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2001年4月
おめでとう(川上弘美) 儚い光(アン・マイクルズ)
この日をつかめ(ソール・ベロー) 新世紀 未来科学(金子隆一)
オレ流インテリア術 実験犬シロのねがい(井上夕香)
CREA TRAVELLERS ベトナムの誘惑 巨人がプロ野球をダメにした(海老沢泰久)
シアトル マリナーズ完全ガイド THE CATSシリーズ(芝内晶子 監修)
覇者は何処へ(桜井淑敏) グラディエーター(デューイ・グラハム)
超私的まんが道
キャプテン(ちばあきお) ONE OUTS(甲斐谷忍)
田宮が来る!(テリー山本) .


「いつも、こんなふうにしてたいね」と、私は続けてしまった。言ってはいけない、と思っているのに、言ってしまった。
トキタさんは黙った。私も、黙った。鍋から上がる湯気を、私はみつめていた。
「ごめんね」しばらくしてから、トキタさんは言い、卓をまわってこちら側にきて、私を抱きしめた。静かに、抱きしめた。
鍋が煮立っている。水菜のさみどりが、濃い緑色に変わっていた。トキタさんに抱きしめられて、涙が出た。
トキタさんは、何回か、「ごめん」と言った。そのたびに、抱きしめる腕に力を入れた。
火を弱めなければ、と私は思った。
「一緒にいたいね、いつも」と、トキタさんが言った。
火を、と私は思った。涙をうかべたまま、私はトキタさんの腕から身をはずした。
「どうしたの」とトキタさんは聞き、
「煮詰まっちゃうから」と私は答えて、火を消した。
「主婦だね」トキタさんは少し笑った。
「主婦なのよ、どうしようもないわねえ」私も笑い、鼻をかんだ。
それから、あらためて二人、思いきり強く、抱きしめあった。
おめでとう

川上弘美

新潮社 1300円+税
昭和堂ファンの ゆずはさん(仮名) から
おすすめを紹介していただきました。
上の引用部分が私は大好きで、ほんとはいますぐにでもこれについてしゃべりはじめたいのですが、もうちょっとがまん。まずはおおまかな説明から。
12篇の短い小説を集めた本です。どこにでもありそうな恋の、ちょっとした一場面を切り取って並べてみた、そんな短篇集。しかし、切り口のあざやかさ、切り手の腕前はたしかです。手入れのゆきとどいた包丁で、ていねいに薄く薄くスライスされたオレンジやライムの切り口。ちょっと酸味のきいたみずみずしい果汁が、したたり落ちてくるのです。
中味をすこし紹介してみることにしましょうか。
12の短篇のいちばん最初にくるのは、「いまだ覚めず」というお話。
大みそかの前の日、主人公は東海道線に乗って、三島に住むタマヨさんという女性に会いにいきます。かつては主人公のことを愛していたはずなのに、タマヨさんは十年前、主人公の知らない男と結婚してしまい、主人公はそんなタマヨさんを、この十年間というもの、憎んできたのです。が、

それが突然こうして訪ねてみる気分になったのは、ひきだしからタマヨさんの写真が出てきて、まだあたしはタマヨさんがだいすきだということがわかったからである。十年たってみると、自分がいつかは死ぬことが十年前よりもはっきりわかってきて、箒でごみを掃きだすように、やり残したことやしそこねていたことをどんどんおこなってしまわなければもったいないという気分が強まったのである。長年の強情をさっぱりと捨てて、タマヨさんに会おうと思ったのである。 

というわけで、十年ぶりの再会とあいなります。

タマヨさんの暮らす家の庭には、人がふたりほど入れるくらいの大きな籠があり、なかには大小さまざまの白い鳩が入れられています。タマヨさんは動物嫌いなはずだったのに、と思いをめぐらすうち、タマヨさんと一緒に奇術の舞台を見に行った記憶が、ふとよみがえってきます。奇術師は、「シルクハットや杖や手袋をひらめかせながら、さまざまな動物を出してみせた」のでした。はつかねずみからはじまって、天竺ねずみ(ってどんなねずみなんでしょう?)、鳩、おうむ。(このくらいなら、よくありますかね。)そして、うさぎ、七面鳥、やぎ、ぶた。(こうなるとけっこう大物ですね。)さらに、鹿、牛、らくだ、ときて、このころにはお客はみんな、次はなにが出てくるのか、かたずをのんで見守っています。ついにはだちょうが現れ、それから長い間があいて、最後に出てきたのは――

「象かしらね」
あらわれる前にタマヨさんはあたしの耳に息を吹きこみながら言った。その予想が当たってタマヨさんは上機嫌だった。息を吹きこまれ、あたしはたいそう気持ちが高ぶった。タマヨさんを抱きしめて接吻したい気分になった。タマヨさんはあたしの気分にぜんぜん気がついていないのか、さらにあたたかな息を吹きこみながら、
「象に決まってるわね、虎じゃない豹じゃないましてや鯨でもない、象でしょうここは」と甘い声で言った。タマヨさんの声はほんとうは甘くもなく、低い、どちらかといえばしゃがれた声だったが、あたしにとってはたいそう甘い声なのだった。

(恋をしているときに、いちばん敏感なのは、耳だ。と、いうのが私の持論なのですが。耳というのは不思議なもので、ふだんはその存在すらほとんど意識していない気がしますし、自分の意志で動かしたりするのがむつかしい部位ですよね。でもたとえば、好きなひとが自分の隣りにいるようなとき、そのひとのいる側の耳が、異常に鋭敏になったりしませんか? もっというと、自分のからだの、そのひとに近い側ぜんたいが、一個の巨大な耳、というかセンサーのようになってしまったりしませんか?
このお話のなかで、タマヨさんから息を吹きこまれたとき、主人公は全身耳になっていたんだなあ、という気がします。)

そんな甘い時間をすごしたのち、しかし主人公は、タマヨさんのことをだんだん疎ましく思うようになっていきます。

あたしは、そのころタマヨさんに接吻するのをためらうようになっていた。タマヨさんの服を脱がせたりタマヨさんに服を脱がされたりタマヨさんをあいしてると言ったりタマヨさんにあいしてると言われてうれしそうにしたり一緒のものを見て泣いたり笑ったり、そういうことはできるのに、接吻をすることがどうしてもためらわれるようになっていたのだった。
  (中略)
接吻したくないの、と言いたくてしかたがないのだが、そんなひどいことは言えなかった。けれどもタマヨさんはあたしが接吻したくないことを、ちゃんと知っていたに違いなかった。
奇術を見にいったころはまだ、あたしはタマヨさんに接吻したかったのだ。いつでもどこでも。タマヨさんの暖かなからだを抱きしめてタマヨさんに接吻を降らせたかったのだ。いつの間に、あたしはタマヨさんから離れてしまったのだろう。


ああもう。こうやって引用しながら、笑っていいんだか泣いていいんだか、わからなくなってきます。こんなにあっさりした文章なのに、なんだかずっしりきてしまいます。あまりにほんとうのことすぎて。自分が誰かを好きでなくなってしまったとき、誰かが自分をもう好きでないことに気づくとき。そんな瞬間が、いつか必ずやってくる。そんなのはあたりまえのことで、誰もが知っていることなのに、このくだりを読んでなんだかうつむいてしまうのは、できることならそんな瞬間が永遠にやってこなければいいのに、と祈っているからなのでしょう。そんなことはありえない、とわかっているからこそ、その祈りはいっそう、強いのです。

そしてもう一篇。鴨鍋のお話なんです。冒頭にも引用した「冬一日」という短篇です。
(ああやっと紹介できる〜 (*^-^*) もしよかったら、もう一度冒頭に戻って、読み返
してみてほしいです。)
たがいに家庭をもつ身であるふたりのお話です。
家族や近所のひとの目を盗み、家庭生活の時間を盗んで、冬のある日、ふたりは鍋をはさんで向かいあいます。そして、冒頭に引用したシーン。(私もいま、あらためて読み返しています。)……く〜。泣けます。きゅんとします。これは、もう一度、引用してしまいましょう。

「いつも、こんなふうにしてたいね」と、私は続けてしまった。言ってはいけない、と思っているのに、言ってしまった。
トキタさんは黙った。私も、黙った。鍋から上がる湯気を、私はみつめていた。「ごめんね」しばらくしてから、トキタさんは言い、卓をまわってこちら側にきて、私を抱きしめた。静かに、抱きしめた。
鍋が煮立っている。水菜のさみどりが、濃い緑色に変わっていた。トキタさんに抱きしめられて、涙が出た。


……く〜。

(しばし無言。)

……そして、このシーンのあと、別れぎわ。

「あのさ、俺さ、百五十年生きることにした」突然トキタさんが言った。
「百五十年?」
「そのくらい生きてればさ、あなたといつも一緒にいられる機会もくるだろうしさ」
「トキタさんたら」私は言い、うつむいた。
改札口で左右に別れた。階段をゆっくりと下ってから、向かいのホームにトキタさんを探した。少し背をまるめ加減の灰色のコートが見つかったので手を振ったが、トキタさんは気づかなかった。目前の空をぼんやりと見つめている。子供を預かってくれている近所の人に買って帰るみやげのことを考えながら、私は「ひゃくごじゅうねん」と、口の中でつぶやいてみた。

やるせない恋の情景を描きながら、作者がみせようとしているのは、恋、という切り口からのぞいた、<生、あるいは時の流れ>というものなのだと思うのです。いま甘くときめいているこの恋の時間だって、いつかは終わってしまう。でも、あなたと私とがともにすごした時間はやがて大きな時の流れに注ぎこみ、また、いまはわかれわかれになってしまったあなたの時間と私の時間も、やがてはその流れに合流して、いずれまた、あいまみえることもあるかもしれない。これがすべてではない、これで終わりではない。だから、また会えるそのときまで、どうか、元気で。そんな、はるかな時間のうちの(たとえば、150年のあいだの)やさしいめぐりあいを、ほのかに感じさせてくれる本です。
一度でも、誰かを好きになったことのあるひとに。








あの一月末の夜、イレーナの誕生パーティで、ようやくあなたに会えたとき、ぼくはモーリス・サルマンの言葉が誇張でなかったことをすぐに理解した。サルマンはあなたとミケーラをウーゾと水≠ノたとえていたのだ。別々にいると透明だが、一緒になると白く不透明になる。その見通せない謎はすばらしい性生活≠ノ由来するのだと、サルマンは言った。


「……心の問題について助言を求める人は、じつは身体をどうすればいいかを教えてもらいたがっているんだ。肉体にかかわる問題についてどう決断すべきかをね。苦痛から学ぶこともそうだが、快楽から学ぶことも、忘れられがちなんだよ」あなたが死んだあと、サルマンはそんなことを言った。
儚い光
はかないひかり

アン・マイクルズ 黒川敏行 訳

 早川書房 2200円+税
もっと小さかったころ、ぼくは夜中に天使の訪(おとな)いを受けたことがあった。天使はベッドに寝ているぼくの足もとに看護婦のように立ったまま、去ろうとしなかった。ぼくは目が痛くなるほどまじまじと見つめた。天使が手招きをした。ぼくは起きて窓際へいき、冬の通りを見おろした。そのとき、生まれてはじめて、ぼくは美というものを意識したのだった。街灯の明かりに照らされた、繊細な模様が刻まれた銀器にも似た氷の森。天使はぼくが朝まで寝て、この幻想的な景色を見逃さないように、起こしにきたのだ。しかもその眺めはドアを破る斧や牙をむく犬どもが出てくる怖い夢を一時的に中断させてもくれた。この冬の夜や、庭仕事をする母についての思い出がどういう意味を持っているか、長いときをへてようやく理解できたのは、ヤーコブ・ビア、あなたの詩を読んだときだった。あなたは眠っている女性の肉体をはじめて生きているものとして感じ取ったときの経験を、不意に水面に浮かびあがってはじめて息をしたようなもの、と表現した。

さて、まずこうやって2つも引用してみました。
この小説は2部に分かれています。今回ここで私が紹介するのは、そのうち片方、第二部だけにしたいんですよね。紹介しない第一部がよいものであることはいっておきます。

事情をちょっと説明しましょう。
すぐ上の引用にあった詩人ヤーコブ・ビア。第一部は彼の手記なんですね、幼いとき心に大きな傷を負い、喪失感を抱えたまま生きてきたひとの手記。この手記は彼がどのように回復していったかという長い歴史です。
そして第二部は、生前のヤーコブとしばらく親交のあった若者が、その手記を発見するまでの過程を話すのです。

ヤーコブが自らをどんなふうに語るのか、それが第一部。
そのヤーコブは彼を慕う若者によってどう語られるのか。そのなかで、若者は他のひとたちがどんなふうにヤーコブを語っていたかを伝えもするわけです。これが第二部。
こうしていくつもの照明がヤーコブ・ビアに当てられることになるんです。

読みかたとしてはおそらく、第一部・第二部と通して読んで、さらにそこから再び第一部だけを読み返すということができるんじゃないでしょうか? 「そんな! 面倒くさい!」ですか? でも、そういう読書のできる本はめったにないものですから、みなさんこれは大事にしていい本なんですよ。

さて、若者はどんなふうにヤーコブの姿を伝えてくれるのでしょう?
ナオミという、同棲相手を彼はヤーコブのところに連れて行ったのでした。ヤーコブの傍らには、いつもミケーラという奥さんがいます。

あなたは罪人の告白をきく司祭のようにではなく、自分自身の贖罪のために司祭の話をきく罪人のように、ナオミの話に耳を傾けた。それにしてもなんという才能だろう、あなたは人を澄んだ、清潔な気持ちにさせることができた。ただ言葉を交わすだけで人を癒せるのではないかと思えたほどだ。あなたはたえず片方の手でミケーラの身体のどこかに触れていた。肩や腕にかけたり、手を握ったり。目はぼくたちとともにあったが、身体はミケーラとともにあった。

「目はぼくたちとともにあったが、身体はミケーラとともにあった。」

若者がヤーコブとミケーラの姿をそのように描くためには、彼自身それに共感できる感性(「あ、それってよくわかる」という感性ですね)を持っていなくてはなりません。作者はちゃんとそういう感性を彼のために用意していたわけなんですね。若者(ベンって名前です、紹介が遅れましたけど)とナオミとの生活は、たとえばこんなふうに描かれていたんです。

あの夏は一週間以上も寝苦しい夜がつづいた。二人とも朝まで夢うつつの境をさまよい、何時間かおきにどちらかが森を通りぬける物言わぬ使者のように台所へいってきて、まどろんでいるほうの目を覚まさせた。廊下の明かりに縁どられたナオミの身体が熱を発散させた。持ってきてくれたジュースは冷たすぎて、なんの味だかわからなかった。グラスに冷やされた手をナオミの熱を帯びた腰にあてると、ぞくっとしたのか、「ベン」と囁いた。彼女は冷蔵庫から霜で覆われた青い卵型のすももを出してきて、ぼくの腕をすべらせ、口まで持ってくることもあった。その冷たさに歯が痛くなった。すももの茶色い汁が彼女の首筋をつたい落ちて、皮膚が張りつめると同時に甘い香りを漂わせた。どちらかが水道の水を流して顔や足を冷やすあいだ、一人はまたベッドで横になり、水車をまわす水の音を遠くにきく想像をしながら、うとうとすることもあった。

だから、ベンはヤーコブの永年にわたる友人がいうこんなことばにもしっかり反応できるわけです。

「……心の問題について助言を求める人は、じつは身体をどうすればいいかを教えてもらいたがっているんだ。肉体にかかわる問題についてどう決断すべきかをね。苦痛から学ぶこともそうだが、快楽から学ぶことも、忘れられがちなんだよ」あなたが死んだあと、サルマンはそんなことを言った。

ヤーコブ・ビア、心に大きい傷を負い、喪失感を抱えたまま生きてきたひと。彼を最終的に回復させたのがどんな性質のものだったか。それを描くのに作者は丹念に筆を使っているのです。作者は女性。たぶん、男性にはこういう描きかたはできない。それに、男性作家にはヤーコブ・ビアを救うことができないでしょう。破滅しか与えられないのじゃないかなと思います。

「サルマンはあなたとミケーラをウーゾと水≠ノたとえていたのだ。別々にいると透明だが、一緒になると白く不透明になる。その見通せない謎はすばらしい性生活≠ノ由来するのだと、サルマンは言った。」
こういうことを書けるのはすごいです。これは、なにかに反発するためのいいかたじゃないんです。そんなわざとらしい力みはまったくない。ごく当然のことのように、自然にうなずけるようにこのことは語られるのです。

私、店内のPOPにはこんなふうに書いたんでした。
≪読み終えて数日してはじめて実は感動しているということがわかる。そんな小説もあるのでは?≫
あのPOPだけでは力がないと自分でも思います。
これはたぶんとっても大事に胸に抱えることのできるような、そういう本なんです。










「きみはこの現実的で直接的な現在の瞬間に存在するものを何か一つ選びださなければならない。それを選んだら、自分にむかって<いま・ここ><いま・ここ><いま・ここ>と繰り返し言ってみるんだ。<自分はどこにいる?><ここだ><時はいつだ?><いまだ>何か物か人を考えてみる。だれでもいい。<いま、ここに、人が見える><いま、ここに、男が見える><いま、ここに、椅子にすわっている男が見える>たとえばぼくでもいい。気を散らしちゃだめだ。<いま、ここに、茶色の背広を着た男が見える。いま、ここに、コールテンのシャツが見える>対象をせばめて一度に一品だけを見るようにし、空想を先走らせない。現在に生きるんだ。この時を、この時間を、この瞬間をつかむんだよ」
この日をつかめ

ソール・ベロー 大浦暁生 訳

 新潮文庫 362円+税

2002年春絶版になりました。ひどい。
≪あわれでなさけない主人公が最後には一挙に輝かしい人間に変身するという作品をお望みの方にはおすすめしません≫

というようなことを以前のPOPには書いて平積みをしたものでした。


ニューヨークでホテル住まいする父親のもとに転がり込んでいるのは主人公のウィルヘルム。彼もいい歳です。中年。若い頃は俳優志望。なにかの映画のエキストラにはなったことがある。当時父親には反対されたんですが、押し切ってしまった。しかし、たちまち挫折。いま、彼が(もと俳優の卵として)自分では自信をもっているいくつかのしぐさとか笑顔なんかも、他のひとにはみじめで滑稽なものとしか映らない。第二次大戦では志願して出征。これも反対を押し切って。やれやれ。それから、結婚。これもやっぱり反対を押し切ってのもの。そしていま、彼ら夫婦の関係は破綻しています。彼は妻のいる家を出てきてしまった。彼女は彼に金を要求しつづけている。子どもを彼に会わせない。やあ、それから、仕事です。これも会社を辞めてきた。金はない。いま、ラードに投資しているんですが、ほとんど全財産をつぎ込んでしまったのに、どうやら値は下がりつつある。ああ、破産か! 世間的に見て、いったいあんたはなにやってるんだ、という状態です。

その彼の頭のなかではどんな文句が渦巻いているかといえば、

現代はじつに多くの人びとが世をあざ笑っている。みちたりている者はだれひとりいないようだ。ウィルヘルムは、とりわけ出世した人びとの冷笑が恐ろしかった。冷笑がみんなにパンと肉のようなものとなっている。皮肉だってそうだ。たぶん、やむをえないことなのだろう。おそらくは必要なことであるのかもしれない。けれども、ウィルヘルムはそれがひどく恐ろしかった。一日が終わっていつになく疲れるたびごとに、彼はそれを世間の冷笑のせいであるとした。この世には仕事が多すぎるのだ。虚偽が多すぎるのだ。

彼は自分の生活がうまくいかないことを、なんでもそういうふうに世のなかや父親や妻や誰それのせいにしてなじり、駄々をこねるんです。

父親から、やはりホテル住まいの友人を紹介されると、こんなふうです。

「いったい、このくたびれた顔のニシン野郎はだれなんだ。髪を染め、魚のような歯にかぶせものをし、口ひげをたらしたこの野郎は? こいつもおやじのドイツ人の友達なんだろう。おやじはこういう連中をどこで集めてくるのだろうか。あの、歯にかぶせたものはなんだ。あんなに先のとがったかぶせものは見たこともない。ステンレスのはがねだろうか。一種の銀だろうか。人間の顔がよくもまああんな状態になれるものだ。ふん!」

父親との会話もこんなふうになってしまう。

「お父さんはいつもそうなんだ。お父さんと話をしているとどんな気持になるか、考えてもみてくださいよ。いつも初めはぼくの悩みを助けてくれそうで、同情してくれたりなんかする。そこでぼくは望みをいだいて、ありがたく思いはじめるんだ。ところがおしまいには、前よりも百倍も沈んだ気持になってしまう。どうしてなんだろう。お父さんには思いやりというものがないんだ。罪をみんなぼくに着せようとする。たぶん、それが賢いやり方なんでしょうけど」

「おまえは何か目的があってこんな理屈にあわないことを言うんだろう。いったい、何をわたしに望むんだ。何をしてほしいんだ」
「何をしてほしいか、ですって」ウィルヘルムはまるで何か大切なものを取り戻せずにいるときのような気がした。波にさらわれて手の届かない所へ流されてしまったボールのように、自制心が離れ去ってゆく。「ぼくはたすけてほしいんだ!」言葉が声高く荒々しい狂暴な叫びとなって彼のもとを放れ、老父をびっくりさせた。声の聞こえる所で朝食をとっていたニ、三の人びとが、こちらへ目を向けた。

どうでしょう? しかし、ウィルヘルムのこんな状態を蔑んでばかりはいられませんよ、きっと。彼はどこかで私やあなたにそっくりなところがありますから。だから、いったん読みはじめると、彼のこんなみじめな姿を延々と描かれてもページを閉じることができなくなってますね。

それに、あなたはきっと、彼のどこか無邪気になにかを信じようとする態度が憎めないし、それどころか、彼の思いがどうも普段あなたがうっすらと予感している真実をいいあてているような気もしてくる。

このことがもっと増幅されて描かれるのが、タムキンというあやしい男です。
医者だと自称しているが、なにかうさんくさい、ほとんど詐欺師じゃないかというような、いかがわしい感じの男。彼もホテル住まいをしている。何日も風呂に入っていない。その彼がことば巧みにウィルヘルムをラードへ投資させたのです。
父親は息子にタムキンと関わり合いになるなと忠告までしています。しかし、もちろん(!)息子はすでに十分深く関わりあっていたわけです。ウィルヘルムは内心タムキンを「この嘘つきめ!」などとののしるかと思えば、次の瞬間にはすがりつきもするという調子。

タムキンはいうのです。

「……人びとを<いま・ここ>という時に導き入れることができればいい。本当の世界、つまり現在という瞬間へ。過去はもう役に立たない。未来は不安でいっぱいだ。ただ現在だけが、<いま・ここ>だけが実在のものなんだよ。この時を、──この日をつかめ」

「ねえきみ、ぼくは何かきみのためになることをしたい。苦しみと結婚するな、という言葉をさしあげよう。なかには苦しみと結婚している人もあるんだ。苦しみと結婚して、ちょうど夫婦のようにいっしょに寝たり食べたりしている。もし喜びと交わりを持てば不義をおかすことになると思っているんだ」

そういうことをいってウィルヘルムを感動させたかと思うとです、食事のテーブルを離れるときに、

タムキン博士は二枚の勘定書をテーブルごしに渡してよこした。「きのうはだれが払ったっけ? きょうはきみの番だと思うね」
カフェテリアを出るときになって、やっとウィルヘルムは自分が間違いなくきのうも払ったことを思い出した。

ということになるんです。
この作品でなにかしらウィルヘルムやあなたにとっての真実らしきことが口にされるとき、それは決まってあやしげな人物によるものか妙な状況のもとでなんです。だから、それをまともにうけとっていいものか、ウィルヘルムもあなたも迷うことになるんです。

ウィルヘルム、このあわれな主人公は何度も自問します。

ぼくはこの男といったいここで何をしているのか。またなぜ七百ドルを渡してしまったのか。

ぼくはタムキンの背に背負われている、とウィルヘルムは心の中でつぶやいた。タムキンの背に──。ぼくは七百ドルを賭けてしまった。だからこうして乗っかってゆくほか仕方がない。


そして──
ウィルヘルムはこのどうしようもない状態を抜け出すことができるのか?

どうか読んでみてください。結末はあなたに意外でしょうし、感動も意外だと思いますよ。









新世紀 未来科学

金子隆一

八幡書店 2800円+税
科学ネタ・雑学好きなら、即買いの一冊です、決して損はさせません(おっと断言しちまったい)。
世に多くのSF小説がありますが、それらに出てくる未来技術の代表的なものを紹介。それぞれがこちらの現実ではどのレベルまで達しているか、この先どのような理論的・技術的ブレイクスルーが起きれば可能なのか……。

その数8分野52項目!
(分野──宇宙開発、医学、生命科学、コンピュータ/ロボット工学、エネルギー、情報/通信、環境、ファーアウト物理)
(項目──軌道エレベータ、テラフォーミング、脳移植、人口進化、ナノ・マシン、フォン・ノイマン・マシン、対消滅、反重力、フィールド推進、ワープ航法、etc.……)

どうです、あなたの読んだ小説、マンガ、映画に出て来たモノはないでしょうか? 読むほどに、SFというジャンルのアイデアのいかに豊かであることか! いかにユニークであることか! 読んでいて本当にワクワクします。

その上、何ともマメなことに、
本文中で紹介されたSF小説のタイトル、出版社のリストが巻末に!
(ただし、中には惜しくも絶版となっている作品もあります)。

SFというジャンルは最近あまり元気がないのですが(作家がねえ……)、面白い作品は実は新作にではなく、旧作・既刊の山にこそたくさんありました! やっぱり一時代を築いた記念碑的作品を新作が超えるのは大変なんだなあ!


※そうそう書き残したことがいくつか……
この本の唯一の欠点、それは栞がないこと(ひものね)。用事があって一度ページを閉じると、すぐまた読みたいのに「え〜っと、どこだっけ?」ってことが……(泣)。

それから巻末リストにはありませんが、「この技術についてはこんな本がありまっせ」という関連本が各項目の最後に載っています。金子さん、編者としてもすばらしい。とても親切です。似たような本では講談社ブルーバックスで「SFはどこまで実現するか」(ロバート・L・フォワード)というのがあります。こちらもオススメ。










オレ流 インテリア術
POPEYE HANDBOOK


マガジンハウス 648円+税
最近、インテリア系というか、部屋の模様替えみたいなことが流行っているようで、平日の午後ともなれば、各TV局がちょっとずつ時間をずらしながら主婦向けにインテリア特集を放映しています。だいたいが(女性の)インテリアのプロがアドバイスしつつ、奥様の留守中にダンナさんがDIYで汗水垂らすパターンが多いのですが、あくまでも奥様のためのインテリア。

「いんや、そ〜でなくて、オレ様のオレ様によるオレ様の為のインテリアのモデルコースはないんか?」

そんな声に応えるべく出版されたのがこのムック。もちろん「イケメンだが金はない」。そんなアナタのために、どうすれば憧れの部屋を実現できるのかアドバイス付き。思い通りの家具を作るには? イメージにある家具を中古ショップで選ぶか、ブランド物に手を出すか? この本を参考にゼヒ、アナタのマイルームを作りあげて私を招待してほしい。モチロン飯付きで。











実験犬シロのねがい

井上夕香 作  葉 祥明 画

ハート出版 1200円+税
実験犬の存在を知っていますか? それは人間の実験材料として生かされている犬達のことです。体を切り刻まれ、薬を投与され、使えなくなって死んだらゴミとして捨てられます。痛みや苦しみを訴えることが出来ず、「やめてください」とも言えず、まして自分で死ぬことも出来ず、ただじっと耐えるしかない犬達。

保健所に送り込まれた犬シロは実験犬に回され、脊髄を切られ、その傷口は腐り、死を目の前にしていたある日、さやかさんという女性をはじめとする動物愛護の方々に助け出されます。

シロにとっては短い生涯でしたが、その存在がたくさんの動物達の命を救ったお話です。また、このお話の中には卓也くんという賢く、やさしい心を持った11歳の少年も登場します。彼は自分の家で生まれた5匹の子犬の里親探しを通してさまざまな大人達と出会います。保健所で働く人、そこで見たもの聞いたもの、偶然出会ったシロとシロを助けたさやかさん。消え行く命を前に彼は小さな胸を痛めますが、大きくなったら動物の介護士になろうと考えます。

この本は基本的には小学生向けの児童書ですが、大人の方にもぜひ読んでもらいたい一冊です。どうか実験犬シロの願いとは何か考えて見てください。














CREA TRAVELLER
ベトナムの誘惑




 文藝春秋 838円+税
おまたせしました! クレアトラベラーの第4弾が発売されました。今回は一冊まるごとベトナム特集です。南北に長いベトナムの、南はメコンデルタから、北は少数民族が行き交う街サパまで、極上の新リゾートから世界遺産の景観までよりすぐりの18もの街をピックアップしています。女性に人気のアジアン雑貨やオーダーメイド、注目のショップから美食まで、ベトナムの魅力のすべてを一冊に詰め込んであります。もちろん気になるホテルも完全にガイドされています。また、ベトナムを知るために必読の本も紹介されています。絶対極上保存版です。

・新ノスタルジック・リゾート、ホイアンの魅力
・豊饒のメコンデルタ・クルージング
・霧に浮かぶ高原都市サパの幻惑
・雑貨と美食の聖都・ホーチミン完全ガイド
・緑と湖の古都ハノイで悠久の時を味わう
・ベトナムの世界遺産 フエ、ハロン湾、ミーソン遺跡、ホイアン
・東洋と西洋が出会うベトナム・リゾート
 ダナン、ロンハイ、ファンティエット、フーコック島、ニャチャン、ダラット
・安くて可愛いオーダーメイド徹底紹介
・600年の歴史を誇る焼き物の町バッチャン
・ソンベイ焼の古里を訪ねる
・原色美味図鑑 麺、スイ−ツ、果物










巨人がプロ野球をダメにした

海老沢泰久

 講談社+α文庫 780円+税
本好きアルバイト吉野くんからのおすすめ
全国のプロ野球ファンの皆様、待ちに待った開幕がやってまいりました。
これから約7ヶ月の間、各チームとも熱い闘いを繰り広げていくことでしょう。今から大変楽しみです。
しかし、その楽しみに水をさすようですが、敢えてこの本をお勧めいたします。
プロ野球ファンの方もそうでない方も、最近のプロ野球に対して「おや?」と思われたことはありませんでしょうか? ドラフトやFA制度、オリンピックへのプロ野球選手の派遣など「もう少しなんとかならなかったの?」と思ったのは私だけでしょうか?
題名では巨人≠ニなっていますが、これは日本プロ野球界全体に対する警告の本であると思いました。
○辺オーナーにも是非読んでいただきたい。







B.B.MOOK172 スポーツシリーズ NO.96
AMERICAN LEAGUE BALLPARKS



ベースボールマガジン社 933円+税
日本のプロ野球も開幕し、海の向こうメジャーリーグもいよいよ4/1開幕。翌2日にはイチロー、3日には新庄と、野手として初めて挑戦する2人の選手の今シーズンが始まりました。例年になく、今年はTV中継やニュースでメジャーリーグの試合を観る機会が増えました。しかし、それだけでは満足できず、ナマで試合を観たいと思っているメジャー好きのあなたにはオススメの1冊です。

なぜかアメリカンリーグの球場しか載っていないのですが(ナショナルリーグの分はいまのところ刊行予定なし)、イチローや佐々木、野茂選手などをぜひ見に行きたいという人にはこの本でOKです。各球場の見取り図やチケット代やアクセス方法、そして1年間の試合日程をたどれば、どこの街で観戦するかを決めるのに非常に便利です。

好きなチームを追いかけていくつもの都市に行くのもよいし、日程が合うなら、ひとつの街に腰を据え、ずっと観るのもよし。例えば以前、私は、ヤンキース、レッドソックス、オリオールズを観たくてミネソタに行き、各チームがアウェーとしてやって来たのを観戦しました。また、ロサンゼルスに足を運び、ドジャーズとエンゼルスの2チームの試合を観る、というふうに、あまり移動をせずに時間を有効に使うのもひとつの手です。自分なりの日程をあれこれ考えるのも旅の一部です。楽しんで考えてください。

まあとにかく行ってみてください。球場の雰囲気は最高です。試合前の練習から、国歌斉唱での試合開始、グラブやミットの捕球音、バットの音、そして拍手と声だけの応援。Seventh Inninng Stretchでの“Take me out to the Ball Game”の合唱。日本の球場では味わえないこの雰囲気、これがMAJOR LEAGUE BASEBALLです。

さて、どのSTADIUMに行こうか!!












シアトル マリナーズ
完全ガイド



ウインズ出版  1500円+税
これはもう日本人にとって、シアトル マリナーズのファンブックみたいなものです。
イチローのマリナーズ入団までのドキュメントや今シーズンの活躍の予想。佐々木の昨シーズンの成績。そして今シーズンのメンバーや戦力分析……。初めてメジャーリーグの試合を観るという人でも、TVのそばにこの本さえあれば、よりマリナーズというチームがわかって応援できるというものです。

もちろん、TV観戦に飽き足らず、ぜひナマで観たい! という人には、シアトルの町からセーフコフィールドの案内まで(初めてでも安心!)ガイドとしても使える非常にオススメの1冊です。

こちらでは日本人2人にばかり話題が集中しているマリナーズですが、一昨年にはケン・グリフィーJr.が、昨年はアレックス・ロドリゲスが、と2人のスーパースターがいなくなり、チームとしては、攻撃力がかなり弱くなってしまったんです。しかし、ブルペンを中心に投手力を前面に押し出して、ぜひワールドシリーズを目指して欲しいもんです。

もしシアトルにメジャーを観に行くなら、P.180に載っているSluggersというスポーツバーを忘れないで! 店内のいたるところにサイン入りのユニフォームなどが飾られていて、マリナーズの歴史が感じられます。マリナーズ観戦の前に、まずは東海岸での他チームの試合をTVで観る。観ながら、軽食にビールでもいかが! 私が行ったときには、かつて日本ハムでプレーをしていたロブ・デューシー(現フィリーズ)家族が来ていて、気軽にサインをしてくれました。それだけじゃありません。試合前の練習のときにボールを投げてまでくれました。みなさんも誰かに会えるかも? ぜひ立ち寄ってみてください。(ちなみにデューシーは日本語ペラペラでした)。












THE CATシリーズ

柴内晶子 監修

遊美堂  各457円+税
◎以前、同社のTHE DOGシリーズを紹介した時点で、薄々は感じていた事でしたが、やはり登場しました、『にゃんこバージョン』!! 最近流行りのアメショーことアメリカンショートヘアを筆頭に、アビシニアン、チンチラ、ロシアンブルー、アメリカンカール等、可愛い子猫達の愛くるしいショットが一杯詰まったこの逸品、当店一の猫好きである**副店長に伺ってみましょう!
副店長、副店長、如何なモノでしょう?
 ──如何ってさ、猫は日本人がいいな。

  今回のオススメ度 ★★★★☆(根強い人気を博し、TVでも紹介されたTHE DOGシリーズの姉妹本。猫愛好家の皆様、お待たせしました!)







覇者は何処へ
若き英雄アイルトン・セナ THE FASTEST ONE

桜井淑敏

角川文庫  (出版社品切れ)
ごめんなさい、この本いまはもう出版社品切れなんです。

◎今年も音速の祭典・F1グランプリが開幕し、原口には友達やメル友とF1談義に花を咲かせる日々がやって参りました。かれこれF1のファンになって10年以上の歳月が流れ、当時の現役ドライバーは殆どが引退してしまい、今ではミハエル・シューマッハとジャン・アレジを残すのみとなってしまいました。
そしてあの事故からも、もう7年の時が流れてしまいました…。
1994年5月1日、悪夢のサンマリノGP…。『音速の貴公子』、アイルトン・セナが伝説の彼方へと走り去ったあの日が、またやってきます。
本書は1984年よりホンダF1チームの総監督にあった筆者が、亡きセナとの思い出を語った一冊。巻末には、セナが死の前年に行なった筆者との対談をも収録。伝説の英雄アイルトン・セナの素顔が垣間見れる貴重な逸品です。

  今回のオススメ度 ★★★★☆(時期的には一ヶ月早いのですが、HPの更新スケジュールを考慮して、今月分で紹介致します。普段語られる事の少ない、伝説の英雄の素顔を感じ取って頂けたら幸いです。)











グラディエーター

デューイ・グラハム 大野晶子 訳

ソニーマガジンズ 630円+税
◎A.D.180年、時の皇帝マルクス・アウレリウス治世のローマ帝国に、勇猛果敢で名を馳せる将軍、マキシマス。皇帝の信頼も厚かった彼は、野心に満ちた皇太子コモドゥスの陰謀によって、栄光ある地位と最愛の家族を失う。
『息子を殺された父として、妻を殺された夫として、復讐は果たす!』
明日の命をも知れぬ剣闘士・グラディエーターとなったマキシマスの闘いが今、始まった…。

  今回のオススメ度 ★★★★☆(今年度のアカデミー賞にて、5部門受賞を達成した、同タイトル映画のノベライズ。3/31より既に再上映中なので、映画館に足を運ぶ前に是非!)










第9回 野球を『読もう』!

今年も野球シーズンが到来しました!

皆さんもお好きな球団の勝敗に一喜一憂していることでしょう。また、今年は特にイチローや新庄のニュースのせいもあってメジャーへの関心も高まっていることでしょう。

今回のまんが道では数ある野球マンガの中から3作品選び野球を読んでしまおうと思います。

全点在庫のある作品ですので興味が湧いた方は是非御一読を!

また野球マンガは『雷神』『ビールとメガホン』『野球狂の詩』などほかにもたくさんありますので皆さんのお気に入りの作品を紹介してくださいませ!






キャプテン

ちばあきお

集英社 全15巻 各562円+税
泣けます!

やはり野球マンガを語る上ではこの『キャプテン』は外せません。少年マンガの基本、『努力』『友情』『勝利』の方程式の原型になった作品かもしれません。

主人公の谷口君は名門校の2軍の補欠だったのにレギュラーと誤解され、大きすぎる期待と実力とのギャップに悩みます。だが彼はくじけなかった!そのギャップを埋めるべく文字通り血のにじむ努力をして本当に実力を身につけてしまいます。何事にも諦めない姿は我々読者に勇気と感動を与えてくれます。

またこの作品はアニメ化され、それを観て涙した人も多かったでしょう!(自分も涙しました・・・)

この作品は最近の野球マンガにも影響をあたえています。以前『それ読みたい!』で紹介した『ショーバン』もそのひとつ。まだ読んだことのない方はこの機会に是非読んでみてください。




ONE OUTS

甲斐谷 忍

集英社 4巻まで 各505円+税
青年向けの野球マンガといえば『あぶさん』や『野球狂の詩』といった野球の才能に長けた選手たちの競演といったイメージが強いんですが、
この『ONE OUTS』はちょっと違う!

主人公のピッチャー渡久地東亜には速い直球も鋭い変化球もないんですが人並み外れたコントロールと神がかり的な勝負勘という武器を持っている。これだけでなみいる強豪に勝ち続けていく。

この『騙し合い』が面白い!ふつうの野球マンガに興味がない人はこの作品を是非ドウゾ!





田宮が来る!

テリ―山本

小学館 2巻まで 各505円+税
最後に正統派ですが知名度の低い作品をひとつ。

この『田宮が来る!』は球界ナンバー1抑え投手田宮豊が弱小チームにFA移籍し、そのチームを優勝へと導いていく話。まだコミックスではシーズン途中なんで優勝はしてませんがこの勢いだとひょっとすると・・・

設定だけ見るとマリナーズの佐々木巨人の工藤のイメージなんですが、どちらかというと元阪神の江夏のイメージのほうが強いかも(名前も豊ですし)。

正統派野球マンガファンに是非読んでもらいたい1作です。

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