり伝わっていないことが多く書かれていて、日本人から見たイチローではなく、アメリカ人からのイチロー評価が載っているので、あらためて今年のイチローのすごさがわかります。

毎日のニュースや新聞でイチローのことばかりとりあげていたためにMLBへの興味を初めてもったという方もずいぶん多いことでしょう。テロ事件のために日本にはあまり伝わってこなかったですが、今年とうとうアメリカで最も愛されていた野球選手カル・リプケン・Jr.が本拠地カムデンヤーズでの最終戦で引退してしまいました。2632試合連続出場という輝かしい実績とともにボルチモア・オリオールズ一筋でプレーしてきた彼がとうとうユニフォームを脱いでしまったんです。

MLBをあまり知らないひとにとっては、どれだけ彼が愛されていたかわからないと思いますが、この前の日米のトップ会談の時には、小泉総理は弓と矢を、ブッシュ大統領はカル・リプケン・Jr.のサイン入りグローブを、それぞれ相手に贈ったそうです。それだけアメリカにとってリプケンは誇り≠ネんでしょう。そんなリプケンがルー・ゲーリックの2130試合を超えるまでのことを書いた本が「新たなる鉄人 カル・リプケン物語」です。MLBファンにとっては必読の本です。


ところで、例年なら野球ファンにとって退屈な季節がやってきたのですが、今年からマスターズ・リーグというのが始まったのはご存知でしょうか? すでに開幕していて、プロ野球のOBたちが5チームに分かれ、リーグ戦を行ない、優勝を目指すそうです。なつかしの名選手が、現役時代さながらに真剣勝負で試合していて、村田兆次の140キロ(?)ストレートとフォークボールだけでも一見の価値ありです。大沢親分が「OBたちの挑戦」という本で熱く語っていますので、興味のある方はこの本を読んでから球場に足を運んでみてください。

※カード・コレクター必見の写真が「イチロー・ルール」のP204に載っています。















GENTLING SOUND
愛犬音楽館


徳間書店 2800円+税
「癒し系」なる言葉を耳にするようになってから結構経ちますが、今回ご紹介する本書(?)は、ナンと犬専用!!

普段、飼い主様の心を癒してくれる愛犬たちにも、最近はストレスを抱えているのが多いとか。一見…もとい、一聴してみましたが、ナンの変哲も無い弦楽器主体の音楽CDだったんですが、驚くべき事に我が家の愛犬・ジェイドが聞き耳を立てているではありませんか 煤i ̄〇 ̄!!

普段、音楽などには興味を示さず、反応する時は名前を呼ばれた時か、市の緊急放送位にしか反応しない奴が、一生懸命タレ耳を動かして、真剣にCDを聞くなんて…。

もともと犬は、人の倍以上の高音域を聞き取る程、聴覚能力が優れていると言われ、本商品はその特性と、人間でも実証済みの「1/f揺らぎ効果」を取り入れてリラクゼーションCDとした物。ストレス解消以外にも、躾の場面で効果を期待できるとの事ですが、どんなモノでしょうか。

…店長も、桜ちゃんやマロンくんに聞かせてみませんか?

  今回のオススメ度 ★★★★☆(普段、我々の心を癒してくれる愛犬たちにも「安らぎの時間」は与えてあげたいもの。愛犬家の方々、お一つ如何ですか?)









悪魔の飽食

森村誠一

角川文庫 540円+税
2001年9月11日、WTCが崩壊、幾千と言う尊い命が失われた「米国同時多発テロ」発生から既に2ヶ月が過ぎようとしていますが、未だ米国本土では「見えない恐怖」が猛威を振るっています。

細菌兵器…。その余りの無差別かつ、非人道的な兵器は、核や化学兵器と共に、第一次大戦中に協定によって使用が禁じられた「悪魔の兵器」ですが、真っ先に実戦投入を試みた国は何処だかご存知ですか?

認めたくはないのですが…日本なんです。
第二次大戦時、中国の東北部・満州地区に展開していた旧・日本陸軍特殊部隊「石井部隊」とか、「関東軍・防疫部隊」とも呼称される特務部隊は「731部隊」の名で、今でも中国の方々に忌み嫌われ、関係者が重く口を閉ざす「悪魔の部隊」でした。

表向きには前線での疫病予防の研究や、飲料水の確保などが活動内容だったそうですが、実際には「細菌兵器」、「化学兵器」の開発・実験が行われていた事が、著者・森村氏の活動によって明らかにされ、本文中でも語られています。

現在世界各地に被害が広まりつつある「炭疽菌」を始め、「ペスト菌」「破傷風菌」など…ありとあらゆる病原菌と、「イペリット」「マスタードガス」といった有害物質を兵器に転用し、如何に効率良く敵戦力を削ぐかが研究対象とされ、多くの外国人捕虜が「マルタ」と称されて、人体実験に供されたそうです。

何年か前に新宿の戸山地区で、厚生省の施設を新築しようとした際、土中から発見された大量の人骨は、「731部隊」の犠牲者ではないかと噂され、この習志野にはかつて「731」の士官養成施設・「習志野学校」があったとの噂も聞き及びます。一般には神奈川の登戸にあった研究施設の方が著名なようですが、「731」の創設者・石井四郎も千葉県出身な上、文中に名があったのを思い出し、炭疽菌事件も相俟って本書の紹介となりました。

森村氏は長年に亙り、「731部隊」の取材を続け、最早ライフワークとさえ言っても過言で無い程の時間と労力を費やして来ましたが、当時の関係者の口は重く、時の流れと共に証言者もこの世を去ってしまい、記録は風化の一途を辿りつつありますが、今回のテロを目の当たりにして、「戦争がもたらす狂気」の恐ろしさを改めて実感させられてしまいました。

本書を読んで考えてください。「如何に戦争が愚かしく、憎しみが虚しいモノ」であるかを…。

  今回のオススメ度 ★★★★☆(「続」「第三部」(共に480円+税)と続く三部作の第一巻。中央公論新社刊・「消えた細菌戦部隊・関東軍第731部隊」(680円+税)と併せて熟読頂きたい。)

















ポンペイの滅んだ日

金子史朗

東洋書林 1900円+税
先月のある休みの日、両国にある「江戸東京博物館」へ行って参りました。
お目当ては、特別展示企画の「ポンペイ展」。だったのですが、平日にも関わらず凄い人出で、会場内はごった返しておりました(‐‐;)

地方から来たらしい、大勢のパワフルなお年寄りに圧倒され、会場の隅っこに安置されていた、造りかけのオブジェのような物体の前まで流された時、原口の視界にオブジェの説明プレートが飛び込んで来ました。

「…なになに、『ベスビオ火山の噴火によって埋没した、ポンペイ市民の遺骸の石膏型取り』ィ!?」煤i ̄Δ ̄;;

ええ、一瞬ビビりましたとも。まさか、そんな目玉の展示物が入り口近くに配置されているとは思わなかったし、なにより遥か昔の事とは言え、火山噴火の犠牲者が、目の前で物言わぬまま苦悶の表情を浮かべているのですから…。

我が日本も世界に名だたる「火山王国」。ポンペイと似たケースでは、雲仙の大火砕流が思い出されます。あれから随分と時が流れ、最近では三宅島の方々が避難生活を送られていますが、本書を読みながら一日も早く、「穏やかな日常」を取り戻して欲しいと願わずにはいられない原口なのでした…。

  今回のオススメ度 ★★★☆☆(ポンペイ展をご覧になった方、考古・地学に興味のある方は是非!)














風船爆弾
純国産兵器「ふ号」の記録


吉田興一

朝日新聞社 1800円+税
ひき続き、「江戸東京博物館」ネタを。
「ポンペイ展」を鑑賞後、時間を持て余した原口は、通常展示室にも足を運び、あちこちフラフラと見学を続けておりました。特別展示とは違って、然程混雑も無く、結構短時間で殆どの展示物に目を通し、出口近くまでやって来た時、巨大な白い球体が視界の端に映りました。

「旧・日本軍の製作した、風船爆弾のレプリカ」

それこそ、本書の主役にして、最も安価なステルス兵器・「ふ号」こと、風船爆弾で御座いました。太平洋戦争も末期、資源的にも疲弊の極みにあった旧・日本軍が、アメリカ本土を攻撃する起死回生の策として考案した、無人気球による無差別爆撃兵器。

意外にもその構想はかなり早い時期から出ていた様で、昭和8年ですから1933年、太平洋戦争勃発の10年前には兵器としての運用が計画されていたとか。ただし、高度一万メートル上空を吹く、ジェット気流に「ふ号」を乗せ、遥か九千キロ彼方のアメリカ大陸に爆撃を仕掛ける為には、技術的にも数々の困難があった様です。
風船の強度、精密機械の耐寒性能。季節による偏西風の変化、日に日に悪化する戦況…。

数々の困難の中、和紙と蒟蒻糊で作られた風船に吊るされた多くの爆弾が、九十九里の一宮海岸から放たれる訳なのですが、本書で見て頂きたいのは、戦争の愚かしさ、悲惨さも然る事ながら、資源不足の当時にあって持てる技術と弛まぬ努力を惜しまなかった、日本人技術者の前向きな姿勢です。

戦争と言う行為を肯定はしませんが、「ふ号」によって生み出された高高度気象観測や、低温下での精密機械の作動技術などは、現在の私達の生活に還元されているのも事実…。博物館の出口に飾られた「ふ号」を思い出しながら、本書を手に、戦争の功罪について柄にも無く考えてしまう原口なのでした…。

  今回のオススメ度 ★★★☆☆(未熟とはいえ、当時のレーダーにすら映らなかったと言う「ふ号」。戦中の日本人が生み出した近代技術と伝統工芸の粋を結集した「究極のステルス兵器」開発の苦難の歩みをご覧あれ。)











サポセン黙示録 2

FOX兄貴

白夜書房 1500円+税
笑劇・再び!!煤i ̄◇ ̄;;

◎現在も一部の方々の間で絶大な人気を誇る「サポセン黙示録」の第二弾が、満を持して堂々の登場です(笑)

今回も笑えるネタから洒落になってない話まで、サポートセンターを中心とした様々なエピソードがてんこ盛り!!

前作を読んだ方にはお馴染みの、「別会社のおばさんvsインコさん」や、「姉との闘争」編は勿論の事、サポセンには何ら関係は無いのに何故か「自○隊」からの投稿作品もあったりして、かなり笑わせて貰いました。

原口は前回、一巻を紹介した際に「電車内では読まない事」と忠告した分際で、京○線の車内で不用意に目を通してしまい、笑いを堪えるのに苦労致しました…。ハタから見たら、さぞかしブキミだったでしょう。

乗り合わせた皆さん、失礼致しましたm(__)m

  今回のオススメ度 ★★★★☆(今回もイイ味出てます。でも、電車の中なんかでは絶対に読まないこと!)














第16回 変身―――!!

  人間は多からず少なからず『変わりたい』という変身願望を持っていると思います。そんな願望は『ウルトラマン』『仮面ライダー』などといった変身ヒーローモノを誕生させ、それらの流行を促したんでしょう。
 
 というわけで今回は変身モノを選んでみました。ですがここに登場する変身する人たちは自分から変身することを望んでいない人ばかり・・・そんな彼らが変身の末につかむものは幸福か、それとも苦悩なのか・・・

 あなたは変身したいですか?






仮面ライダーSPIRITS


村枝賢一

講談社 2巻まで 各524円+税
 まずは基本の変身ヒーローモノから。

 主人公たちは言わずと知れた仮面ライダー!彼らはそれぞれの時代に世界侵略をもくろむ悪の組織を壊滅させてきた。
 そんな彼らに人知れずまた助けをもとめる声がとどく!!敵は今まで彼らが壊滅させてきたものとは比較にならないくらいに強大なもの。そんな敵を前に全ライダーが再び一同に集結しはじめる!


 『仮面ライダー』といえばやはり『ウルトラマン』『戦隊ヒーロー』とならんで永遠のヒーロー。いまだに新シリーズが放映されるたびに絶大な人気を集めています。そんなライダーたちのその後を描いているわけですから面白くないわけがない。読みながら当時のことを思い出しノスタルジーな気分に浸る一方、新しい敵に立ち向っていく姿には新鮮さも覚えます。
 やはりライダーは永遠のヒーローなんだなと再確認させられました。

ちなみにあなたは何ライダーが好きですか?




ARMS

皆川亮二

小学館 19巻まで 各486円+税
 続いてはこれ。

 ふつうの高校生高槻涼。彼の通う高校に1人の転校生がやってくる。その転校生に突然呼び出されて出向いていく涼。転校生の左手が突然変形していく。それに呼応するかのように涼の右手が暴走し始める・・・彼の日常はここで終わりを告げる。
 その腕がつかむものは神の未来か、悪魔の過去なのか・・・


 この作品かなりオススメです!最近アニメ化されたりしてようやく全国区になった感じがしますが、登場人物たちが苦悩し続けながら決して諦めることなく自分の未来を切り開いていく姿は、たかがマンガという範疇を大きく逸脱していています。ある意味生きるとは何か?仲間とは何か?ということを教えてくれる作品です。本作品中に使われていて個人的に気に入っている一言があリます。

『人の足を止めるのは絶望ではなく《諦観》、
人の足を進めるのは希望でなく《意志》』


という言葉。これを初めて見たときには何かドキッとしました。気になった方はとりあえず読んでみてください。

はまりますよ、ゼッタイ!





フルーツバスケット

高屋奈月

白泉社 7巻まで 各390円+税
 最後は泣ける作品を。

 チョット天然気味で少しズレてるけれど前向きで元気な女の子本田透。テントで1人暮らしをしていた彼女ですが、とあるきっかけで草摩家で居候をはじめることになります。
 その草摩一族にはとんでもない秘密がありました。その秘密とは十二支の物の怪にとり憑かれていて異性に抱きつかれたりすると動物に変化してしまうんです。
 そんな一族との毎日は次から次へといろんなことが起こります。今日はどんなことが起こるのやら・・・


 この作品も現在アニメになっているので御存知の方も多いとは思いますが、まだ見たことのない方、少女マンガだから敬遠している方もいると思いますので紹介しました。この作品もかなりオススメです!主人公の透は前述のように天然気味だけどプラス思考な女の子。そんな彼女がいろいろな問題に直面したときにとる行動やふともらす言葉は心にしみてくるものばかり。不覚にもチョット涙してしまうこともしばしば。

 中国の映画で『初恋のきた道』『あの子を探して』(ともにチャン・イーモウ監督作品)という作品があるのですがそれを観たときにも同じ感動を覚えました。その映画に俳優の高倉健さんが次のような言葉をおくっていました。

『‐絆‐何もかもが簡素化されてしまって本当に伝えなければならない想いが見えなくなってしまった今の時代に《絆》という言葉の意味の大切さを改めて思い知らされました。』


 まさにこの言葉をこの『フルバ』という作品におくりたいと思います。

読みましょう。
そして泣きましょう。

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