
| 2001年7月 | |
| スターガール(ジェリー・スピネッリ) | トニオ・クレーゲル(トーマス・マン) |
| フランドルの呪画(アルトゥーロ・ベレス・レベルテ) | ヨーロッパ建築案内1 (渕上正幸/ギャラリー・間 編) |
| 犬と話そう(野矢雅彦) | AB・ROAD HOTEL COLLECTION バリ島&タイ ホテル250軒 |
| 中学・高校生のための野球レベルアップ教本 | 限定ぴあ(関西版) まるごとオイシイ! 関西街遊びBOOK |
| ガンダム占い0079−0080(FOX兄貴) | ホグワーツ魔法・魔術学校認定教科書 |
| 超私的まんが道 | |
| パスポート・ブルー(石渡治) | MOONLIGHT MILE(太田垣康男) |
| ぼくの地球を守って(日渡早紀) | . |
| 彼女は光だった。ぼくの毎日の生活をすみずみまで照らしてくれる。 彼女はぼくにうかれ騒ぐ方法を教えてくれた。彼女はぼくに、驚くことを教えてくれた。そして、彼女はぼくに、笑うことを教えてくれた。ぼくのユーモアのセンスは、まあ人なみというところだったろう。でも、ぼくは、笑うことには臆病で、だしおしみをしていた。せいぜいがニンマリする程度だった。ところが、彼女といっしょにいるときには、ぼくは頭をのけぞらせて、心の底から大笑いできた。そんなことは、これまで一度もなかったのに。 ……アーチーのことばはぼくの耳から入ってくるのではなく、ぼくの肌に貼りついてもぐりこんだような気がした。ことばは、雨を待ちつづける小さな卵のようにぼくの成長を待ち、ある日、とつぜん孵化して、ついに理解することになるのだろう。 |
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ジェリー・スピネッリ 千葉茂樹 訳 理論社 1380円+税 |
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| 1月に紹介した「ハイ・フィデリティ」のなかで、私が十数年ぶりの新譜を待っている──で、出ましたよ、タイトルは「ZOOM」! いや〜、生きててよかった!──といったロック・グループに「Discovery」(1979年)というアルバムがありまして、その3曲め(*)の歌い出しは、 She gives me love that I could never hope to have, She tells me that she needs me,she tells me that she’s glad. And if she goes away, I’m like someone who’s left out in the rain. これをね、あとでちょっと思い出しました。(そしてまたもこのグループを話題に持ち込みたいだけだったりする) いままた思い出すのは、「はてしない物語」(ミヒャエル・エンデ)の1シーン、ファンタージエンの少年アトレーユが鏡の門を通り抜けるところ。その鏡には自分のほんとうの姿が映し出されるのです。自分のほんとうの姿を正視し、逃げ出さずにいられる者だけがその門を通り抜けることができるんでした。 それから、「メイの天使」(メルヴィン・バージェス)ですね。あの小説では「彼がどのように彼女を受け入れることができるか」ということが問われるのでした。 さて、この「スターガール」。 これを読まないのはめちゃくちゃ損じゃないのかあ! という作品です。 語り手の「ぼく」がハイスクールの2年生だったときのお話。1年生に変わった女の子がいました。名前を「スターガール」という。 「スターガール? それがその子の名前なの?」 「ああ、そうさ。スターガール・キャラウェイっていうんだ。ホームルームで、そう自己紹介したってよ」 「スターガール?」 「ああ」 スターガールがどんなふうに変わった女の子だったか? 二等辺三角形の歌というのを作って、数学のクラスで歌ったこともあった。「わたしはね、三つの辺を持ってるの。けれども、あらまあ、同じ長さは二辺だけ」 彼女はクロスカントリー部に入部した。……はじめての日に、コースの途中で、みんなが右へ曲がったのに、彼女ひとりだけ左に曲がってしまった。チームのメンバーはゴールで彼女のことを待ったが、結局いつまでたってもあらわれなかった。彼女は即刻チームから除名された。 ……ある日の午前中に、ここいらではめったに降ることのない雨が降った。彼女は体育の授業中だった。先生はみんなにすぐ校舎に入るよう指示した。次のクラスにむかう途中、みんなは窓の外の光景に釘付けになった。スターガールはまだ外にいた。どしゃぶりの雨のなか、彼女は踊っていた。 などなど。 「ぼく」の友人ケビンはいいます。 「考えてもみろよ。もし彼女が本物だとしたら、とんでもない話だぞ。あんなこと、もし本気でやってるんだとしたら、まともな人間がいつまでも耐えられると思うか?」 彼女はなんのジョークもないときに笑い、音楽のないときに躍った。 彼女は学校でいちばんフレンドリーな人間なのに、友だちはひとりもできなかった。 教室で質問に答えるとき、タツノオトシゴのことや、天体のことはよく知っているのに、フットボールがどういうものなのかは知らなかった。 ……と、このくらいまでにしておきますが、「ぼく」は彼女が本物だと思うのですし、事実スターガールは本物だったのでした。 あるきっかけから彼女は学校じゅうの人気者になります。そして、──まっさかさまに転落します。 「ぼく」とスターガールはつきあいはじめます。 彼女は光だった。ぼくの毎日の生活をすみずみまで照らしてくれる。 彼女はぼくにうかれ騒ぐ方法を教えてくれた。彼女はぼくに、驚くことを教えてくれた。そして、彼女はぼくに、笑うことを教えてくれた。ぼくのユーモアのセンスは、まあ人なみというところだったろう。でも、ぼくは、笑うことには臆病で、だしおしみをしていた。せいぜいがニンマリする程度だった。ところが、彼女といっしょにいるときには、ぼくは頭をのけぞらせて、心の底から大笑いできた。そんなことは、これまで一度もなかったのに。 ……もうひとつのものというのは、本棚の上にあった。ぼくのげんこつほどしかない小さなワゴンだ。木で作られていて、アンティークのおもちゃのようだった。そこには、小石が山のように積んであった。石ころはワゴンの車輪のまわりにもいくつか落ちている。 ぼくは指さしてたずねた。「石ころを集めているんだね。どうして?」 「それはね、わたしの幸福のワゴンなの。不幸のワゴンって呼ぶこともできるんだけど、わたしは幸福のワゴンって呼ぶ方が好きだから」 「どういうこと?」 「それは、わたしの気持ちを示すものなの。なにか幸せを感じることが起こったとき、わたしはワゴンの上に石ころをひとつ乗せるの。もし、不幸な気分のときには、ひとつ下ろす。石ころは全部で二十個あるのよ」 本棚の上に落ちている石ころは三つだった。「ワゴンの上には十七個あるっていうことだね」 「そうね」 「ということは、いまきみは、ずいぶん幸せな気分っていうことかな?」 「それもあたり」 「これまでに、ワゴンの上にいちばんたくさんあったときは何個だった?」 彼女は照れたような微笑みを見せながらいった。「いまがそうなの」 ぼくにはもう、それがただの石ころの山には見えなかった。 いかがでしょう? 「ぼくにはもう、それがただの石ころの山には見えなかった」 ──すばらしい! そしてこの引用部分は、実はさらに印象的なやりとりへとつづいていくんですが、それは読んでくださいね。 しかし、「ぼく」は苦しみます。「なぜ彼女はほかのみんなとおなじようにふるまえないのか?」 一時はみんなの賞賛の的であったスターガールが、いまや、賞賛のときと同じ理由で逆にみんなの憎悪の対象になっているのでした。 スターガールとつきあっている「ぼく」もいたたまれない状況になります。 みんなはいろいろなことをいった。ぼくに直接いうわけではない。ぼくなどそばにいないかのようにふるまいながら、きこえよがしにいうのだった。たとえばこんなことを。彼女は自己中心的なスポットライト中毒だ。彼女は自分のことを聖人だと思っている、というのもあった。聖人ということばには思わず身を縮ませた。みんなに優越感を持っていて、自分のようにすばらしくも品行方正でもないほかの人間に、罪の意識を感じさせたがっている。そして、彼女はいんちきだ。 そして、── そして、「ぼく」はスターガールをどのように受け入れることができるのか? 繰り返しますけど、 そして、「ぼく」はスターガールをどのように受け入れることができるのか? もう一度いいますが、 そして、「ぼく」はスターガールをどのように受け入れることができるのか? これでおしまいにしますけど、 そして、「ぼく」はスターガールをどのように受け入れることができるのか? みなさん、これは絶対読んだ方がいい! 読まないってことがこれほどもったいない作品に出会えるなんて、みなさん、なんて幸せ者なんでしょう。女のひとも、男のひとも、ぜひどうぞ! んで、「メイの天使」もね! (*)“NEED HER LOVE” Jeff Lynne (Electric Light Orchestra) |
| 彼はこの地上で最も気高いと思った力、それに仕えるのが彼の天職だと感じていた力、彼に高貴と栄誉とを約束した力、すなわち無意識にしてもの言わぬ生の上に、微笑をたたえつつ君臨する精神と言語の力に全身をゆだねた。彼はその若々しい情熱をあげてこの力にささげた。そしてこの力はその贈りうるもの一切を贈って彼に報いたが、また、その代償に奪いとるのを常とする一切を、容赦なく彼から奪いとった。 この力は彼の眼光を鋭くし、人間の胸をふくれあがらせる大仰な言葉の正体を見ぬかせ、世間の人々の魂、彼自身の魂を解き明かし、透視力を授け、世界の内側や、また言葉や行為の背後にある一切の究極のものを教えてくれた。そして彼は何を見たか。滑稽と悲惨──彼は滑稽と悲惨とを見たのである。 すると、認識の苦悩と驕慢とともに孤独が訪れてきた。無邪気で愚かしい人々の仲間に入ってもいられず、また、彼の額の刻印がそういう人たちを狼狽させたからである。他面また、言語と形式にたいする喜びも味わいを増した。けだし彼はこう言うのを常としていた(そしてこれはすでに書きとめてもいたのである)、もしも表現のもたらすさまざまの快楽がわれわれをいつも生気溌剌とさせていないならば、魂の認識だけでは疑いもなくわれわれは陰鬱になるだろうと。…… |
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(トニオ・クレーゲル/ヴェニスに死す) トーマス・マン 高橋義孝 訳 新潮文庫 400円+税 |
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| 「トニオ・クレーゲル」だけをとりあげます。「ヴェニスに死す」はまた折りをみて……。 トーマス・マンはこの小説「トニオ・クレーゲル」に、はじめは「文学」というタイトルを考えていたらしいです。 しかし、まず直接に「トニオ・クレーゲル」に触れるより先に、ある日本の作家(彼の「楡家の人びと」は日本最高の小説だと私は思っているんです)がこの小説をどんなふうに読んだかという、自身の文章を引用しましょう。 ≪それにしても、私は一体、どのくらいこの作品を読み返したことだろう。それはもともと古本で買って、はじめから汚れていた岩波文庫だったが、そいつをほとんど常にポケットに突っこんでいて、何回も何回も読み返したあとになっても、校庭に寝そべってはいい加減な箇所をぱらりと開き、どこを開いてもあまりに周知な数ページをよみ、喫茶店の一隅に坐っては、一杯のコーヒーを前にして、自分の名前よりよく暗記している特別に好きな箇所(またそれが一杯あって、私は百の名前を持つ怪盗の気分もした)の数行をぼんやりと見やり、じっと小一時間も考えこんだりした。そういうときの私の顔は、おそらくこのうえなく憂鬱げで、同時にこのうえなく白痴みたいであったろう。 その昭和十年発行の第七刷の文庫本は、ついに表紙がとれ、セロファンで貼ったのがまたとれ、カバーをかぶせて貼り直し、各ページの綴じがバラバラになりかけながら、どうにかまだ本の形をして、今も私の手元に残っている。 小さな粗末な本が傷んでこわれかけてゆくにつれ、こちらの心のほうは傷みに傷みぶっこわれ、その挙句、……≫(北杜夫「どくとるマンボウ青春記 新潮文庫P.208〜209) 北杜夫がそんなふうなら、吉行淳之介はたびたび初心に返るために開いたものだといいます。といって、北・吉行を知らないという若いひとも多いでしょう、というか、知っているひとこそ少ないのじゃないかと思うんですね。ましてトーマス・マンなんて。 で、なんというか、今回はいつもとちがって、ちゃんとした紹介をしようという気になれないんですね。これから初めてこの作品を読むっていう方のためじゃなく、もうだいぶ昔に一度読んだことがあるっていうくらいの方のためにしゃべります。 私がこの小説を初めて読んだのは、もう20年以上も昔、中学の終わりか、高校のはじめくらいでしたね。以来、(私もまた)何回読み返したんだかもうわからないくらいです。 主人公が小説家で、子どものころから周囲と自分とのどうしようもない違和を感じていて、なんで自分は他のひとたちとおんなじようになれないんだろうと悩んでいるわけです。しかし、これははっきりいっとかなきゃなりませんが、彼の悩みは優越意識でもあるんです。他のみんなの生き生きした様子を愚かしいと、なんにもわかっちゃいないんだと思っている。そして、世のなかにあるのはただもう滑稽と悲惨ばっかりだ、というわけです。 若いうちは、この小説の調子がどうも大げさすぎるような気がしていました。訳が古いってこともあるんでしょうけど、それはまたべつにして。それが、やっぱりこちらが30歳を越して、さらに40に手も届こうといういまになると、大げさ云々とかっていう自分の感じかたが的はずれだったなあと思うんです。大げさはたしかに大げさかもしれない。しかし、それは以前に思っていたほど重要じゃないし、この作品にはこの文体が必要なんです。いや、私が以前の読みかたを的はずれだと思うのは、たとえば、「滑稽と悲惨」ということばを、なんとなく雰囲気で流して読んでいたりしたということです。ああ、こんなひとから見れば、そりゃ、世のなかは滑稽と悲惨だらけだろうさ、くらいにしか受け取っていなかった。なんていうか、作品の雰囲気づくりにちょっと気取ってみましたくらいの読みかたをしていたんでしょうね。 ところが、いま私自身が世のなかを「滑稽と悲惨」としてはっきり意識しているとなると、これはもうまったくちがう読みかたになるんです。もうさらりと流すように読むことはできない。 「認識の苦悩」なんかどうです? 昔はただそのことばの響きがかっこよく思われていましたね。そんなふうにだけ読んでいたといっていいかもしれない。でも、いまはとてもできません。もっとも、朝から晩まで「認識の苦悩」を意識しつづけるってわけじゃないですよ。それはもう自分の身体にしみこんでしまっていて、おしのけられるようなものでもなく、まあしかたがないので自分をだましだまし毎日をやりくりしているわけです。 ……こういう人間が考えられはしませんか、根が善人で柔和で好意的で、それに少々センチメンタルなのが、心理的な明察力のために手もなく精根をすりへらして破滅してしまうといった人間ですね。この世の悲しさのために打負かされないで、どんなに辛いことでも観察し覚え込み、それに自分を適合させる。それでいて上機嫌にしている。生存というやりきれぬ発明にたいする完全な倫理的優越感を持つというだけでもね──そうですとも。……すべてを理解するとはすべてを許すってことでしょうか。どんなものですかね。認識の嘔吐と言いたいような何かがあるんですよ、リザヴェータさん。ある事柄を見ぬくだけでもうそれが死ぬほどいやになってしまう、そんな状態がある。 そういうふうになって、そういう日々を送りながら、それでもなにかしら希望をもつことができるか? いまはこんなふうに読んでいるんです。たぶん。 上の引用のつづきはこうでした。 ……そんな状態がある。──ハムレットの場合ですよ、あのデンマークの王子、典型的な文学者の場合ですね。知るために生まれてきたんじゃないのに知るという宿命を受ける、こいつが一体どういうことか、ハムレットは知っていたんです。涙で濡れた感情の薄衣を通してもなおかつはっきり見る、認識する、覚えこむ、観察する。そうして、手と手がからみあい、唇と唇とが触れあい、人間の目が感動のために盲目になってもう見えなくなる瞬間でさえも、この観察したものを微笑しながらわきに取りのけておかなければならない。──恥ずべきことだ、これは。リザヴェータさん、卑しいことだ、我慢ならないことじゃありませんか。 ま、そんなのもありますし、あとは、たとえば、こんなのもありましたね。文学好きの方にはおすすめのくだりです。 時によると私はどこかの会堂の壇上なんかに立って、私のおしゃべりを聞きにきた人たちと向いあうことがあります。今日自分の話を聞きにきてくれたのは誰なんだろう、自分はどんな人間の喝采と感謝を受けるんだろう、今ここでどういう人間と自分の芸術が理想的に融合することになるのか、こういった問いをいだいてこっそり聴衆席のあいだをうかがい見ている自分をふと発見します。……私の捜しているものは見つからないのですよ、リザヴェータさん。私の話を聞こうというのは、珍しくもないいつもの人々の群れ、ご常連、いわば初期キリスト教徒、だから不器用な身体と繊細な魂を持った人たち、いってみればよく転ぶひとたち、よろしいですか、文学を人生に対する穏やかな復讐と心得ている人たちなんです。──いつもきまって悩みを持った人たち、憧れを持った人たち、貧しい人たちだけで、もう一方の、精神なんぞは必要としない青い目を持った人たちはいた例がないんですよ、リザヴェータさん。…… さて、いかがでしょう? 「文学を人生に対する穏やかな復讐と心得ている人たち」と来ましたよ! こういうことばでグサリと突き刺される思いを抱かないひとは幸せだ。ルサンチマンですか、ここでもまたニーチェです。 んでは。 |
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アルトゥーロ・ペレス・レベルテ 佐宗鈴夫 訳 集英社文庫 857円+税 |
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| 美術館や、オークションに出品される絵画の修復を仕事とする美しい女性主人公フリア。彼女が、あるメッセージの隠された1枚の絵にまつわる謎を解明するうち、連続殺人事件に巻き込まれてゆく──スペイン発のミステリー。 X線によって発見された、その絵のメッセージとは 「QUIS NECAVIT EQUITEM」──誰が騎士を殺害したのか。 「チェスの勝負」と呼ばれるその絵(推定制作年は1471年)には、チェスゲームに熱中する公爵と騎士と、その反対側には読書中の公爵夫人……床板もまるでチェスボードのような白と黒のモザイク模様。対局の様子は、画中に描かれた鏡にも映っていて……。 オークションへ出品予定の「チェスの勝負」の値──これがどのように吊り上がるかは、画中の謎が解明されるか否かにかかっている。製作時代への考証を重ね、謎を解く鍵が画中のチェスにあることをつきとめる過程で、次第に明らかになる500年前の殺人事件。 ところが、フリアの周囲で殺人事件が発生。犯人からは、チェスの駒の動きを指示するメッセージが次々と送りつけられる。メッセージは、「チェスの勝負」に描かれたチェスゲームの続きをさせようというもの。フリアは白、犯人は黒の駒。まるで500年の時を経て繰り返されるかのような殺人。そして、駒の動きが意味する次の殺人への示唆に、フリアとその周囲は振り回されてゆく……。 小説を読むうえで、どうしてもチェスの知識(駒の動き)を知っておく必要がありますが、なかなかユニークな謎解きです。ありそうで、なかった手法だと思います。 どうしてもラテン系の(特に主人公の)感情の浮き沈みというか上下について行きにくい部分もあるのですが、私が特に気に入ったのは、謎の核心であるチェスについてアドヴァイザー役となるチェスプレイヤーのムニョス。この人物の描写は秀逸。イメージとしては、映画「エイリアン2」でアンドロイドの役をしていたランス・ヘンリクセン。ちなみに主人公フリアを私はジェニファー・ロペスをイメージして読んでいました。 さて、もしあなたがこの「フランドルの呪画」を読まれるなら、オススメしたいCDが1枚……TONI BRAXTONの昨年出したアルバム「HEAT」です。このアルバムは私が昨年買った数十枚のなかでBestの1枚! スペインのイメージにピッタリのR&Bです(低音の魅力が本当に素晴らしい!)。 |
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淵上正幸 著 ギャラリー・間 編 TOTO出版 2381円+税 |
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| あともう少しで夏休み、このときのための貯金と有給休暇で海外旅行に行かれる方も多いのでは?(この点、学生は休みまくれてうらやましい)。 最近はアジアに人気が集中していますが、もしヨーロッパに行かれるなら、ぜひこの本を一度のぞいてから出発することをオススメします。 「こんなモノが現実に存在するんだ!」と驚きより感動をおぼえるような建築物がたくさん掲載されています。ユニークでありながら洗練されていて、その街を象徴するシンボリックな風貌、それでいて周囲に対して融和性のあるデザイン。カラー写真豊富な全3巻。 ちょっと値段は高いのですが、中を見ていただければ、きっとここでご紹介した理由がわかってもらえるでしょう。……というわけで、建築の本でありながら、私、担当の独断と偏見で、旅行ガイドのコーナーに置いています。 |
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野矢雅彦(ノヤ動物病院院長) 中公文庫 571円+税 |
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| 「あなたと犬が、もっとしあわせになるために」獣医さんの書いた本です。犬は日常生活でたくさんの気持ちを飼い主にぶつけていますが、その表現方法を13の項目に分けてやさしく解説しています。犬がふてくされたり、しょげたり、人間の言葉を使えない分、そのしぐさや声の表情から、飼い主の方で気持ちを理解してあげる──そうすれば、犬との生活がよりすばらしいものになるだろうとこの本は提案しています。また、各項目ごとにその表情をとらえた可愛い写真も載っています。 ○犬の表現方法 「喜ぶ」「甘える」「夢中になる」「安心する」「うったえる」「ねだる」「しょげる」「無視する」「怒る」「ふてくされる」「おびえる」「寂しがる」「許しをこう」 |
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バリ島&タイ ホテル250軒 リクルート リクルート 780円+税 |
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| アジアのリゾート、バリ島・プーケット島・サムイ島・のホテルがカテゴリー別(全室ホテルタイプ・全室ヴィラタイプ・一部ヴィラタイプ)に分類されていてます。しかもエリア別に個々のホテルの特徴が細かく載っていて各ホテルの比較がしやすく、目的に合ったホテル選びが出来ると思います。一般的なツアー(パンフレット)に載っていないホテルもたくさんあり、グレードも最高級からお手頃なものまで幅広く、バリ島に関してはロスメン(格安民宿)やレンタルハウスも紹介されています。また、バンコクのホテルも50軒載っています。ちなみに私はこの本に載っているホテルのうち4件に宿泊したことがありますが、内容等に間違いはなく的確にポイントを捉えていると思います。こちらの方面に旅行を考えている方には絶対におすすめです。 ○憧れのリゾート&シティホテル14傑 ○人気と定番で選ぶホテルカタログ235軒(エリア別完璧MAP付) ○朝食・プールもついて1泊1000円〜立地・清潔度・インテリアで選んだバリの民宿&貸し別荘15件 |
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野球レベルアップ教本 ベースボール・マガジン社 933円+税 |
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| 球児にとっての熱い夏が今年もやってきた。 連日練習でレギュラー目指して頑張ってはいるものの、どうしてもうまくいかない、 イチローの真似をして打っているのになぜかさっぱり打てない、 ……と思っているそこの君たち! あこがれのプロの選手たちのバッティングやピッチングフォームの連続写真による解説、 トレーナーとしてメッツでもコーチを務めた立花龍司さんのトレーニングの指導など、 部活の練習だけでなく、個人練習にも役立つ本がコレ! イメージトレーニングと日々の練習の繰り返しで、自分に合ったプロの選手たちのフォームを自分のものにしよう。がむしゃらさももちろん必要だけれど、ほんの少し理論を覚えることによって、今まで以上に身につくトレーニングが出来るはず。 未来のイチローや野茂を目指して頑張れ! |
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まるごとオイシイ! 関西街遊びBOOK ぴあ 950円+税 |
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| 夏休みも近づき、大阪に行こうと思っている方にオススメ! 気になるユニバーサル・スタジオ・ジャパンに関しては、他のどのガイドもほとんど同じ内容なので、ここはひとつ、それ以外の案内──ショッピング・グルメからナイトライフまでが盛りだくさんのこちらはいかがでしょうか? 関西の6大アウトレットや、南港・天保山などベイサイドのデートスポットも載っており、恋人や友だちとの旅行で、朝から晩まで一日中楽しみたいという人は、こちらの本でプランをたててみては。 夏休み期間中は他にも 関西版の「夏ぴあ」 ぴあmap「大阪・神戸・京都」 ぴあmap文庫「遊園地&テーマパーク 関西版 も置いております。 |
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ガンダム占い製作委員会 編 ワニブックス 857円+税 |
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| 「ザクとは違うのだよ、ザクとは!」 ◎…と言うオビの強烈なこと(^^ゞ; いわゆる「動物占い」の亜種なのですが、題材となっているのは、人気アニメ「機動戦士ガンダム」に登場したロボット、いわゆるMSと言う奴です。 現在も根強い人気を保ち、ビデオやプラモデル、ゲームと言った多方面に展開するガンダム・ワールド。生年月日と血液型から各々のタイプを割り出して、作品に登場したMS達に当てはめて、性格分析などをしている訳ですが、意外と当たっているのでコワイ…。 今回のオススメ度 ★★★☆☆(ガンダムファンなら一度は手に取ってみたい本書!変なMSに当たっても、「君の生まれの不幸を呪うがいい」と言う事で) |
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FOX兄貴 編 白夜書房 1500円+税 |
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| 抱腹絶倒・驚天動地!! ◎原口の様に長いことパソコンをいじっていると、色々な方から様々なトラブルに関した問い合わせを受けますが、中には… Σ( ̄∇ ̄;;『何でこんな事聞くんじゃ!!』 的な質問を受ける事も多々ある訳で… 本書はそんなオポンチな質問にさえも健気に(?)応え続けるサポートセンター、略して「サポセン」を中心とした方々の、汗と涙と笑い無くしては語れない奮闘の日々の記録でゴザイマス。 現在でも集英社の『週刊プレイボーイ』誌上にて連載が続いており、身につまされる出来事から、思わず爆笑してしまうネタまで盛りだくさん! コレを読むアナタにも、きっと身に覚えのあるような事件がきっとある筈。 今回のオススメ度 ★★★★☆(いつも紹介する技術書とは趣を異にする本ですが、イチオシです。ただし、電車の中なんかでは絶対に読まないこと!) |
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Fantastic Beasts&Where To Find Them Quidditch Through The Ages 洋販 各920円+税 |
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| ◎映画の封切も迫り、今月には邦訳の第三巻目が発売される「ハリー・ポッター」シリーズ。本書2冊は、その劇中に登場する「ホグワーツ魔法・魔術学校」の公式教科書です。 何でも聞いた話によれば、作者のクロウリーさん自身の発案で、「採算を度外視して発売した為に、今後一切の重版予定は無い」とか。一応邦訳版も出版を検討しているみたいですが、ここはやはり原書の方をチョイスしたいもの。映画が公開された折には、この教科書を持って映画館へ行きましょう! 万が一、貴方自身に入学案内が届いた時の為に… 今回のオススメ度 ★★★★☆(内容云々も然ることながら、既に生産打ち切りが決定したレア物。ハリー・グッズを先取りして収集したいのなら絶対にオススメです。ページの端々にはハリーの手による書き込みも…!) |

第12回 宇宙≪そら≫への憧れ
| いやあ、暑い暑い。 日に日に夏が近づいてきていますね。夏が近づいてくると七夕やら、公開される映画にSF物が多くなったりなど宇宙にまつわることが増えてくる気がします。 というわけで当コーナーでも今回は≪宇宙≫をテーマにして作品をピックアップしてみました。純粋なSFものというのでなく、≪宇宙への憧れ≫を描いたものです。 今回挙げたものの他にも『プラネテス』など良い作品はまだまだあります。皆さんのオススメは掲示板のほうに書き込みしてくださいませ。 |
| パスポート・ブルー 石渡 治 小学館 全10巻 各390円+税 |
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| まずは最近の宇宙モノの走りとなった作品から。 主人公真上直進(まがみまっすぐ)はガラクタ町と呼ばれる町にある工場の息子。勉強大嫌いの体力バカ。けれど仲間を思う気持ちは人2倍。そんな直進がとあるきっかけで宇宙に興味を持つ。そして宇宙飛行士になるという夢を持つ。この純粋な夢への思いが最高の友を引き寄せ、彼はその仲間たちとともに宇宙へのパスポートをつかんでいく。 この作品が少年誌に載っていることがまずスゴイ。テーマ自体が結構大人向きなこの作品ですがそこは長年少年誌の第一線で活躍した来た石渡先生、小学生にもわかりやすく描いています。加えて夢の尊さ、友情とは何かを教えてくれる良い作品です。『B・B』『LOVE』など石渡先生の描く主人公は夢をあきらめない人間ばかり。まだ読んだことのない方は御一緒にドウゾ! |
| MOONLIGHT MILE 太田垣康男 小学館 1巻まで 505円+税 |
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| 続いては『MOONLIGHT MILE』。これは講談社の『プラネテス』に近いと思って読んでみたんですがちょっと違いました。 主人公吾郎とロストマンはアルピニスト。『より高いところへ』と思い続けて世界中の山を登り続けた彼らは、最高峰エベレストを登ることになります。その登山中に、遭難しているフランス人の女性と知り合います。その女性が死に際に 『晴天の日に・・・エベレストの頂上に立つと、人工衛星が見える事がある』 と言い残します。そして頂上に登りつめた彼らの目に映ったのは宇宙ステーションでした・・・ 2001年の現在では宇宙ステーション計画はかなり進行中で、手塚治虫の描いた世界が限りなく現実味を帯びてきています。主人公の2人のうち吾郎はBS(ビルディング・スペシャリスト)として宇宙にあがります。BSとは宇宙ステーション建設作業員のこと。近い将来にはこういった、宇宙で働くという選択肢がうまれてくるのかもしれないですね。 |
| ぼくの地球を守って 日渡早紀 白泉社 全12巻(文庫版) 各581円+税 |
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| 最後は憧れが≪地球≫。 この作品に登場する7人の主人公たちには前世の記憶が存在しています。その記憶は月での記憶。あるときその夢にも似た記憶を持つもの同士が惹かれあい集まります。だがその記憶は断片的に思い出されるために様々なすれ違いが生じてきます。前世の記憶に翻弄されていく7人の主人公たちに最後に訪れたものは安らぎか、それとも破滅なのか・・・ 複雑に絡み合っていく前世の記憶と因縁、月編と地球編の2部構成で描かれているこの作品はキッチリと相関図(コミック版のほうでは巻頭についてました)を頭の中に描いておかないとこんがらがっていくこと間違いなし!(笑) けれど全巻通して読み終えたときの感動はいまだ記憶に新しい。 是非一気読みでドウゾ! |